ナツ編-13 ごうとうさんがやってきた〜
今日2話目の投稿です。朝に1話投稿していますので、そちらもご覧くださいね~!
「ありがとうございました〜!」
「よーし!今の客で最後だな。フー、お疲れ様!」
「フーちゃん、お疲れ様でした」
「パパもバッツもおつかれさまでしたぁ〜!フー、おなかすいたー!」
「ははは!じゃあ、さっさと片付けてあいつのメシ食おうな」
「はーい!テーブルふいてくるね~」
フーは分身してテーブル拭きと『そうじき?』という魔道具で床掃除を始めた。この魔道具もアキさんが皇国の技術開発部ってところで作った試作品らしいな。ホコリがたたないからキレイになるぜ!
そして、厨房ではあいつが清掃と夕食を作ってたぞ。このニオイはシチューか!?楽しみだぜ!
バッツは閉店して片付けたらメシを食わずに帰ってるんだ。『家族水入らずの時間を邪魔したくない』だってさ。
そして閉店後の片付けと掃除を終えて、2階に上がって夕食だ。
「いただきまーす!」
腹ペコ状態だったフーは勢いよく食べ始めた。オレもがっついてしまったな。
「···フー?もうちょっとしたら、食事のマナーも教えるからね」
「マナー?」
「···そう。必要な時も出てくる。知って損はない」
「はーい!ママ!」
「···ヨウも知っておくといい」
「オレもかよ!?」
「···女王様が来店してもいいように」
「そんな事あるわけないだろ?まぁ、いろいろ援助はしてもらってるけどさ」
マナーねぇ~。まぁ、この店ではフルコースってのもあるからな。知っておいて損はないんだろうけどな。
その後、フーを風呂に入れてやった。いつもはあいつがやるんだけど、今日のあいつは国に納める税金の申告書を作成しているんだ。
···計算なんてよくわからんから、オレは店の入口カウンターにある『ぽす?』という魔道具で画面をタッチして自動計算してもらってる。その設定も、あいつの持ってるすまほ?でやってるな。この『ぽす?』というのは元神様が作ったらしいな。よくわからんが、非常に便利な代物だ。
あのすまほ、神器らしいから非常に高機能らしい。どうもアキさんの元の世界にあるものらしいな。あいつはそれで売上を計算し、仕入れ情報もすべて入ってるらしく、本来なら専門家を雇わないといけないらしいけど、全部あいつがやってしまってるんだよ。
ちなみにうちは高額納税者ランキングトップ10に入ってるらしい。飲食店部門らしいぜ?ランキング入り最速記録を更新したらしいぞ。
「···終わった。明後日の定休日に税務署に行ってくるね」
「おう!フー連れて、ゆっくり散歩してこい」
「やったー!ママとおさんぽー!」
···事件はその日の夜に起きた。
何者かが店の前でウロウロしてるな。何度か店の入口の扉のカギをいじろうとしているぞ?
「···気づいた?」
「ああ···。ったく···、ゆっくり寝かせろっての」
「···じゃ、行ってくるね」
「待て。オレが行く。こういう荒事はオレに任せて、お前は寝とけ」
「···じゃ、よろしく」
「おう!」
こういう気配察知は寝ててもやってるからな。まぁ、寝る時や出かけて不在になる場合はあいつが結界を張るから、よほどの手練れじゃなかったら破れんしな。
オレは店の裏口から外に出ようとすると···、裏口のカギが開いていた!?
どういう事だ!?まさか、あいつの結界を突破したのか!?いや、だったらあいつが気づくはずだ。
···ということは、中から開けた?···まさか!?フーか!?その時、店の前で大声が聞こえてきた!
オレが慌てて裏口から飛び出して表に回った!すると、そこには···!?
