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短期留学編-18.共有能力の喪失

「うわぁ···、マジかよ?共有を教えるところからやらなきゃいかんとは···」



 共有···。聞いたことないんだよなぁ〜。ということは、とうちゃんもフーおばさんもあるってことだよね?




「共有というのは、ほかの誰かとなにかを共有する能力なんだ」


「ほかのだれかと···?」


「ん〜〜〜?」


「その様子だと誰とも共有してないんだな···。ちなみにハルは魔力の共有、フユとナツは魔力に加えて『意識』も共有できるな。そしてモンドは体力、フーは状態を共有できるんだ」


「はじめてきいたよ···」


「ママ、そんなのうりょくあるんだ〜」


「そうか···。そもそも共有は集団で狩りをする神狼族オリジナルの能力···、そういう事か!?」


「えっ!?」


「なになに!?」


「あ〜、わかったわ。『集団で狩り』をしなくなったから、共有する必要が薄れちまったんだ···。しかも今の神狼族は最大でも10人って縛りがあるからなぁ〜」



 どうやら、人数が少なすぎて『共有』の意味がなくなってしまったらしいんだ。一族が最大10人ってのも、とうちゃんからは聞いていたんだ。だから今はうちの家系7人だけってことなんだよ。



「あとはちびっこ以外は真のトランスになれるから、無双できるしなぁ〜。単騎で無双できたら共有は必要ねえから、モンドとフーも共有を忘れちまったんだな」


「え、え〜っと?」


「じゃあ、トランスできないの?」


「トランスはできなくはない。ただ、真のトランスになるためには共有能力があった方がなぁ〜。この星の魔力である『龍脈』とリンクするために利用するためにあったら手っ取り早いんだが···。トランスはあの方法(・・・・)ならなれるな」


「べつのやりかたがあるの?」


「ああ。ただ···、ちとこれはお前たちの親に相談だな。オレが勝手に判断するのは好ましくないんでな。ちょっと待ってろ」



 そう言ってレオさんは『ちーむッス!』でひーじーちゃんに連絡したんだ。ただ、その会話内容が···、



『レオ?なにかあった?』


「ああ、アキ。ちとマズイ事になっててな···。ちびっこたち、共有能力がねえみたいなんだよ」


『あ〜、真のトランスには必要なんだっけ?』


「絶対じゃねえんだがな···。あと、トランスするための方法がものすごく物騒なんでな···。だからモンドとフーに許可を得たい」


『···わかった。ちなみにどんな許可?』


「···死の一歩手前まで追い込む」


『なんだって!?』


「命の危機まで追い込むことで、生存本能を強烈に刺激するんだ。かなり危険な事だが、魔獣退治もほとんどしてない安全な環境にいたから、これぐらいやらねえとできそうにない···」


『············』


「そういえばナツとフユは初の魔獣戦闘で危機に陥ってトランスに目覚めたらしいな。あれよりももう一段階過激でないと、おそらく発現しないぞ」


『···わかったよ。モンドくんとフーちゃんに相談してみるよ。ちょっと待ってて』


「ああ。その間にちびっこたちにはいろいろと話しておくぜ」



 ···命の危険がある?そこまでやらないと、トランスにはなれないって···。


 ぼくもソラも、顔が青ざめてた。手足が冷たく感じてきたんだ···。



「···聞いての通りだ。このままだと、よほどの状況にならねえと、トランスが発現しねえ。···どうする?やめておくか?」


「「············」」


「まぁ、今の状況ならやめるって手はアリだ。アキたちのおかげで魔獣被害はオレが知ってる500年前に比べてものすごく少なくなってる。オレが昔に夢見た平和な世界が実現してるんだ···。そんな平和な世の中に、その気になれば世界を破滅させる力を持つ事自体が悪になりかねん。そういう意味では、お前たちがこの力を手にしないという選択は大いにアリだと思う」


