ナツ編-01 店を開く準備
本日は那智勝浦の洞窟の中にある温泉宿に来ております!久々の温泉三昧を楽しんでおりますよ〜。
本日より結婚して独立した子どもたちのその後のお話をお届けしますよ~!
まずはナツちゃん編です。全24話のうち前半の20話を投稿します。
ザクッ!ザクッ!
単調ではあるけど、土を耕す音が周囲に響く。響くって言っても普通の音だけどな。
俺はヨウ。元整調者だ。大した活躍はできなかったけどな。
そんな俺が今は王都の外壁の外側の荒れ地を耕している。ここは12年前にリオさんたちがスタンピードを退けた戦場だ。先日のスタンピードでも戦場となった。
まぁ、先日はあいつらが外壁の上から無制限に特大魔法を撃ちっぱなしにしていたらしいけどな。なんで整調者以上の力持ってんだよ?ありえねえだろ!?
さて、なんで今俺はこんな荒れ地を耕しているのか?というと、ナツが店を開きたいって言ってんだよ。その食材を作るために、先に俺が畑を作ってんだ。
これには女王からも正式な依頼として直接請けることになった。まだまだ魔獣がウヨウヨしてやがるからな。王都防衛にも役立ってるようで、一石二鳥ってやつだな。俺にも収入が入るから三鳥になるか?
土を耕していると、ゾンビ魔獣を掘り当ててしまう。これが結構出てくるんだわ。魔獣を倒したあとに放置すると稀にこうなるんだよな。まぁ、先日はともかく、リオさんの時はそれどころじゃなかったらしいから仕方ないよな。
ま、出てきても俺の敵じゃない。さっと倒して燃やして肥料にするだけだ。
そう、俺も魔法を使えるようになった。コルとリオさん仕込みだけどな。コルやあいつらみたいに上級威力の魔法は使えねえが、そこそこな魔法は使えるようになった。こりゃ便利だわ!
だからといってナツにはまだ敵わないんだよなぁ〜。ホント、あいつバケモンだわ!あいつの前では言わないけどな!
さて、今日はこんなとこかな?ざっと100m✕200mぐらいできたか?
畑なので、ここには野菜と果物を順次植えていっている。苗はデジアが妖精の村から届けてくれたわ。
デジアが言うには『魔獣の死体の残滓を栄養に育つから、こういう環境は最高!』らしいぜ?···で、味は?
「おーーい!ヨウ!お疲れさまーー!」
「おっ!?エイルか!どうしたんだーー!?」
「こりゃすごいなぁ~。結構開墾できてるじゃないか!」
「まぁな!案外、俺ってこういう農業に向いてたのかもな!」
「何が向いてるかはやってみないとわからないものだなぁ~。そうそう、女王様からヨウに連絡事項があってな。伝令で来たんだよ」
「連絡事項?それって?」
「ヨウとナツちゃんが開く飲食店の営業許可が下りたのと、場所が決まったんだよ。なかなかいい位置にあるぞ」
「おっ!?やっとかよ〜。結構かかったなぁ~」
「仕方ないさ。いくら王都防衛の英雄とはいえ、あからさまに審査や許可を優遇するわけにはいかんからな。それに王都はそこまで広くないから新築なんて難しいしな。店をやってて跡継ぎがいなくて探してるなんてそうそう出てこない状況だったからなぁ~」
「それで?どの当たりなんだ?」
「城からシヴ湖に向かう道中の1軒家だ。人通りはそれほどないが、静かな場所だしこの農園までだと都内よりかは近いぞ」
「ふーん。まぁ、いいんじゃね?」
「それよりも、この農園はどうするんだ?女王様からいただいたとはいえ、こんなに広大過ぎると一人では無理だろ?」
「そうなんだよなぁ~。ちょっと手を広げすぎたよなぁ~」
「だったら私も手伝おうか?今日はその相談もあったんだよ」
「エイルが?騎士団はどうすんだよ?」
「もちろん退役しますよ?さすがに元整調者が軍にいるのは各国の軍事バランスを崩しかねないですからね~。
私としては何か王国のためになるような事をやりたいと思ってましたから、ここだったらゾンビ魔獣退治もできますし、ちょうどいいかな?と思いましてね」
「いいぜ!助かるわ!」
「ははは!まぁ、規模からして私だけでもキツイですから、何人か雇いましょう。いい作物ができるといいですね~!」
そんなわけで、エイルも協力してくれることになったぜ!耕すだけなら俺だけでもできるけど、種を植えてからは厳しいからな。
1年後···。
農園は開墾が一段落して、デジアからもらった苗が育って1回目の収穫ができた!まぁ、最初だからよくわからずに育ててたんで出来はまぁまぁだが、かなりの量は採れた。
一応、何度かデジアも来て指導してくれたけどな。みんな初めてだったからうまくはいかんわ。今年の作付けは去年の失敗を活かしてもっといいものにしたいよなぁ~。せっかく作るんだからな!
収穫した農産物は王都の市場で販売した。それなりの売上はあったが赤字だな。まぁ、女王から掘り起こしたゾンビ魔獣討伐と開墾の報酬でトントンといったところだ。収支の計算は俺にはできないからエイルにしてもらったよ···。
今年は収穫が終わったあたりで結婚式をやることになってて、そしてナツが合流して一緒にやる予定だ。並行して飲食店の準備もやるんだ。
ただ···。ナツは飲食店以外にもやるつもりらしいんだわ。聞いた時は驚いたけどな!
あいつ、冒険者ギルドや兵士たちでは対応しきれない闇の部分に切り込む気らしいわ。なんでも、過去に人さらいのアジトに乗り込んで潰したらしいんだよな。···なんでそんな事になったかはわからんが。
その連中もギルドや憲兵の目を逃れ続けていたから、王都にもいっぱいいると踏んでるんだろう。そういう意味ではテリーの兄貴の情報網とも連携してもいいな!
そして···、ついにナツが下見で店にやって来た!
「···うん。···いい場所じゃない?」
「ちょっと人通り少ないけどな」
「···それでいい」
こいつの言う事はたまによくわからんよなぁ~。
ヨウくんはまじめに農作業をしていました。
実際に開墾してからすぐに苗を植えるのは妥当ではないんですけどね。肥料を混ぜて土づくりをしないといけないんですけど、デジアさんが持ってきたのは魔獣の死体があったら成長するものでしたので、その点ではこの土地は最適なんでしょう(笑)!ヨウくんも言ってましたが味は···。
そして営業許可が下りてナツちゃんのお店は王都の中心地からは離れた場所にある一軒家でした。立地的にはかなり不利なんですが、このあとどうなるんでしょうね?
さて次回予告ですが、結婚後にお店を改装してナツちゃんのお店がプレオープンします!
しかし、夫婦で経営なのでそんなに多くのお客さんを入れることができないのですが、ナツちゃんはとある技を応用して対応しようとします。
さらに!ナツちゃんのお店の図面を今回は作成しました!2階建てなので2枚をExcelで簡単に作りましたよ~。こちらもご期待ください!




