ナツ編-10 ナツ一家とフユ一家、帰省する
「モンドく~ん!おっはよ~!」
「おはよう!フー!」
今日はフユたちの一家と一緒にアキさんの家があるアクロに帰省する日だ。フユの家族と合流して王都の門の外に出た。
実はフーが生まれてからは帰省をしていなかったんだ。というのも、店が忙しかったというのと、アキさんとハルさんが休みの日になるごとに店にやってきて、フーやあいつの世話をしてくれてたんだよ。長期休暇中なんかはほぼ毎日来ていたな。
『店忙しいだろうから、ボクたちからやってきたよ~!フォトのお世話はマカセテ!』
『···お店頑張って。···ナツは私より分身を使いこなしてるね。···正直言ってすごい』
『きゃっきゃ!じ~じ~!ば~ば~!』
『えっ!?ボクとハルを見分けてくれた!?嬉しいなぁ~!う~ん···、ギリギリ20代でおじいちゃんかぁ~。本当になっちゃったなぁ~』
『···それでいいんじゃない?···私は嬉しいよ』
ちなみに店に来ていた時は、夜はフユのところで世話になっていた時もあった。ほぼアクロから転移で通ってたんだぜ。とんでもない親だな!規格外にもほどがあるわ!
ということで今回はこちらからアクロへ転移で行くことになった。さらにフユの家族も一緒に帰省するんだが、泊まれるのか?
「···ナツの元の部屋で寝て、モンドとフーは空き部屋で寝るからだいじょぶ」
「うちもおれの部屋で寝るから大丈夫だよ。さて!行こうか!みんなつかまってね!」
「「は~い!」」
そうして俺たち2家族6人はアクロへ転移した。転移先はいつもリオさんが訓練場としていたところだ。今はコルとリナさん一家が使用している。
リオさんところのケンは独り立ちして世界中を文字通り飛び回ってるからな。よく帰省してるらしいけどな。そう言えばまだうちの店にはフーが生まれた時以降来てもらってないな。忙しいだろうけど、来てもらったらいいな!
「ここがアクロ~?」
「···そう。···ここは町の外のリオパパの訓練場。···ここからちょっと歩いたら町の入口の門だよ」
「う~ん!懐かしいなぁ~。おれもここに来るのは久しぶりだからなぁ~」
「パパはここでくんれんしてたの?」
「そうだよ、モンド。ここだったら魔法の訓練もほぼ自由にできたからね」
「そうなんだ~!あとでおれもやりたいなぁ~!」
「もうちょっと魔力循環ができるようになってからね。魔法は使い方を誤ると命にかかわっちゃうからね」
「は~い!」
そんなやり取りの後、俺たちはアクロに入った。魔獣の出没が減りだした事で、人の動きが少しずつ活発化してきており、ここアクロも温泉保養所としての人気が出だしたようで、以前来た時よりも観光客が増えてきていた。
どうも観光客が増えた原因の一つがアキさんの宣伝だったようだ。まずは知ってもらおう!ということで温泉の良さを書いたチラシを作って周辺に配ったらしい。
今まで口コミ評判だったのが、知名度が上がったことで訪問したい客が増えたらしい。常連客も増えつつあるようで、新しい旅館も建設中のようだ。
そんな活気あふれる温泉街から離れたところにある別荘街にアキさんとリオさんの家がある。···今こうやって状況をまとめて伝えたが、この家もいい立地にあるよな!
「じ~じ!ば~ば!フーが来たよ~!」
「じいちゃん!ばあちゃん!モンドが来たぞ~!」
玄関の外で大きな声を出す幼児2人。その声を聞いてすぐにドアが開いて、アキさんが出てきた。
「やあ、おはよう!遠路はるばるようこそ!さあ、中に入って!」
「ただいま!パパ!」
「···ただいま、パパ」
「フユもナツもお帰り!ユキちゃんもヨウくんもどうぞ入って!」
「お世話になります」
「邪魔するぜ」
リビングに入って座ったら、アキさんが飲み物を出してくれた。このアキさんも、あいつほどではないものの料理がうまいんだよなぁ~。しかも食べたことのない料理ばかりなんだ。アキさんの世界の料理らしいけどな!
