アクロ温泉街発展計画-3.アキ、現地調査する
「···アキ?···だいじょぶ?」
「う、うん···。大丈夫だよ。いつもの事だから気にしないで」
昨日、疲れて帰ってきたハルに気づきもせずに温泉街発展計画を考えてたために寂しい思いをさせちゃったんだよ。
もちろんちゃんとアフターケアはしましたとも!けれどもハルはそれでも寂しかったようで、いつもよりも強めにボクを抱きしめて寝ちゃった結果、ボクの背骨と肋骨は折れちゃいました···。
まぁよくある事だから、神器の『なりきり!伝説の神狼族セット』を装着して身体能力を上げて回復魔法かけたんだよ。
最初は大変だったけどね···。ハルが起きてビックリしちゃってたなぁ〜。
これもボクがハルに寂しい思いをさせちゃったからね。ボクが悪いんだよ。
さて、今日はちょっと最終チェックをしに行こう。学校が休みに入ってるから平日でも動けるのはありがたいよ。先生の特権だね!
と言ってもマクス帝国からの刺客がうろついてるかもしれないので、気をつけないとね。
というわけで今日はレオと、家で暇そうにしているリオを連れて外出したんだ。
「へー、温泉街発展計画かー。アキが全力全開で動きそうだなー」
「もう動いちゃってるけどね。リオ、特にやることないなら手伝ってほしいんだよ」
「···アキー!?『特にやることない』って事はないぞー!」
「え?何かやってるの?」
「料理に決まってるだろー!?」
「···それは、ナナはOKしてる?」
「いやー?最近ナナは休みの日はリナのところ行って子育て支援してるからなー」
「それって逃げ出してるんじゃ···?」
「そうかー?でも最近は結構成功してるぞー」
「数撃ちゃ当たる戦法でしょ?とりあえずリオには魔法で整地したりをお願いしたいんだよ」
「おー。だったらリナたちにも声かけとくぞー。子どもたちの魔法訓練でやったらいいぞー」
「それもいいかもね。着いたよ。ここをお願いしようと計画してるんだ」
連れてきたのは町の門だ。ここで審査して町に出入りできるんだよ。
「え〜っと···、こっちの入口の手前に『降車専用』馬車降り場を設けて、降ろしたら厩舎へそのままピットインして、準備できたら『乗車専用』馬車のりばへ横付けってかんじにするんだよ。これならスムーズに多くの馬車をさばけるでしょ?」
言ってしまえばバスターミナルと国際線空港の仕組みだ。降車専用で客と荷物を降ろして回送し、乗車専用のりばから出発だ。実際に飛行機を降機するターミナルと搭乗するターミナルが違うってのは、アメリカのシカゴオヘア空港がそうだね。
降車専用降り場で降りてまっすぐ進めば審査場だ。乗車専用のりばは方面別でのりばを分けておく。チケットカウンターは町を出る門の手前に設ける。これも空港と同じだね。門が空港でいう保安検査場と出国審査場を兼ねているってわけさ。
ただし、馬車は馬が生き物なので厩舎へピットインする必要がある。飛行機のように給油して機内整備して即折返しってわけにはいかない。
となると、厩舎もそうだけど荷馬車部分を留置する駐車場が必要だ。これも相当のスペースが必要だ。車じゃないから立体駐車場なんてできないしね。このあたりはフェリーの港にあるしシャーシ(荷台)置き場みたいなものかな?
最後は物流センターだね。受け渡しをする倉庫も設置する。これは最後のほうになるかな?
そして、これらの設備を囲う壁が必要になるんだ。荷卸中に魔獣に襲われるわけにはいかないしね。
···まんま元の世界の空港だわ。レオナード王国とピムエム皇国にもない規模だわ···。将来的には常連さん向けのラウンジを作るのも良さそうかな?
