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【11/20番外編再開!】アキの異世界旅行記 すぴん・おふ!  作者: ぷちきゅう
それぞれのその後

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ナツ編-02 開店準備とプレオープン

「···うん。いい雰囲気だね」


「そうなのか?よくわからんが」


「···これなら、いろんな料理が出せる」



 ナツは店舗内と厨房内を見て回ってそういう結論に達したようだった。


 店はナツに任せて、俺は今日も畑に繰り出す。最近はゾンビ魔獣がほとんど出なくなってきたので、魔獣を使った肥料作りができなくなりつつあるんだよ。まぁ、隣りにある北の森にはまだまだ魔獣がいやがるから討伐に行って肥料にしてやるけどな。


 去年に比べて質も量も良くなってきた。エイルが連れてきた農民も喜ぶほどの出来栄えだ!現在は30人ぐらいいるな。ほとんどが魔獣によって畑を失って流れて来た人たちだ。


 この農園はエイルと俺がいるし、農園を囲むように土壁と掘りがあるから、外からの侵入はほぼできない。ゾンビ魔獣もほぼ出なくなったので、農民も安心して畑仕事ができるようになってるからな!



 店は改装工事に入った。って言っても厨房内と水回りだけしかいじらないらしいけどな。


 工事についてはアキさんが寸法を測って、あいつと相談して工事内容を決めていた。事前にある程度どうするかは決めてたようだけど、実際に店の中がわからないと詳細がわからんからな。


 そう言えば改装後の店内のレイアウトを教えてなかったよな?まぁ、こんなかんじだ。


挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)


 店に入ったら受付用カウンターと厨房がつながっている。小さな休憩所が厨房内にある。無限収納ポシェットがあるから、食糧庫は必要ないので潰したんだ。


 厨房内のレイアウトは調理工程で時計回りでぐるぐる回れるよう『動線』?が整理されてるらしい。よくわからんが。


 テイクアウトってのは持ち帰り用らしいけど、将来用の構想だな!今は2人しかいないからムリだしな。


 厨房の脇にある階段から2階に上がったら俺たちの住居スペースだ。台所は店の厨房があるのでない。リビングと部屋が6つある。うち1つは俺とあいつの寝室だ。あいつん家のアキさんとハルさんと同様にしたいってあいつが希望したからな。


 残りの部屋は今は使ってないけど、物置と将来子どもが生まれたら使う予定の部屋だ。



 1か月後。



 ふぅ~!今日もいい汗かいたぜ!畑仕事を終えて、改装工事が終わって今日から入居できるようになった家に戻ると、ナツが無限収納ポシェットからたくさんの魔道具と調理器具、皿やカトラリーなどなど出して収納していた。



「お前···、こんなに用意してたのか?」


「···?当たり前。···店やるんだから」


「どこにそんな金あったんだよ?改装工事も含めて」


「···冒険者で稼いだ」


「あ〜、そういう事か。だから冒険者やってから店やるって言ってたんだな」


「···ま、皇国で安く仕入れたからね。···サキちゃんとパスさんのコネも使ったし、皇城のおさがり品(・・・・・・・・)ももらった」


「大国の皇帝って···。とんでもねえコネだな」


「···使えるものは使う」


「へいへい。で?手伝いはいるのか?」


「···ないね。···そろそろ夕食作るよ」


「そういや、お前のメシ食ったことなかったな」


「···ド肝抜くよ?」


「ほう!?飲食店やるならそうでないとな!」



 ···本当にド肝抜かれたわ!!



「なんだよ!?めっちゃうまいじゃないか!?うちの農園の野菜使ってるんだよな!?」


「···もち。···あとは魔獣の肉を使ってるぐらい」


「ありえね〜···。そこそこのうまさの野菜なのにこんな味が出せるんだな···」


「···これなら売れるね?」


「いいんじゃね?まぁ、立地の問題はあるだろうけどな。そう言えば店の名前って何にするんだ?」


「···『ハンティング・アイ』」


「何だそりゃ?」


「···パパの世界のマンガで盗賊がやってた喫茶店の名前を、そのまま使おうとしたらパパに止められた。···『狩りの目』っていう意味」



 よくわからんが、まぁいいんじゃね?悪党をしばくにはいいと思うぜ?店の名前の看板は入口の右側に建てられた。その隣にはメニュー表の看板も建てられた。これで外観はできたな!



 提供する料理の食材は野菜については俺の農園で、肉類は都内の肉屋さんから調達だ。肉屋はお城に出入りしている業者を紹介してもらっている。女王の計らいでな。


 ただ、あいつは高級肉じゃなくてクズ肉ばかり仕入れてやがった!切れっ端だけで何やろうってんだ!?



 さて、オープンの日が明日となり、今日はプレオープンの日だ。身内を呼んでいわゆるお店ごっこをやるらしい。


 そんなの聞いたことないけどな!どうもあいつの親父のアキさんが言うには『正式なオープン前に問題点がないか確認するためにやるもの』ってことらしいぞ?よくわからんが···。


 ナツはコックの格好をしていた。シンプルなエプロン姿なんだが、胸のところにあいつの顔が刺繍してあるんだわ。


 なんでも有名なファッションデザイナーが鼻血噴きながら(・・・・・・・)デザインしたエプロンらしいんだよな。···だから赤いのか?