「あっ!?パパ〜!ごうとうさんがらいてんしたよ〜!」
そこには3人組の強盗が倒れてて、その上でフーがはしゃいでいたんだ···。
「フー!?お前、なにしてんだ!?」
「えっ?みてのとおり、ごうとうさんがらいてんしたからおむかえしたの〜」
つまり、こういうことのようだ。
オレとあいつが気づいた時にフーも気づいたそうだ。気になったから、オレが起きる前に裏口からステルス状態になって強盗に近づいたらしい。
「おじさんたち?きょうはへいてんしたからあしたによやくしてきてね〜!」
「なぁっ!?なんだ、このガキ!?いつの間に!?」
「フーはこのみせのこだよ〜。もうよるおそいから、はやくおうちにかえってねてね~!」
「やかましい!この家のガキか!?だったら誘拐して身代金取ってやる!おい!捕まえろ!!」
「「へい!オヤビン!!」」
「ちっがーう!オヤビンじゃない!親分と呼べ!!まぁいい!かかれーー!」
「えっ!?おにごっこするの〜!?じゃあ、フーがつかまえるね~」
「なぁっ!?速い!?ぐあっ!!」
そうしてフーを捕まえようとした強盗は、逆にフーに捕まえられてしまったようだ。
「おい、フー。こういうのはパパとママに任せるんだ。お前はまだやっちゃダメだ」
「なんで〜?」
「お前より強いヤツなんてたくさんいるからだ。今回はこいつらが弱すぎたからなんとかなったが、そうならない事もあるからな」
「···うん。わかった」
「よしよし。まぁ、あいつの兄貴のところで鍛えてもらってるから、もう少ししたら大丈夫だろうけどな。さてと···、おい。お前ら、なんでうちを襲ったんだ?」
「ぐっ!いつも大繁盛して金持ってるってわかってたからな!税金納める直前ならいっぱいあると思ったからだ!」
「なるほどな~。まぁ、傍からみたら儲かって金持ちとも思われても仕方ないか。まぁ、確かにそれなりにはあるがな。···だからといって襲っていいことにはならねえぞ?」
「オレたちをどうする気だ!?」
「わかりきってるだろ?このまま憲兵に突き出してやる。それか、オレがこの手で息の根を···、止めてやろうか?盗みに対しては私刑は許されてるからな」
「ひぃ~!?も、もうしませんから!」
「ダメだ。···一度盗みや強盗に手を出したら、もう普通の生活に後戻りできないって知ってるか?···常習性があるんだよ」
里でもそういったヤツがいたからな。こっそりと師匠が後始末つけてたけどな。
そういった経験から、こいつらはこのまま無罪放免にはできん。そう思ったらフーがこんな事を言い出した!
「パパ?きおくをけしちゃえば?」
「記憶を?」
「うん。もうわるさしないなら、ここにきたきおくをけしちゃったらこないんじゃないかな?」
「あ〜···。お前は甘いなぁ~。まぁ、そうするか。···次来たら命はないからな」
そうして、オレは強盗の記憶を消してやって、湖の遊歩道にある東屋で寝かせておいた。起きたら今日あった事は一部を除いて忘れてるだろう。
覚えてるのは『二度と盗みはしない』という誓いの部分だけ。今回だけだからな!フーの温情に感謝しろよ?
それからはあいつらの強盗は見かけなかった。改心したかはわからんがな。
「ハァハァ···、今日のフーたんのエプロンは新作ぅ!?いつもよりカワイイ!!ハァハァ···」
「おじさん〜?パパにきおくけされたのにまたきたの〜?ちゅうもんしないならかえって〜!」
「はい喜んで!今日もフーたんに罵られたぁ~!し・あ・わ・せ〜!!ハァハァ···」
···この出禁野郎には記憶消去が効かないな。あの強盗には効いてるから、オレの腕が悪いわけじゃないんだけどな。
···ってか、また知らないうちに出禁野郎が予約取って来店してやがったぞ!?もしかして、オレの記憶が操作されてるのか!?そんな痕跡ないぞ!?
税金申告書を作成ということで、納税期間前だからこの時期はお金がいっぱいだろう!と強盗さんがやってきましたが、襲った相手が悪すぎましたね···。しかも相手はヨウくんでもなくてフーちゃんで、『おきゃくさん』としてお迎えしてしまいました!この時点でフーちゃんはそこそこな腕な相手ではないと太刀打ちできなくなってます。フユくんが鍛えてくれてますからね。
ここでヨウくんはナツちゃんが出撃しようとしたところを止めに入って自分が向かいました。こうしたシーンを書くと、いがみあっていてもお互いを信頼してるなぁ~って思いましたね。どうあがいてもヨウくんはナツちゃんには勝てないんですけど(笑)。
記憶を消された強盗は来なくなりましたが、すとーかーさんは相変わらず毎日フーちゃんにののしられにやって来ています。ホント、何者なんでしょうね?
さて次回予告ですが、ナツちゃんが作っていた税金申告書が出来上がったので、定休日に税務署へ納税手続きをしに出かけます。今回、ヨウくんはフーちゃんにナツちゃんと出かけてこい!と言ってましたが、フーちゃんが『パパもいっしょにいこー!』と言い出して家族でお出かけすることになりました。ほのぼのとした一家の休日をお届けしますよ~。
明日も朝と夜に1話ずつ投稿します。お楽しみに~!




