短期留学編-14.王都へ遊びに行こう!(道場編後編)
「さて、午前中は二人の実力を見せてもらったし、せっかくだから基礎も見ておこうかな?」
「「はい!!」」
午前中はじーちゃん相手にぼくとソラで立ち向かったけど、簡単に倒されてしまったんだ···。
じーちゃんは本当に強い!でも、今のぼくはとうちゃんがぼくの年と同じくらいの実力だったらしいんだよ。
ちょっと信じられないんだよなぁ〜。とうちゃんもじーちゃんぐらいに強いしなぁ〜。
でも、ぼくもとうちゃんみたいに強くなってみたいって思ってるからね。頑張るよ〜!
「よし!じゃあまずは構えだね。やってみて」
じーちゃんに言われて、まずは構えた。まずは基本の中段、そして上段、最後に下段だ。
中段は相手の喉元を突けるように構えるんだ。突く以外にも、体の中央に近いから、どこにでも最短時間で攻撃ができるんだ。一番スキがないんだよね。
そして上段の構え。剣を大きく振り上げた状態で、おなかにスキができてしまうけど、すぐに振り下ろせるので、一撃必殺に向いているんだ。攻撃特化だね!
最後に下段。剣を下から振り上げるようにする構えだ。どちらかといえばカウンター狙いに近いかな?
「うん!基本的な構えは大丈夫だね。じゃあ、秘技をゆっくりとなぞるように繰り出してみようか。螺旋斬から始め!!」
これもとうちゃんとの稽古で最初にやってる。技をものすごくゆっくりと繰り出すことで、洗練された技になるんだ。威力も当然上がる。
『この技はどういったものか?』という本質がわかるようになるんだ。だから、これも大事なことなんだよね。
「よし!モンドもフーちゃんも、ちゃんと基礎を教え込んでることがわかったよ」
「そ、そう?」
「えへへ〜」
「それじゃあ、今度はおれともう一度試合しようか」
「え!?」
「かてないよ〜!」
「いや、今回の試合は一味違うぞ」
「それって···?」
「どいうこと?」
「今度はおれからは攻撃しないから、おれの構えと状況から、どの秘技を使ったらいいか?を考えるんだ」
「え、え〜っと···?」
「ちょっとわかりにくいかな?じゃあベルノくん。やってみるから構えてごらん?」
「う、うん···」
どういうことだろう?じーちゃんは攻撃しないから、好きにぼくが打ち込んでいいってことなのかな?
ぼくが構えると、じーちゃんは大噴火斬りの構えをした!
「今、おれは大噴火斬りの構えをしたね。じゃあベルノくん?この状態のおれに一撃を加えるなら、どの秘技がいいかな?秘技を繰り出して答えてごらん?」
「············」
大上段に構えた大噴火斬りはスキが出来やすい。だから···、ここはこれかな?
「ひぎ!もみじ!!」
「残念〜!そりゃ!」
「うわっ!?」
ぼくが突っ込んでいくと、じーちゃんは大噴火斬りを放ってきた!思ってたよりも速い!!
突っ込む途中で技を解除して左へ避けた!あ、危なかった〜!
「ははは!確かにそれを繰り出すだろうなぁ〜。だけど、相手の懐にはいるということはかなりの危険を伴うぞ。正解は言わないから、どんどん試してみなさい」
「は、はい!」
だとしたら···、これだね!
「ひぎ!しっぷうじんらい!」
「正解!だけど若干惜しいなぁ〜」
ぼくが少し横にずれた位置から疾風迅雷を放った!でも、じーちゃんは木剣で防いでしまったんだ。
「うん。いい感じだね。それじゃあ今度は別の構えをするよ。次はどう打ち込んでくる?」
今度はカウンター技である斬月だ···。これは難しいよ。だって、どんな技を使ってもカウンター攻撃食らっちゃうんだもん。
さて、どうしよう?あんまり長く考えてたらいけないような気もするし···。
「ははは!さすがにモンドはここまでやってなかったんだなぁ〜。ちょっと早すぎるかもしれなかったかな?」
「とうちゃんはこれもぼくとおなじぐらいにやったの?」
「ああ。まぁ、モンドはベルノくんのように考えずにとりあえず全部の技を使ってきたけどね」
「···あ!」
「おっと?何かに気づいたかな?じゃあ、やってみようか」
「うん!じゃあ、いきます!」
そういうことなんだね!これは失敗例を学ぶってことなんだ!失敗して考えるってことなんだね!
だったら···、いろんなことを試すよ!
「ひぎ!らせんざん!」
螺旋斬は体を回して回転の力で何度も斬りつける技!最初の一撃を初撃で弾いて、2撃目をじーちゃんに叩き込む!
「うん!正解だね。全部試すのかと思ったけど、1発で正解を当てたね」
「うんがよかっただけだよね?」
「そうだな。じゃあ、どんどん違う構えをやるから、思いっきり打ち込んでおいで!」
「うん!」
楽しい!!とうちゃんと稽古をするのも楽しいけど、じーちゃんはいろいろと変わったことをやってくれる。
多分、ぼくの剣術を見て、とうちゃんがどこまでやったのかがわかっちゃったんだね。だから、じーちゃんはそれを上回ることをやってくれてるんだ。
「よし!最初よりもものすごくよくなったよ。ここまでにしようか」
「はあっ!はあっ!あ、ありがとうございました!」
「よし!じゃあ次はソラちゃん!ベルノくんがやったのと同じのをやるよ」
「は〜い!おねがいしま〜す!」
ソラはぼくよりも上手に立ち回っていた。まぁ、ぼくとじーちゃんのやりとりを見てたから、事前に知ってる状況だしね。
だけど···、
「···え!?」
「ははは!やっぱりね。ソラちゃん、ベルノくんの動きを見てて事前に知ってるからね。だから···、こうやって知らない構えを取るとわかんなくなったんだよね」
「う〜···」
「さあ、ソラちゃん?次はどうする?」
「···これっ!ひぎ!むそうれっぱ!」
ソラは夢想烈破を放った!無数の斬撃を繰り出すんだ!
「うん!お見事!じゃあここまでにしようか」
「はい!ありがとうございました〜!」
「じゃあ次はベルノくん!今度はおれが攻撃するから、全部防いでみるんだ」
「え!?」
「さっきとは逆だね。じゃあ始めようか!」
このあと、ぼくがボコボコにされちゃって、ソラもぼこぼこにされちゃいました···。じーちゃんは本当に強いし、厳しかったよ···。
フユくんはベルノくんとソラちゃんが基礎をきっちり習得してるとわかったので、応用を教えようとしました。
こうすることで『この状況ならこれ!』って判断する材料、つまり経験を積ませようとしてこのような手法を採りました。
さらに『失敗例を自ら知る』という事もやりました。現実では武術ではこういった手法ができますが、仕事ではこれをやるわけにはいかないんですよね。いわゆる『他山の石』として事例紹介ぐらいでしかできず、そこまで気にしなくなってしまって同じ事故をやってしまうんですよ。これ、昔作者もやらかしてドえらい目に遭いました···。
さて次回予告ですが、夕食の時間になり、今日の夕食はナツちゃんのお店へ行っていただきますよ~!ソラちゃんは初めて訪問なんですが、初めて訪問ということはヨウくんもソラちゃんに初めて会うわけで···。ヨウくんはちゃんとフツーに対応できるでしょうか?
そしてあの人物(?)が久々に登場しますよ〜!
それではお楽しみに〜!




