アクロ温泉にあった遺跡 その2
今日も朝と夜に1話ずつ投稿しますよ~!
アクロの下水道清掃の依頼を請けてやってたら、いるはずのない魔獣が現れた。
今回はその調査だったんだけど、調べてたらなんと!遺跡を発見したんだよ!
大事を取って引き返してきたら、ギルドの受付のおばさんからママと一緒なら請けれるって聞いたんだ。そこでママに相談にしたらOKしてくれたんだ!
「遺跡ね~。ボクもちょっと気になるなぁ~」
「じゃあ、パパも一緒に行ってみる?」
「そうだね。リオも連れて行こうかな?なにかあった時にアドバイスもらえるしね」
「···ナツはリオパパを連れて行くのはちょっと勘弁してほしいかな?」
「えっ?どうして?」
「···リオパパはワナを全部作動させちゃうから」
「あ〜···。確かに。フユ?魔獣の強さってどんなかんじだった?」
「ここらへんの上位の魔獣だね。特殊個体とかはいなかったよ」
「わかった。じゃあ、ボクとハルで付き添うね」
「「パパ、ありがとう!」」
「ははは!あっ、そうだ!一応エレさんにも何か知ってないか聞いておくよ。元神様なんだから情報持ってるかな?」
探索は今週の週末になった。パパがお休みの日なんだよ。ママも仕事を調整して休みにしてくれたんだ!
パパはお弁当まで用意してくれたよ!もうこれだけで今日はやる気マンマンだよ~!
うちにリナとケンも集合してこれから出発だ!その前に打ち合わせをすることになった。パパがエレさんから話を聞けたようだね。
「エレさんによると、あの遺跡は今の文明が栄える以前の文明の代物かもしれないらしいんだよ」
「「「「以前の文明?」」」」
「そう。あんまり大っぴらにできないらしいけど、この世界にはエレさんの前に別の神様がいたんだって。
その神様が別の世界を気に入っちゃって侵略に出かけちゃったらしくて、この世界はほったらかしにされちゃって一度滅んだらしいんだよ。その時のものらしいね」
「うわぁ〜!身勝手な神様だったのね!?」
リナが呆れてるよ。まぁ、おれも同じ思いだけどね。
「そのせいで逆襲で別の世界からエーレタニアは侵略されまくったらしいよ」
「···それって、その神様のせいでひどい目にあったって事?」
「迷惑だなぁ〜!」
ナツもケンもそう思うよね。おれも無茶苦茶な話だと思うよ。
「まぁ、エレさんがこの世界を担当して真っ当な状態にしてくれたらしいね。···死んだ魚の目をしながら話してたから、相当苦労したんだろうね」
「じゃあ、魔獣もその頃の?」
「いや、フユがそう思うのも間違いじゃないんだけどね。そのあたりは行けばわかると思うよ」
エレさんのおかげで事前に情報が手に入ったし、これから向かおう!
家を出たら、リオパパとナナママがお見送りをしてくれた。
「リナー?オレ行かなくて大丈夫かー?」
「パパが来たらワナ全部作動させて逆に危険よ!大人しく待っててちょうだい!」
「アキパパとハルママがいるから大丈夫だよ。パパは朗報を待っててね」
「わかったぞー。じゃー、帰ったらオレの料理で盛大にパーティーするぞー!」
「「「「だが断る!!!」」」」
「全員拒否ーー!?」
そんなドタバタがあって、おれたちは下水道の入口に着いた。
地図アプリのオートマッピングで遺跡までは一直線に進んだ。魔獣は2匹だけだったね。おれとケンで倒したよ。
そして、遺跡の入口に到着した。前の文明って事は途方もないくらい昔なんだろうけど、壁とかはまだまだしっかりしてたよ。
ここでママがおれたちに忠告してくれた。
「···ここから先は慎重に進むこと。···私はみんなの後ろからサポートする。···できる限り自分たちで解決すること。···いい?」
「「「「はいッ!!」」」」
さて、突入だ!先頭はナツとケンだ。ワナ察知は得意だからね。
中に入り、奥へ進んでいった。ワナは今のところ見当たらず、淡々と進めた。
道中には魔獣がちらほら見かけたので、その場で討伐だ!どうやら上の階から来てるようだったので、先に上を調べることにした。
すると、地上に出てしまった。えっ?地上から入れるところがあったの!?これにはパパとママがビックリしていたよ。
