ナツ編-06 裏のお仕事 後編
本日2話目は商船三井さんふらわあ様の『昼の瀬戸内海カジュアルクルーズ(今年4回目の乗船)』という特別便で別府観光港からさんふらわあくれないに乗船しており、先ほど瀬戸大橋を通過しました!今回はデッキ付きセミスイートの部屋で優雅に船旅をしつつ、執筆していますよ~!
会合が終わったところで俺たちは盗賊団の頭が出て行った扉からそのまま外に出た。ヤツらのアジトを調べたかったからな。
そうして歩くこと10分。頭は何もない公園にやって来てベンチに座ってタバコを吸い始めた。···妙だな?
「ふぅ~。さて···、いるんでしょ?そろそろ顔を見せてくれてもいいと思うけど?ここなら誰もいないし、誰にも聞かれない。···最初から気づいていたよ?」
なあっ!?なぜバレた!?俺たちは完全に気配を消していて、完全にステルス状態だったはずだぞ!?頭の視線はこっちを向いていて、そのうえで話してきたということは、ハッタリではないのは確実だ!
どうする!?そう考えていたら、あいつがステルスを解いた!
「···さすがだね。···気づかれるとは思わなかったよ」
「ははは。お嬢さん以外にもう1人いるでしょ?出てきたら?」
「わかったよ。これでいいか?」
「素直でよろしい。そういった子は嫌いじゃないね」
「···タダものじゃないね?」
「そうだな~。まぁ、同郷の者だからかな?」
「···やっぱりそうか。···あなたもスパイだね?」
「ビンゴ!そちらのお嬢ちゃんは鋭いなぁ~。あの大臣とは別の国に雇われてるのさ」
「···スパイ同士が結託?」
「いや?向こうはオレの正体なんて知らないぜ?オレが便乗してるだけなんだけどな」
「お前も王国を狙ってるのか?」
「半分当たりで半分ハズレ、かな?主たる目的はあの大臣が所属している国だよ。王国に侵攻に出たスキを狙ってうちが乗っ取るのさ。まぁ、あの大臣が王国を乗っ取ったら、オレが即座に奪うけどな」
「···そうはさせない、と言ったら?」
「ここでオレを捕まえるってかい?やめときな。オレがいなくても計画は進むようになってるんだ。あんたらには話したが口を割るつもりはないからムダだぜ?」
「···どうやらそのようだね?···そして、こうして話したのも作戦のうちって事だね?」
「···お嬢ちゃんは何者だ?里の者じゃなさそうだが、そこの坊主より里の暗殺術を極めてるな?理解も非常に速い。次にどんな手を打てるか考えてるしな。里の者ではこうはいかないんだが?」
「···そっちが正体を明かさないのに話すわけないでしょ?」
「ははは!違いない!さて、オレも次の仕事があるのでな。情報提供と仕込みはこの程度にして、ズラかるわ。もう会うこともないかもしれないが、次あったら戦場だな」
「···そだね。···最後に聞くけど、作戦は実行するの?」
「当たり前だぜ?まぁ、こんだけ情報を渡したんだ。あの大臣が失敗するのは目に見えてるし、捕まったら偽情報を流して予定通り侵攻させて、オレらが乗っ取らせてもらうがね」
「···どちらも止める」
「へぇ~···。面白いね。じゃあ、楽しみにしているよ。それじゃあね~!」
頭は去っていった。同郷の者だったが、明らかに俺よりも実力は数段上だった!俺って元整調者なのに···。
さて、この後どうするか?だな。
「おい、どうするよ?」
「···録画は完了している。···あとはエイルさん経由で女王様に報告、かな?」
「おまっ!?そんなことしてたのか!?」
「···多分、録画で気づかれたんだと思うよ?···そして、あの頭の話が女王様に伝わることを、頭は想定してたね」
「とんでもねぇ~。片棒担がされたってわけか」
「···ま、王国にとっては有益だから、このままエイルさんに話そうね」
そうして俺たちは店に戻って寝た。俺のステルスを見破られたのはくやしいな!だいぶ上達してるんだけどなぁ~。
その日の昼にエイルはやってきた。今日は定休日だから、裏から入ってもらった。表には定休日だと知ってるのに来ている客がウロウロしてるからな···。
「いやぁ~!情報提供ありがとう!今から城に行って情報を渡してくるよ。録画した内容って私のちーむッス!でも閲覧できるんだね?」
「···もち」
「ホントに便利な魔法だよね。瞬時に情報のやり取りができるのがここまでありがたいとは思わなかったよ。それじゃあ、また!」
翌日、盗賊団は騎士団第2部隊によってあっけなく制圧されてしまった。頭はいなかったようだったぜ。そしてあの大臣も国家反逆罪で逮捕されたそうだ。
ただ、表向きには市民に対して『治安悪化の責任を取って潔く辞任した』って事にされたみたいだぜ?常連客がそう言ってたからな。···こいつらも情報収集能力高くね?