「「············」」


「まぁ、ゆっくり考えておけ。親が了承したとしても、選択するのはお前たちだ」



 ···これ、前にとうちゃんが言ってた話と同じだ。



『力には使い方がある。力が強ければ強いほど、使い方を間違えた時の被害が計り知れん』


『とうちゃんってすごいちからがあるんでしょ?』


『ああ。この力があったからこの国を異世界の悪い神々から救い出したしな!』


『ぼく、そんなちからをもってだいじょうぶかなぁ〜?』


『確かにここは魔獣がほとんどいねえから、今のベルノでも十分といえば十分だな』


『じゃあ、ないほうがいいのかな?』


『そうとも言えないな···。力がなかったら守れるものも守れなくなるしな。あるに越した事はねえ。ただ、持つからには使い方を気をつける責任が出てくるぞ』


『せきにん···』


『そう。使い方を間違えれば、人の命を奪いかねん。力は守るために使う!これを間違えなきゃ、たいていは大丈夫だろうな。ダメな時もあるけどな!』


『う〜、むずかしいよぉ〜!』


『ははは!ベルノ!いつかそういう時があるぞ。その時に後悔しない選択(・・・・・・・)をするんだぞ!』



 ···うん。確かに力を使うことはないんだろうね。でも···、持ってても使い方を間違えなければいい!守るために力を持つんだ!



 そして10分ぐらいでひーじーちゃんからレオさんに連絡があったんだ。



『レオ、おまたせ!モンドくんとフーちゃんから、許可が出たよ···。ただ、『本人たちの覚悟を聞いてからにして』って···』


「···わかった。悪いな〜!結構言いづらい話だったのによ」


『講師がレオだから、二人とも信用してるんだよ。···気をつけて』


「ああ。···さて、聞いたとおりだ。どうする?やるか?それともやらないか?」



 とうちゃん···。魔獣や悪い神さまと戦ったりして危ない目に遭ってたんだよね?そうやって危ない目に遭って、今の平和な世の中になったんだよね?


 ぼくがこれまで魔獣とかと戦わずに済んだのも、とうちゃんたちが頑張ったからなんだね?


 だったら···、ぼくもそうなろう!力がない状態でもし孤児院とかが襲われてしまったら···、ぼくは後悔するだろうから!



「レオさん。ぼく、やります!」


「ベルノくん!?」


「ソラ。ぼくはとうちゃんみたいにみんなをまもれるようになりたいんだよ。だから···、やる!」


「···わかった。ソラもやる!」



 ぼくたちの決意をレオさんに言ったよ。レオさんは真剣な顔をしていたけど、ぼくたちの決意を聞いて、大きくうなずいた。



「···わかった。じゃあさっそくで悪いが、場所を変えるぞ」


「「え?」」


「ダイブ・イン!!ザ・ワールド!!」


「「えっ!?うわぁーーー!!」」



 レオさんが叫ぶと、ぼくたちの足もとにポッカリと穴が空いたんだ!ぼくたちはその穴に落ちていってしまったんだ···。

 かつてあった神狼族の反乱以降、神狼族はハルちゃんの子孫のみとなり、10人までという制約が課されてしまいました。

 集団で狩る行為自体がなくなり、さらにはベルノくんとソラちゃん以外全員が真のトランスになれてしまうため、共有すること自体が必要なくなってしまいました。

 そのために共有能力は喪失して引き継がれなかったんですね。確かに神狼族は親の能力を子に継承する能力がありますが、必要ない能力は喪失します。これはどの生物でもあるお話なんですね。

 ちなみに人間もかつてはおでこに目があったそうです。しかし、2つで十分だったのでおでこの目は喪失したそうですよ。

 ただ名残りがあるそうで、光を感じて体内時計の修正を行う機能があるそうで、おでこ付近の脳が損傷すると朝起きれなくなってしまうらしいです。

 このように生物は能力の新規取得と喪失を繰り返して環境に最適化していってるんですね〜。神狼族も同じなんですよ。


 さて次回予告ですが、ベルノくんとソラちゃんを窮地に追い込むために、レオくんはアキくんが開発を始めたばかりの世界へ2人を放り出してしまいました!

 果たして2人はどうなるのでしょうか?


 それではお楽しみに〜!

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