 来たゲストはあいつの家族、フユの妻のユキ、リオさん一家、あとはうちの元パーティーメンバーだ。総勢14人、これで店の半分は埋まったな。俺は給仕だ。あいつが作った料理を提供したり注文取ったりするんだ。



「···今日はナツの店『ハンティング・アイ』にようこそ。···おいしい料理を楽しんで」


「ナツ!おめでとう。ムリせずに自分のペースでやるんだよ」


「···ナツ、おめでと。楽しみにしてるね」


「···パパ、ママ。ありがと」


「ナツ!おれも楽しみだよ。ね?ユキもそうでしょ?」


「そうね!ここなら総本山も近いし、通えるわね」


「···お兄ちゃん、ユキ。ありがと」


「ナツ!おめでとう!わたしも楽しみだったのよね~」


「僕も。おめでとう、ナツ」


「···リナ、コル。ありがと」


「ナツの料理は美味しいもんね~。お店だとどんな料理だろうね〜?」


「私も楽しみです〜」


「···ケン、ミル。ありがと」


「ナツは料理上手だったからなー!きっと繁盛するぞー。オレも店出してみようかなー?」


「やめなさい!!本当に死人出るわよ!?まぁ、ナツなら問題なくやってけるでしょう。あたしも楽しみだわ~」


「···リオパパ、ナナママ。ありがと。それじゃ、メニュー見て注文して」



 ナツの呼びかけでプレオープンが始まった。メニューを見てみんな注文をしたけど···。あいつ一人で全部捌けるのか?



「オーダー取ってきたぞ!一気に作れるのか?」


「···うん。···これぐらいなら。···マカセテ」



 次の瞬間!あいつは分身の術で4人になって一気に調理し始めた!?···そんな使い方ありかよ!?


 分身の術は体を分身させて手数を増やしたり攻撃目標を分散させて防御する目的でやる技だ。本体は1人だけで、他は意思を持たない操り人形と同じだ。


 しかし···、こいつは全員意思を持ってまったく別の行動をしてやがるぞ!?どうなってんだよ!?器用ってレベルじゃねーぞ!?


 しかも言葉を出さずに連携してやがる···。『意識の共有』ってやつの応用か?


 まずはドリンクだ。あっという間に全員分用意しやがったぞ···。俺はすぐに提供する。


 次に焼き料理系だ。サラダも同時に出してきやがった!テーブルヘ持って行く俺が追いつかなくなりだした!


 最後は揚げ料理と煮込み料理だ。からあげとシチューってやつだな。これを持っていって全員分のオーダーは完了した。


 この間、10分以内。とんでもねぇなぁ~。さて、ゲストたちの評価は?



「「「「おいし〜い!!」」」」



 だろうな~。いったいどこでこんな料理を知ったのかがわからん!見たことのない料理ばっかりだからな。···俺が知らないってのもあるだろうけど。


 プレオープンは大好評で終了した。これなら正式にオープンしても問題なさそうだな!



 その日の夜。



「ちょっと聞きたいんだけどいいか?」


「···?なに?」


「あの分身の術ってオリジナル技なのか?」


「···もち」


「どうやってあんなのができるんだよ?師匠の技の応用なんだろう?」


「···身体強化魔法の応用。···身体強化は魔力で体の動きを補助して能力を強化してる。···分身にも身体強化をかけてナツの意思で動かしてる」


「そんな事出来るのかよ!?」


「(コクン)···ま、ちょっと頭使うから慣れるまでキツいけどね。···コツは、『自分以外は単純作業を任せる』、かな?ちょっとだけ意識の共有も利用してるけど」


「相変わらずバケモンだな···。師匠でもそんな事できないぞ···」


「···バケモンだなんて()に失礼過ぎる」


「これは褒め言葉だぞ!?誰にもマネできないんだからな!」


「···お兄ちゃんもできるけど?」


「双子共々バケモンだわ···」


「···今のは褒め言葉じゃなかった」


「へいへい、悪かったよ」



 これは···、いつまで経ってもこいつには勝てんわ。

 ナツちゃんのお店の名前の元ネタは北条司先生の『キャッツアイ』ですね!アキくんの言う通り、そのままはさすがにマズイのでこうなりました。

 あちらは喫茶店でしたが、こちらはいろんな料理を出しますよ~。

 エプロン含めた調理服はもちろんイサさんが鼻血吹きながらデッサンした特注品です(笑)!

 そして調理はナツちゃんが『分身してやる』という荒業でした!ちなみにこれを思いついたのはエセムさんの身体強化魔法の応用からですね。


 図面はいかがでしたでしょうか?こうやっていろいろ考えて間取り配置を決めるのは面白かったですね~。描き終わってからナツちゃんとヨウくんがどう動くかな~?と想像したりしましたよ。


 さて次回予告ですが、ちょっとだけ時間を遡ってナツちゃんのお店の改装工事の模様をお届けします。エピローグにあったとおり、アキくん監修のもとで改装されたのですが、とんでもない設備満載のお店に魔改造されてしまいます(笑)!某リフォーム番組のような感覚でお楽しみくださいね~!


 明日と明後日は朝と夜に1話ずつ投稿します。

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