イピム、学園で学んでみる
今日から3連休ですね!本作も3日連続で朝と夜に1話ずつ投稿しますよ~!
今日は夜明け前に家を出て墓参りに行きましたが、早朝なのに駐車場混んでました···。涼しくて混まないうちに!という方が多いんでしょうなぁ。
ちなみに作者はこれから仕事へ直行です(笑)。
よう!オレはイピムだ。虎獣人で、元整調者だ。
戦いが終わって、生きて整調者解任になったが、この後の予定は特にない。
厳しい戦いだったし、王都防衛という事で褒賞金ももらったし、サポーターとして付き合ってくれたアキさんは講師ということで、少し学んでみようか?って考えたんだ。
オレはもともととある町で門の警備をしていたんだ。こんななりしてるからな。腕っぷしはそれなりにあったんでな。いわゆる傭兵ってやつだな。
生まれは別の場所だ。腕試しに外の世界ヘ出て、傭兵として世間を渡り歩いてたってわけだ。
整調者になる直前、警備していた町が魔獣の大群に襲われた。もちろん戦ったさ。しかし、対応できる数をはるかに超えていたため、町の反対側から避難する事になった。オレは足止め役だな。
仲間たちが時間稼ぎ用に急造したバリケードを利用して撃破していたが···。結局は突破されて多くの犠牲者が出てしまったんだ···。
オレも瀕死の傷を負った。『もうダメだ···』、と思った時に神に救われた。
復讐の機会をくれた神には感謝だ。この力で魔獣どもを蹂躙してやる!と息巻いたが、現実は残酷だ。
王都の北の森での戦いでほぼ敗北だったんだ···。もちろん、ナメてかかっちゃいないさ。コルの回復魔法でなんとかなったがな。
そこでオレは考えた。力はあるが知識がないんじゃないか?ってな。アキさんが講師してるってことだから、そこで学んでみようって思ったわけだな。
そして今、学園長の面接を受けている。
「イピムさんは整調者でしたし、特に学ぶような事ってあるんです?」
「ある!力だけではない。知識も必要と、先日思い知らされたのでな。アキさんもいることだしな!」
「わかりました。寮には入られますか?」
「ああ。気を使われるかもしれんが、交流も大事とアキさんも言ってたしな」
「わかりました。ではすぐに用意させますね。それでは授業の受け方は···、アキさんから説明の方が気が楽ですよね?」
「そうしてもらえるならありがたい」
「では隣の応接室でしばらくお待ち下さいね」
応接室で待つこと15分。アキさんがやって来てくれた。
「お待たせしました、イピムさん。ご無沙汰してます」
「忙しいところすまないな。先ほど入園を許可されたよ。アキさんに授業について聞きたくてな」
「なるほど。そういうことなら···、文字は書けるんですよね?」
「ああ。計算はできないがな」
「でしたら基礎数学Ⅰがいいですね。四則計算は知っておくと便利ですよ」
「ではそれだな。他にオススメの授業はあるか?」
「初歩の魔法はどうです?リオとリオの師匠が講師やってるんですよ」
「面白そうだな!フユくんやナツちゃんのように多彩な攻撃というのは興味深かったからな!可能ならお願いしたい」
「わかりました。あとは···、ちょっとこれは失礼かもしれませんが···」
「気にするな。ドンドン助言してくれ」
「斧の扱いなんですけど、我流ですよね?武術の型を教える講義もあるんですよ」
「ほう?武術か···。確かに我流ではあるがな」
「差し支えなければやってみてはどうでしょう?何か新しい気づきがあるかもしれませんよ?」
「そう···、だな。うん!興味があるぞ!」
「ではとりあえずその3つを登録しましょう」
「アキさんの授業は受けれないのか?」
「受けれますけど、高等数学を使用するんです。ちょっと理解できないかもしれませんよ?」
「授業に出るだけでもいいか?」
「大丈夫ですが、試験を受けれないので、学習したとの認定ができないんですよ」
「構わない。アキさんの授業に興味があるのでね」
「ははは。そう言ってもらえると嬉しいですね。この後すぐに物理学の授業があるんですよ。よろしければ受けてみますか?」
「ああ!」
「では、ご案内しますね」
そう言ってアキさんの後についていった。
着いた部屋は階段状になっている大きな部屋だ。オレが入ったら驚かれたな。まぁ、ここにいる学生は小柄が多いからな。
「好きなところに座っていて下さいね~。じゃあ、みんな〜!授業を始めるよ〜!」
アキさんの掛け声で学生は着席した。今から始まるのだな。
アキさんは結構小柄な体型なので、黒板の上の方が届かない。だから踏み台を持参していたよ。
「はい!じゃあ、今日は力積の説明をしますね~」
「···?りきせき?この時点でさっぱりわからん···」
「力積とは、力と時間をかけたものでした。運動量の変化が力積なんですね。この変化をもたらすのが力です。なぜこれを知っておいた方がいいかと言うと、武器を振るう時に効果的だからなんですよ〜」
···?よくわからんが、武器を振るうのに重要だと?
「釘を打つときにハンマーで叩きますよね?振るう時間と、ハンマーが釘を打つ時間って大きな差がありますよね?この時、釘にはこの差分による非常に大きな力が働いて中に食い込んでいくのです。これを特に『撃力』って言います。皆さんが武器を振るう時も同じなんです。武器同士がぶつかった時に大きな衝撃がありますよね?その衝撃が『撃力』です」
···つまりこういう事か?武器を大きく振るうと威力が上がるのは、振るう時間と勢いが強いことで、大きな力が働いて魔獣を潰すって事か?なるほど。あんまり振るわなかったら大した威力にはならんな。
アキさんは今度は数式で書き出したが、これはさっぱりだった。周りの学生は一生懸命ノートに書き留めていたぞ。
アキさんの授業が人気とは聞いていたが、非常に分かりやすいな!まったく知識のないオレでも少しは理解ができたぞ!
そして、90分の授業が終わった。
「イピムさん、いかがでした?」
「まったく知識のないオレでも少しは理解できたぞ。さすがだな!」
「いえいえ。せっかく授業受けて学ぶなら、わかりやすく、楽しい方がいいですからね~」
「そうだな。これは、これから学ぶのが楽しくなりそうだ!」
「そう言ってもらえると嬉しいですね!」
次の授業も空きだとアキさんは言ってたので、学生食堂を案内してもらったぞ。昼時ではないのに多くの学生たちがいたな。そして多彩なメニューが大皿に取り放題というのはありがたいな!
こうして、オレは学園の学生となった。
これから興味あることについてたくさん学んでいくとするか!
イピムさんの過去については第17章の設定資料集で少しだけご紹介していましたが、今回その詳細を明かしました。
結局脳筋では限界がある!と感じたために知識も得よう!って思ったんですね~!まぁ、知識ばかりというのも困りものではありますが、こういった学ぶ目的があって学ぶと学習速度は非常に速くなりますよ。
さて次回予告ですが、子どもたちの冒険者のお仕事や結婚式のお話を7話連続でお届けします。
まずはお仕事ですね!本編第18章(最終章)で登場した下水道清掃で魔獣討伐したと報告後の調査のお話です。調査すると、とんでもないものが発見されました。それはいったい何だったのでしょうか?
次回は本日夜に投稿します。お楽しみに~!




