ナツ編-05 裏のお仕事 前編
本日は2回『洋上』から投稿しますよ~!1話目は豊後水道を航行中の商船三井さんふらわあ様のさんふらわあごーるどから投稿しています。これから別府温泉回るぞ~!
昨日タクシーが捕まらずに乗り遅れそうになって猛ダッシュしたため、股関節と下半身が極度の筋肉痛で眠れず···orz。歳だなぁ〜。
明日は定休日だ。常連からは苦情が来たわ。
『定休日が辛くて仕事が手につかない!』
『定休日とわかってても足を運んでしまう!』
『ここのメシがうますぎて、メシマズ嫁と大ゲンカになって、嫁が実家に帰ってしまったから食事に困ってる!』
『ハァハァ···、ナツたんに会えない日があるなんて!?お前では話にならん!女将を呼べ!ナツた〜ん!ハァハァ···』
···あいつのメシは何か入ってるのか!?洗脳っていうか、狂信者レベルばかりになってきてるぞ!?
ちなみに最後のヤツは冗談抜きに記憶を消しておいた。あいつの兄貴がこの事を知ったら存在を消すだろうからな。こんなしょうもないことに暗殺技使うとは思わなかったわ···。
その日の夜。
「ありがとな~!ふぅ~···。最後の客が帰ったな。···じゃあ、次の仕事に行くか!」
「···その前に夕食。···軽めに腹に入れておく」
「おっ!?そうだな!···今日はどこを襲う?」
「···お城の警務大臣」
「またえらいとこに行くなぁ~。やっぱあの件でか?」
あの件というのは、最近王都で盗賊団が大暴れしてる件だ。兵士が巡回を強化して取締りを厳しくしているにもかかわらず、まったく足取りが掴めなかったんだ。
警務大臣は毎日兵士長を呼び出してカンカンに怒って説教してるらしいんだよなぁ~。エイルと一緒に来店して相当グチをこぼしてたな。
どうも警備計画が漏れてるみたいなんだよなぁ~。試しに大臣に提出した計画とは別行動してみたら、盗賊団と接触できたんだとさ。逃げられたけどな。当然、警備計画と異なってる事を大臣から怒られたそうだぜ。
それで大臣がクロと思われるが、いかんせん証拠がない。そこで俺たちの出番ってわけ。依頼主はなんと女王様だったぜ!腹に据えかねてたってわけか···。
まぁ、やれるだけやってみるか。
午前1時。みんな寝静まった時間だ。しかも今日は月が出ていないから真っ暗だ。
俺とナツは黒装束を着て城に向かった。ちなみにこの黒装束、『にんじゃスタイル』『くのいちスタイル』と言うらしく、有名デザイナーが鼻血を噴きながらデザインしたらしいぜ?···時間経って変色した血じゃないよな?
さて、城に着いた。···どこから忍び込むんだ?
城には結界魔法が塀の直上に展開されていることが多い。身体強化すれば乗り越える事自体は誰だって出来るからな。
この結界は攻撃手段にもなっており、乗り越えれば命の保障はない。
「(おい?どうする気だ?)」
「(···簡単。結界と同種の魔力を足元から上ヘ噴きながらすり抜ける)」
「(そんな事できるのかよ!?)」
「(···もち。···どうする?···ナツだけで行く?)」
「(わかったよ!やってやる!)」
まだ拙い魔力操作だけどな!俺はあいつのやり方を見てから挑んでみた!
ぐっ!?入り込めそうだけど隙間が狭いっ!な、なんとか···!行けた!!
「(はあっ、はあっ···。な、なんとかなったぜ)」
「(···ん。···じゃ、行くよ)」
「(場所わかんのかよ?)」
「(···城で泊まったでしょ?)」
「(そうだけど···。あの時に知ったのか!?)」
「(···うん。···早朝忍込みトレーニング)」
「(とんでもねぇなぁ~)」
そうして、俺たちは警務大臣の執務室に着いた。カギはナツが一言しゃべったらあっさりと開きやがった!あんな魔法、俺は知らんぞ!?
「(おい!?なんでそんなにあっさりカギ開けたんだよ!?どこで知ったんだよ!?)」
「(···いちいちうるさい。···パパの世界の『げえむ』にあった、鍵を開ける魔法。ある程度ならこの魔法で開けれる)」
「(とんでもないんだが!?アキさんの世界って恐ろしいな!?)」
恐ろしい世界でアキさんは生きてたんだなぁ~。こいつのスゴさがよくわかったわ。
執務室に入った俺たちは、机や本棚など調べ回ったが、特に怪しい資料とかはなかったな。まぁ、堂々と置いてたりはしないか。
となると···、隠し部屋か?
ナツも同じ考えに至ったようだ。お城なんだから緊急脱出通路ぐらいはあるだろうからな。
俺たちは抜け道がありそうな場所を探し始めた。床は特に変わった音はしてない。本棚にも仕掛けらしいものは存在してなかった。
壁にかかっていた、大臣のペットらしい生き物の絵が入った額縁を覗くと···!あった!
