子どもたち、合同結婚式を挙げる 前編
子どもたちが成人し、冒険者業を順調にこなして1年が経った。大きなケガもなくて、親としては安心だったよ。
まぁ、今の子どもたちの実力なら油断しない限り危険な状況にはならないけどね。
ちなみに冒険者業をやってる間、ミルちゃんは『花嫁修業』と題して家事をナナから手ほどきされていたよ。···大丈夫だろうか?
そして、子どもたちの冒険者業も一段落したので、『全員まとめて結婚式を開きたい!』って言い出したんだよ!これには全員びっくりしちゃったよ!?
「リナ、ケン。本当に冒険者業辞めて結婚するんだなー?」
「辞めないわよ?結婚してもコルとやるだけだしね~!」
「ぼくも、ちょっとやりたい事が別にできちゃったからね。それが落ち着いたらまた再開するけど?」
「そ、そうかー。ちゃんと将来を考えてんだなー」
もう、リオはこういう時は本当に心配性だなぁ~!子どもたちの自立なんだから応援してあげないと!
「リオ?もうリナとケンも大人なんだし、ちゃんと将来を考えてるんだから、後押ししてあげようね。結婚式はボクで段取りしておくよ。日時が決まったらすぐに知らせるからね!」
「「ありがとう、アキパパ!」」
「さて、フユもナツもいいんだね?」
「うん!おれも槍をやってみたいしね!」
「···店の許可出たって言ってるから」
「そうかぁ〜。二人とも立派になったなぁ~!あと、ナツのお店はパパも改装工事のお手伝いするからね」
「···うん。ありがと」
翌日、ボクは休みだったので、ボクは式場の手配を、リオとナナは浮遊大陸にいるミルちゃんのお父さんのアブルさんとコルくんのお父さんであるコランさんの参加意思を確認に現地へ飛んだ。それとあいさつも兼ねてね!
さて、教会はいつでもいいみたいなので1か月後で手配しておいたよ!
あとは神父さんがいないんだよ···。この世界の教会ってあんまり熱心に神様を信仰してないんだよね~。まぁ、神様がエレさんだったからなぁ〜。あんな性格だから、人徳ないもんね。
となると、あの人にお願いしようかな?
そうしてやってきたのは町中にある、何の変哲もないワンルームの家だった。
「エレさーん!アキです!いますか〜!?」
···へんじがない。ただの居留守のようだ。
「いるんでしょ!?借金取り立てじゃないですから!お願いがあって来たんです!」
そう言ったとたん、バタバタ!と音がしてドアが開いた。···まだ返済できるめどが立ってないのか。
エレさんは『神様の退職金』名目で大金持ち込んで引きこもり生活をしていたけど、無計画に使い込んでしまって生活が厳しくなり、生活費を稼ぐためにラーメン屋台をする運転資金をボクから借りてるんだよ。500万ジールも。
「あはは!そうなら先に言って欲しかったなぁ~!」
「···あまりうまくいってないんですね?」
「···ああ。以前は神様ポイント(GP)で日本の味を再現してたんだけどね。自力だと厳しくて···。ラーメンなんてこの世界にないから競争力もクソもないと思ってたんだけどなぁ~」
「頑張ってくださいとしか言えないですけどね」
「ははは···。ところで頼みたいことって?」
「そうでした!実は子どもたちが合同で結婚式をやるって言い出したんですよ」
「おっと!?それはめでたいね~!」
「教会は来月におさえたんですけど、神父さんがいないので、元神様であるエレさんにお願いできないかな?って思いまして」
「そういう事か!まっかせなさーい!アキくんの結婚式で経験済みだからね!」
「やっぱりそうだったか!じゃあ、よろしくお願いしますね」
「ちょっと待ったーー!!」
「はい?どうしたんです?」
「コ・レ!!」
「右手の親指と人差し指をつないで···?」
「お布施!!リアル元神様がやるんだから!」
「じゃあ、借金から差し引く形で」
「おぉぅ···、厳しいなぁ~···。神も仏もないのか···」
「···あんた、元神様でしょ?」
これで神父さんゲットだぜ!リアル神様だから最高じゃないかな?『元』だけどね。
そして、次の休みにフユとナツを連れてユキちゃんの実家であるリム流総本山に行って、結婚式の話をしておいた。
「アクロへは前日にアキさんの転移で向かうのですね?よろしくお願いします」
「こちらこそ。フユがこれからお世話になります」
フユはこの総本山で師範として道場生に指導することにしたんだって。最終的には剣術とボクの剣術を槍に応用した流派を作るんだって!夢があるなぁ~。
そして、王都の外壁外で農業を始めたヨウくんとエイルさんにあいさつし、さらに転移でブートの里に行き、チパさんにも報告と参加をお願いしておいた。
もちろん、魔力はミルちゃんの魔石を使わせてもらったよ。まだまだたくさんあるから出し惜しみはなしだよ!
