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アクロ温泉街発展計画-7.リオ、温泉を魔法で掘る!

  グロー歴524年7月21日 晴れ


 ディッガーさんたちがやって来て1月が経った。


 アクロにいる工務店の棟梁は大忙しだ。アクロの近隣に住んでいる知り合いや親戚にも動員がかかって工事が続いているんだ。


 今やってるのが足湯拡張工事だ。次に駅の屋根の建設を予定している。材木はリナのお子さんが切った大量の木を使用する。乾燥させないと反りが出ちゃうから時間かかるんだよね。


 ディッガーさんの業者は駅の舗装工事をやってる。インターロッキング仕様だから水はけも問題ないし、排水溝も整備が進んだ。雨が降っても足元が濡れてない方が快適だもんね。


 ここが終われば土産物屋さんの通りの道の拡幅だ。法面(のりめん)整備は足湯増築が終わったらやる予定だよ。



 さて···、次にボクたちがやるのはこれだ!



「おーーし!そんじゃーやってみるぞー!」


「リオ、よろしくね」


「サポートは任せろ。さ〜て、何が出るかな〜?」


「いや〜、何かドキドキしますなぁ〜!」



 ここは日帰り温泉の建設予定地だ。これから土魔法のストーンランスを改造したドリルランスで温泉を掘り当てるんだ。


 掘る担当はリオ。サポートはレオがやってくれる。まぁ、リオの事だからサポートなんて必要ないけど、万が一を考えたんだ。


 そしてもう1人いるよね?この人は誰か?って事なんだけど、ピムエム皇国の技術開発部の研究員さんだ。


 今回、アクロ温泉街発展計画をパスさんにも知らせたんだけど、皇国として王国の町に投資できないので、技術援助(・・・・)という形での協力となったんだ。


 そこでボクが要望したのは···、『温泉成分分析』なんだ。これだったらとやかく言われないでしょ?だって誰も有用性知らないんだから、『わけわからんものに金かけるなんてなぁ〜』ってなるもんね。



「ドリルランスー!まー、こんなもんかー?」


「リオ、もうちょっと刃の部分を太めにしといたほうがいいぞ。岩盤にぶち当たったら砕け散ってしまうからな」


「おう!···じゃー、これでどうだー!?」


「いいんじゃねえか?そんじゃあさっそくぶち込んでやれ!」


「おう!」



 レオのアドバイスを受けてさっと改良しちゃったリオ。やっぱりリオは魔法操作がうまいなぁ〜!


 そして完成したドリルランスを、リオは翼を展開して軽く飛んでから···、打ち下ろした!!



 ズドドドド!!



「うわっ!?土が!?ぺっ!ぺっ!」


「うおっと!?ははは!すげえ勢いだなぁ〜!」



 リオが地面にドリルランスを打ち込むと、掘られた土がボクたちの方まで飛んできたんだ!もうちょっと離れてたらよかったね···。



 ズドドドド!!!



 リオのドリルランスは順調よく地中を掘り進んでいるようだね。周囲には掘った土がどんどん積み上がっていったよ。


 そこそこな太さのドリルランスだったけど、掘って出た土の量は相当だった。まぁ、地中は土圧がすごいから、掘りおこした土は圧縮から解放されて空気を含んで体積が増えるからね。



 ズドドドド···



 掘っている音が小さくなってきた。だいぶ深くまで進んでいるようだ。


 その時だった!



 ドォーーーーン!!



「当たった!離れるよ!!」


「「おう!」」


「え!?離れるって!?」


「熱湯の温泉が出るかもしれません!やけどしちゃいます!」


「な、なるほど!」



 研究員さんは温泉についてはよく知らないから、どうして離れるのかがわかんなかったみたいだった。ちゃんと説明してから退避した。


 その10秒後!



 ボコボコボコボコ!!



「出た〜〜〜!!しかも自噴泉だ〜〜〜!!」


「やったなー!アキー!」


「見事だったぜ、リオ!」


「お〜!?こ、これが温泉なんですね···。すごい!」



 大当たりだったね!高さ4mぐらいまで吹き上げたんだ!もくもくって湯気も出てるので湯温も高そうだ。


 一応ボクの魔法で地中探査はやってきたんだよ。昔、コレクタの国の地中にいたエコロアリの巣を探査した時の魔法を応用したんだ。地震波を用いる方法だよ。


 一応、温泉かも?ってのがあったんだけど、確定じゃなかったからね。


 そして自噴泉!ポンプで汲み上げる必要ないからコスト削減にもなったぞ〜!