どうやら頻繁に行き来しているようだ。床にホコリが溜まっていない。むしろ、足跡を追われないように清掃をしたのかもな。
俺たちはその通路に入っていった。すると、扉が連続して2つあり、開けると地下下水道にたどり着いた。どうも王族と大臣級の部屋にはすべてこの地下下水道に出れる緊急脱出通路があるようだな。少しだけ臭いが、我慢できる程度だ。清掃も多少はされているから通路は汚くはなかった。
俺たちは明かりをつけずに真っ暗闇の中を進んでいった。もちろん、これも里で教わった暗殺術の一つだ。真っ暗闇でも明かりをつけなくても見える『暗視』だ。結構便利なんだぜ?
地下水道まで下りたらかすかに足跡があった!やはり最近ここから出入りしているようだな!かなりの靴跡の数が見えるぜ!これも暗殺術の一つなんだけどな。
靴跡は2種類。1つは大臣でもう1つは盗賊団の頭か?
その足跡を辿っていくと、地下下水道の下流部に向かっているようだ。
途中で左に曲がった。ということは下水処理スライム場ではないな。さらに進むと足跡が壁の中へ向かっていて、足跡はここで途切れていた。隠し扉だな!
「(ここだな。位置的にはどのあたりだ?)」
「(···普通の民家だね)」
「(一般の市民に扮してるって事だな。足跡も新しいからいそうだな。···踏み込むか?)」
「(···うん。···ただし、手は出さない。状況確認だけ)」
そして、俺たちは中に踏み込んだ!
いたわ。警務大臣だ。それと···、普通の男が1人そこにいた。
「状況はまずくなってきているぞ?今日の会議で、女王が騎士団第2部隊も投入すると言い出したぞ!?」
「あの整調者が副隊長をしていたっていう精鋭部隊?これはこれは···、騒動が大きくなりましたなぁ~」
「のんきなことを言ってる場合か!?ワシの権限が及ばない女王直下の騎士団だぞ!?ワシの権限内だから兵士の警備計画を伝えれたが、今後はこうはいかんぞ!?」
「だったらここでの稼ぎは終了ですね。ほかの場所に移るだけですよ」
「そんな!?そんな事したらワシの計画が!?」
「ええ。破綻しますね~」
「ここまで順調に進めていた計画が崩れては本国に報告できぬ!···わかった。なんとか騎士団の警備計画を入手して見せる!引き続き治安悪化に協力してくれ」
「あなたも大変ですねぇ~。スパイとして潜り込んで王国を内部から崩壊させようとして、最終段階で躓いたんですから」
「順調だったのだぞ!躓きだしたのは2年前の格闘技大会からだな···。大魔王にも手を回して実力者の皆殺しと観客の虐殺を失敗してから···。スタンピードのドサクサを狙っても忌々しい整調者どもに邪魔されて攻める機会も失うし···」
「まぁ、計画は変更されるものですよ?最終目標さえ達成できればいいんですから」
「そ、そうだな···。10年にもわたる計画の最終段階!あとひと月、治安を乱して大混乱の中で我が国が攻めてくる!整調者がいない騎士団など問題ないわ!」
「ははは!そうですそうです。その意気でやりましょうね~。そして達成した暁には···」
「わかっておるわ!ワシが統治して好き勝手やらせてやるわ!···おぬしも悪よのぉ~」
「いえいえ、お大臣様ほどでは···」
「「わっはっは~~!!」」
···思ってた以上にワルだったな。ここで捕まえてもいいんだが、俺たちだとバレるのはマズいか。
本編でも解説しましたが、お城などの警備が厳重な場所は塀の上に結界が施されています。ナツちゃんは簡単にすり抜けましたが、普通はできませんからね!ちなみにこのすり抜け方は『ダイの大冒険』で大魔王バーン様のカラミティウォールをダイくんがよけたやり方そのままです。
あと、ナツちゃんの鍵開け魔法はドラクエ3の『アバカム』ですね。リアルにやれてしまうと鍵が意味なくなっちゃうんですけどね···。
そして第13章で格闘技大会で魔玉を仕込まれた人が登場した差し金はこの大臣でした。アキくんたちの手によってこの大臣の計画も知らない間に潰してしまっていたんですね~。
このお話は最後の『おぬしも悪よのぉ~』というセリフを書きたかったがために産まれました。たった一言のセリフを言わせるためだけにここまで話が書けちゃうのも、作者が言うのもなんですがすごいですなぁ~。
さて次回予告ですが、ナツちゃんたちは盗賊団の頭を追ってアジトを突き止めようとしますが、逆に頭にバレてしまいます!果たしてどうなるのでしょうか?
次回は本日夜に投稿します。お楽しみに~!