1週間後···
今日も店は大繁盛だ!って言っても予約客ばかりだけどな!予約は1週間先まで完全に埋まってるが。
まもなくラストオーダーだが、予約のない客がやってきた。2人組の新規のお客さんだ。
「すまねえ!予約ない客は···、って!?テリーの兄貴とあの時の!?」
「ヨウ、久しぶり。開店おめでとう!遅ればせながらお祝いに来たよ」
「やあ!久しぶりだね~!先日はお世話になったよ」
テリーの兄貴はいいとして、もう1人は先日の盗賊団の頭だ!口調と顔は全然違うが雰囲気は一緒だったから気づいたぞ!
「どうしてソイツと一緒に!?」
「まぁ、それはこの後話すよ。先に席に案内してくれないかな?飲食店なんだから注文させてほしいなぁ~」
俺はわけがわからず、テリーの兄貴の言うとおりに空いている席に案内した。もちろん、一番奥のテーブルに案内したけどな。
そして一通り注文してラストオーダーの時間となった。客はこの2人以外出て行った。
「さて、ナツちゃんも一緒に話しておくね。結論から言えば、このバッツの計画はすべて失敗したよ」
「頭ってバッツって名前だったんだな?」
「ああ。まぁ、スパイなんだから本名名乗るのもな~。テリーとは同期だったんだよ」
「そうなのか?で?失敗って?」
「大臣がいた国を乗っ取ることさ。テリーに偽情報の真の意味を知られちゃって、逆に追われる身になっちゃって、王国に逃げ帰ってきたのさ」
「そして私がバッツを見つけてこうしてお店にやってきたんですよ。今回はヨウとナツちゃんのお手柄でしたね~」
「そうなのか?まぁ、女王からはエイル経由で報酬はもらったけど」
「そうそう、ヨウ?冒険者ギルドからも賞金がでてますからね~。大臣の国の依頼でありましてね?こちらはナツちゃんの口座に振り込んでおきましたからね」
「いいのか、兄貴!?」
「ええ。これで当面は現状維持でしょう。ギルドは国家間には介入できませんが、治安回復業務は絡んでますからね~」
「で?このバッツは今後どうするんだ?お尋ね者なんだよな?」
「そうそう、それでお願いに来たんですよ。雇ってあげてくれませんか?」
「はあっ!?」
「···ナツはいいけど?」
「お前!?本気なのか!?」
「···物腰柔らかいし、結構頭の回転も速い。···ナツたちが裏のお仕事している間に店を任せられそう」
「ははは!ナツちゃんでしたっけ?なかなかの洞察力だな~。お役に立てますよ?」
「···ん。ただし、住み込みはダメ。···家借りて通勤して。···あとは店内は禁煙」
「しっかりしてますねぇ~。それでいいですよ」
結局バッツはうちで雇うことになった。翌日から入ってもらったが、俺よりも手際よくこなしやがった!!その結果、給料はそれなりにいいお値段をナツは提示して了承した。
ますます俺が居心地悪くなってしまってるんだが···。
盗賊団の頭はテリーさんと同期の人でした!こうして凄腕のアルバイト(?)を確保したナツちゃんのお店はセキュリティー万全ですね!さらに!ヨウくんの負担も軽くなり、いい事ずくめですね~。
ちなみにバッツさんの元ネタは『バッテリー』からです。テリーさんと同期ということで、あたまのバッツを取ってます。FF5の主人公ではないですよ。
さて次回予告ですが、ある程度お店のオペレーションに慣れてきたので、構想にもあったテイクアウトを始めようとします。せっかくバッツさんが来てヨウくんの負担が軽くなったのに···。ナツちゃんは厳しいですね!
明日からは4日まで21時過ぎの投稿を予定しています。それではお楽しみに~!