「ここは···、アクロの源泉である大湯沼だね。この大岩の裏に入口があったなんて、気づかなかったよ」
「···そうだろうね。···大岩の裏なんて誰も来ないし、外からだと茂みで穴があるなんて気づかなさそう」
「ハルでもそう言うなら誰もわかんないね。ということは、魔獣はここから入り込んじゃったっぽいね」
「じゃあ、パパ、ママ!とりあえず魔獣がどこから入ってくるかはわかったね!次はこの遺跡の奥へ行ってみようか!」
「フユ、待った!ここでちょっと早いけどお昼にしよう。この先、遺跡内部で安全な場所がないかもしれないからね」
「それもそうか···。パパ、ありがとう!」
というわけで、先に昼食となった。
パパのお弁当はいつもおいしいね~!みんな大満足に食べてたよ。
確かに魔獣に襲われる危険がある中でゆっくりと食事や休憩なんてできないからね。ちょっと反省だ。
さて、ゆっくりと休憩してから遺跡探索を再開した。さっき出てきた穴からまた入って、今度は最下層を目指した。
やっぱりワナは見当たらなかったね。ということはダンジョンじゃないってことだ。ただ···
「うわっ!?」
「ケン!?」
ケンの足元が急に崩れたんだ!幸い、ドラゴン族だから飛んで戻ってきたけどね。
「だ、大丈夫!かなり古いから崩れやすいのだろうなぁ~」
「···ワナじゃないからナツも察知できなかったね」
「じゃあ、ぼくが先頭を歩くよ。崩れても飛んで戻れるしね!」
ここから先はケンが先頭に立って探索した。魔獣はほとんどいなかったね。やっぱりさっきの穴から入り込んじゃってたみたいだね。
そうしておれたちは最深部に到着した。そこにあったのは、見知らぬ巨大な魔道具だったんだ···。
「これって···、なんだろうね?パパはわかる?」
「う〜ん···。これってもしかして、汲上ポンプかなぁ~?」
「「「「汲上ポンプ?」」」」
「そうだよ。どうも地下からアクロの温泉をこれで汲みあげてるんだね。構造が似てるんだよ。元の世界にあったものとね。
だとしたら、これはすごいね!メンテナンスフリーで動き続けてるんだから!」
「アキパパ?メンテナンスフリーって?」
「ケン、動くものは必ずお手入れが必要なんだよ。メンテナンスフリーってのは、お手入れしなくても大丈夫なものなんだよ。まぁ、それでも壊れるけどね」
「前の文明から動いてるってことは、相当長く動きっぱなしなのね?」
「そうだね、リナ。この遺跡はアクロ温泉の源泉を汲み上げる施設だったんだよ。これは大事にしないとね!」
···もしかして、パパは最初から気づいていたのかな?温泉に関係することだから気になっちゃったのかな?
調査は完了し、ギルドに報告しておいた。後日、本格的な調査が行われた。もちろん、パパもついて行っちゃったね!
その結果、前の文明での遺物であるのが確定した。パパが言った通り、地下から源泉を汲み上げる装置で、温泉に含まれる高濃度の魔力をろ過して外の大湯沼に流し、魔力は動力源として再利用されてるそうだ。
パパが言うには『一種のこーじぇねれーしょん』って言うらしいけど、難しすぎてわかんないや!
アクロは前の文明から温泉街だったという長い歴史があったんだね。もしかすると、うちの下を掘ったら遺跡が出るかもね!
アクロ温泉は自然湧出と見せかけて実は動力揚湯でした。掘削技術が発達した現代ではほとんどこれになっていますね。自然湧出の温泉は昔からの有名な温泉地ぐらいです。
ただ、この動力揚湯はやりすぎると源泉が枯渇する恐れもありますし、ポンプ代と電気代がめっちゃ高いので維持費がかかるんですよ。
あとコージェネレーションですが、元は発電した後の熱エネルギーを回収してボイラに回して蒸気を発生させたりといった2次利用の事を指しています。元々は船のシステムなんですよ。
ここでは不要な魔力を抽出して動力源に回すという意味でのコージェネレーションなんですね。ちょっと現代とは意味が違いますが、似ているので採用しています。
さて次回予告ですが、次のフユくんたちの依頼は配達です!ただ、かなり遠方までの配達なので、リナちゃんとケンくんの高速飛行魔法が大活躍しますよ~!
次回は本日夜に投稿します。お楽しみに~!