一応、ちーむッス!でアイリさんたち旧整調者メンバーとデジアさんとイピムさんにも伝えてあり、こちらは自力でアクロへ向かってくれるそうだよ。
さて、これでボクの方は準備完了だ。あとはリオだね!
リオの方も浮遊大陸でアブルさんから了承を得られたよ。そんなに襲撃はないものの、やはり警備隊長だから長く離れられないみたいなので、前日にボクが変身して転移で迎えに行く予定だ。
コランさんはピムエム皇国にコルくんと一緒にいたので、話をしてコルくんの転移で前日に来るようだ。コルくんってスマホのアシストがないのに転移ができるようになってたね。すごいわ···。
さらにパスさん一家も来ることになってしまった!リオたちが高速飛行で向かっちゃったから、国境で入国した事実を察知してコルくんの護衛している商隊へやって来て事情を聞いたらしいね。う〜ん···、とんでもない情報網だなぁ~。パスさんたちはコルくんの転移で来るんだって。
そして、結婚式前日。
まずは長距離転移でチパさんを迎えに行き、次に王都の城門外でフブキさんとヒサメさん、それにエイルさんにヨウくんと合流した。そしたらなんと!イスピ女王様までいたんだよ!
「久しぶりに外の空気を吸いたいしね。パスティー皇帝も来るのでしょう?」
「大したもてなしはできないですけど···」
「構わないわ。リオの家でくつろぎますので。アキさんにはご迷惑おかけしませんわ」
「いえ、旅館を貸し切りにしてますから、そちらで滞在して下さい。来賓も多いので···」
危なかったぁ〜!うちとリオの家じゃ泊まりきれないから、事前に宿を2日間貸し切りにしておいたんだよ。17人も来るからね!うちとリオの一家含めたら29人になるからなぁ~。
さて、王都方面の送迎は完了して、皆さんは温泉宿に入ってもらい、温泉を堪能してもらったよ。次は浮遊大陸だね!
「じゃあ、リオ!久しぶりだけどいくよ~!」
「おう!せーの!!」
「「インテグレーション!!」」
ムーオとの最終決戦以来の変身だね!さあ!浮遊大陸へ転移だ!
転移で金竜の集落に着いたら驚かれちゃったね。事前にリオが伝えてたんだけどなぁ~。アブルさん以外は初めて見たからね。
アブルさんを連れて、再度転移でアクロへ飛んで温泉宿に入ってもらったら、カーネさんたちがちょうど陸路で到着したんだ。途中でオルさんたちと合流したようだね。
そして新世代組のイピムさんとデジアさんも到着したんだ。これで全員揃ったね!
今日1日はのんびりしてもらい、明日10時から結婚式を行うよ~!
神父さんは元神様のエレくんが『有償』でやってくれることになりました。って言っても借金からの棒引きなのですけどね。この直前にエレくんはアキくんから借金したんですが、ラーメン屋台がとん挫してしまい、うまくいかなくなってしまったんですね。悠々自適な引きこもり生活から一転して借金生活になったエレくんですが、どちらかというと借金生活の方が作者は書きやすいんですよね(笑)!
さて次回予告ですが、関係者を集めて合同結婚式が執り行われます!参列者の人数は少なめですが、大物ばかりですけどね。
それではお楽しみに~!