「今回は帰省のタイミングが良かったよ~。実はケンももうすぐしたら来るんだよ」
「えっ!?ケンが帰ってくるの!?ちーむッス!では何も言ってなかったのに···」
「···家族で来るの?」
「そう。2人をビックリさせたかったらしいね。モンドとフォトとも初顔合わせさせたかったみたいだしね。だからお隣はとってもにぎやかになるだろうなぁ~」
「あはは···。リナの家族はお子さんが多いからなぁ~」
そう、コルとリナは仲が良すぎて結婚してからたくさんのお子さんが生まれたんだよな。なんと7人!
ケンの方は3人だから、2家族で14人だ!···リオさんところは大変だろうなぁ~。
「そういうわけで、リオに食事は任せられないから、うちで全員分用意することになっちゃったんだよ。ナツ、ヨウくん?手伝ってくれないかな?」
「···いいよ。···腕が鳴るね」
「いいですよ、本業ですし。···あれ?本業だったっけ?」
いかんいかん!店が忙しいから本業のようになってきていた。裏の仕事が本業だからな!
ちょっとくつろいでいたら、外がうるさくなってきた。ゴーーー!っていう音だ。ケンたちが高速飛行で来たようだな。
30分ほどしたら賑やかな声が近づいてきた。···元気すぎやしないか?
「どうやら来たみたいだね。みんな、こっちからあいさつに行こうか?リナとケンのところは赤ちゃんもいるからね!」
アキさんがそう言って、俺たちはリオさんの家に行った。玄関のドアを開けると···
「イダダダダーーー!!こらーー!!しっぽ引っ張るなぁーーー!!」
「「「きゃははは!!じーじのしっぽ〜!!」」」
「あっ!?ちょっとーー!?そこはーーー!!アハハハ!!やめてーーー!!くすぐったいぞーーー!!アハハハ!!」
「「アー!アー!キャッキャ!!」」
···コルとケンのお子さんにおもちゃにされてたリオさんが、廊下でジタバタしていたわ。
しっぽ引っ張ってたのはコルのお子さんだな。そして四つん這いになってたリオさんの背中に乗って翼の付け根をこそばしているのはケンの竜モードの赤ちゃんだ。···とんでもねぇなぁ~。
玄関で立ち止まっていると、ナナさんが気づいた。
「あら!フユとナツの家族も来たわね〜。騒がしくてごめんね~。ほら!リオをおもちゃにするのはいつでもできるから、リビングに戻ろうね~!」
「「「はーい!」」」
「「アー?アー!」」
「ふー、ひどい目にあったぞー。ってナナ!もうおもちゃ扱いはゴメンだぞー!!」
「いいじゃないの?かわいい孫なんだからかわいがってもらってくれるのよ?ありがたいことじゃない」
「逆のような気がするぞー?」
「ハイハイ、そんな事よりフユとナツも来たんだから!モンドくんとフォトちゃん!いらっしゃい!うちの孫も来たから仲良くしてあげてね~!」
「「ナナおねえさん!こんにちは~!」」
「あらら!お姉さんだなんて!?フユ!ナツ!しっかり教育できてるわね~!」
「あはは、そんな事ないけどね。久しぶり!ナナママ!」
「···フーは接客技術身についてるからね。···久しぶり、ナナママ」
「立派になったわね~!ささ!上がって!」
さて、コルとケンの家族と久しぶりのご対面だな!
にぎやかな帰省になりましたね~!総勢24名ですよ!?赤ちゃんもいますけどね。次回にリナちゃんとケンくんのお子さんの名前を発表しますよ~。
それにしてもナナちゃんは『ばあちゃん』呼びをされたくないためにモンドくんとフーちゃんには『おねえさん』と言うようにフユくんとナツちゃんが呼ばせてます(笑)。ちなみにリナちゃんとケンくんのお子さんたちには『マーマ(バーバ呼び回避)』と呼ばせてるんですよ。ドラゴン族なんだからあんまり気にしなくても若いままなんですけどね(笑)!
さて次回予告ですが、リナちゃんとケンくんのお子さんをご紹介!さらに昼食はナツちゃんお手製料理ですよ~!リオくんに料理させたら大変なことになっちゃいますからね!
それではお楽しみに~!