「リオ!このままだと温泉が飛び散るから、ちょっと石をしてフタしようか」


「おう!真上でいいなー?」


「うん!よろしく!」



 リオが土魔法で作った石を真上に置いてフタをした。そして湧いた温泉はちょっと深めに掘った排水溝を通って排水しておいたよ。



「じゃあ、分析お願いしますね!」


「お任せ下さい!」



 研究員さんは排水溝に流れる温泉の流量を測り、そしてたっぷりと取水したあとに温度を測定した。



「93℃ありますよ!?こんなに熱いんですね···」


「ええ。土圧が高いと沸点が上がりますから、もっと高い温度の温泉もあるんですよ〜。この温度なら···、温泉卵できるし、蒸し料理も可能だね!」


「蒸し料理ってなんだー?」


「リオ、蒸し料理ってのは熱い蒸気を噴く場所にかまどを作って、そこに食材を入れた鍋を入れて調理するんだよ。おいしいんだよね〜!」


「おー!?いいこと聞いたぞー!かまどができたらさっそくやってみるぞー!」


「···アキ?蒸し料理って毒物料理(・・・・)になる可能性は?」


「レオ···。さすがにそれは···。でも、リオだからなっちゃう可能性は否定···、できるのかなぁ〜?」



 一応蒸し料理って余分な油が落ちてヘルシーって言うんだけど、リオがやったら『シー(・・)が落ちて(・・・・)地獄(ヘル)』になる予感が···。


 でも、やってみないとわかんないよね?もしかしたら大成功···、するかもしれないしね···。



  グロー歴524年8月8日 曇


 今年は旅行は中止にしたんだ。というのもいつの間にかアクロ温泉街発展計画の主導者(・・・)になっちゃってて、あれこれ忙しくなっちゃったんだよ···。


 さて、ピムエム皇国の技術開発部の研究員さんから温泉成分分析が完了したとの書類が届いたんだ。意外と速かったなぁ〜。


 さてさて···、分析表の内容は···?


・温度:93℃(気温24℃)

・湧出量:500L/1分

・成分総計:3807mg/kg

・泉質名:含硫黄・ナトリウムカルシウム・硫酸塩・炭酸水素塩泉

・試料1kg中の成分、分量および組成(省略)

 上記内容であることを確認した  グロー歴524年7月32日

 分析機関:ピムエム皇国立技術開発部化学課



 ···マジか。意外と化学知識が発達してたなぁ〜。元の世界の温泉法の分析表を教えただけでここまで再現しちゃうとは···。


 物質名が元の世界のまんまなのはエレさんのせいだろうなぁ〜。異世界なのに元の世界とほぼ同じ単位系だし···。


 火山があるので硫黄泉は出やすいんだ。お肌のくすみを予防する作用があるんだよ。


 硫酸塩泉はキズが治りやすくする作用があるんだ。魔獣討伐が当たり前な世界だから、キズにいいのはありがたい。


 炭酸水素塩泉は『冷えの湯』と言われ、汗の引きが速くてさっぱり感が出やすいんだよ。


 温泉の泉質名は『成分の作用が強い(・・・・・)順番かつ陽イオン・陰イオンの順』ってなってるんだ。成分中での作用の強さを表す『ミリバル%』が20%を超えるものが表記されるんだよ。


 そして高温なので溶け込んでいる成分が非常に多い!ちょっと濃いから、冷ますついでに少し薄めた方が良さそうだ。薬と同じで濃すぎるのも良くないからね。


 うむ。とりあえず大成功だね。これでさらに完成が楽しみになってきたぁ〜!

 昔からある温泉地は基本的に自然湧出か自噴泉です。昭和の終わり頃まではだいたい1000箇所ぐらいだった温泉は、現在で3000箇所を超えてます。

 この理由は掘削技術の向上によって掘る費用が安くなったというのがあるんです。

 基本的に深く掘れば温泉は出ます。問題はどこまで掘れば出るかがわかんないので、捻出できる予算内で出るか?ってところなんですね。

 農業用の井戸をちょっと掘ったら温泉出ちゃって農業用に使えねえ!って事例もたくさんあります。

 アクロは火山性温泉なので地熱が高く、今回のようにそこそこ掘ったら出ましたね。


 さて成分分析表の件ですが、かなり温泉法の内容に踏み込んでいます(笑)。泉質名の命名法をご紹介しました。濃い成分順ではなくて作用の強い順で表記されるんですね。

 これを知ってると成分分析表を見ただけで泉質名を当てられます(笑)!また、単純温泉でもどの作用があるか?もはっきりとわかりますよ〜!

 今度温泉行って成分分析表見たら、このお話を思い出すと楽しみが増えますよ(笑)。

 ちと本格的過ぎるなぁ〜。ここまで温泉に踏み込んだ異世界ファンタジーはないでしょうね。温泉メインの異世界ファンタジーはありますけど。


 さて次回予告ですが、温泉街発展計画は順調に進み、その年の年末は多くのお客さんが訪れてみんなびっくりしました。そしてその訪問客の中にはとんでもない人たちまでいたのです!誰が来たのでしょうか?


 それではお楽しみに〜!

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