「はー!すげーけど、相当広く森を切り拓かないと厳しくねー?」
「うん。だからリオたちにお任せしたいんだよね」
「いいぞー!でも許可得てからにするぞー!」
よし!これで土木費用が浮いた!切り倒した木もそのまま建築資材になるからね。
次は温泉街だ。まずは入口のすぐ近くに先制攻撃として無料の足湯がある。これを3倍まで拡張するんだ。川岸には使ってない土地がまだまだあるからね。
そして次は土産物屋さんだ。建物は現状通りだけど、道を可能な限り拡幅する。今は斜め勾配の土留めだけど、きれいに法面整備して拡幅する余地があったんだ。道が狭いと身動き取れなくなるからね。
次はフードコートだ!ちょうどいい広場があるので、そこに簡素な屋根とテーブルとイスを用意しておく。席を囲うようにいろんな屋台を出す方法だ。うちの温泉は高温だから、蒸し料理もできるかまども欲しいなぁ~!元の世界の鉄輪温泉っぽくするのもありだね!
そして次は外湯だ!やっぱり日帰り温泉っていいよね〜。建物はもちろん和風っぽい建築にしたいところだよ!
ただ、これは立地に問題がある。ある程度泉源に近くでないといけないんだ。というのも、新たに引湯管を新設ってお金がかかっちゃうんだよ。そう考えてると、レオからこんな提案があった。
「アキ?ここ掘っちゃダメなのか?」
「レオ?ここ掘るの?」
「ああ。わざわざ引っ張るのが大変なら掘ればいいんじゃないか?」
「でも掘るったってどうやって?掘る機械ないよ」
「魔法で掘ればいいだろ?」
「え?掘る魔法?」
「ああ。アキのスマホに入ってるアニメだと『どりる』ってのがあるだろ?あれを魔法で再現すりゃいけるだろ?」
「ドリル魔法かぁ〜。『ドリルは男のロマン』って言うけど、それはアリだね!」
「アキー?その『どりる』ってロマンなのかー?」
「元の世界のとある界隈ではね」
掘るかぁ〜。アクロの温泉は自然湧出ばかりだったから掘削揚湯は考えてなかったなぁ〜。
上流で掘削すると給湯量が減っちゃうけど、町中なら掘っても影響はないでしょう。自噴泉だといいなぁ〜!
でも、やっぱり通常の泉源も使用したいね!というわけで、次にやって来たのはシルカ山にある泉源だ。『大湯沼』って呼んでるんだよ。ここは沼の底に硫黄が溜まってるので、それを採取して販売してるんだよ。採る人はやけどの危険があるから大変な仕事だけどね。
「おー、初めて来たなー!ここから温泉引っ張ってるのかー?」
「そうだよ、リオ。···うん。湧出量に変化はなさそうだね。これだけ余剰分が川に流れてるなら、需要が倍以上でも資源枯渇は大丈夫でしょ」
「温泉が枯渇なんてあるのか?」
「あるよ、レオ。そもそも温泉は地下水なんだよ。雨が降ってシルカ山にしみ込んで、そして火山の地熱で温められたのが温泉なんだ。だから供給量に限界はあるんだよ」
「なるほどなぁ〜」
「それに、多くの人が入るなら新鮮なお湯は多くないとかけ流しで入れないからね。目安は宿泊者1人に対して1分間に1リットルは欲しいんだよ」
「具体的な数値までわかってるんだな···」
「ははは!まぁ、あくまで目安だからね。ここより上流で掘っちゃうとここの湧出量が減るけど、下流なら影響は少なそうだし、いいかな?···うん。調査はこんなところだね。付き合ってくれてありがとう」
「おう!まー、この町の周辺ならハルとナナが魔獣狩り尽くしてるしなー」
「今日は見たところ刺客もいなさそうだったからな。だけどアキ?気をつけておけよ?」
「もちろん!だからこそこうやってなりきりセットを装着してるからね」
よし!ボクの理想の案はこれで出来上がった!来週の会合で発表だ〜!
地熱を利用できる国というのは実はあんまりないんですね。火山があるってことは地震も多いし災害が多いんですよ。日本は火山が多いので地熱を結構利用している国でもありますが、大体は国立公園に指定されているために利用に大きな制限があります。
ですので温泉資源も限られた場所でしか掘削できていないのが現状です。昨今は掘削する費用がお安くなって簡単に1000mとか掘れちゃいますから、自然湧出でない場所でも温泉が出るようになりました。
そうなってくると温泉資源の奪い合いになってしまい、場所によってはかなり揉めてます。ですのでアキくんはそこも勘案して発展させるつもりなんですね。
そしてアキくんが言いましたが、ちょっとだけ補足しますね。
アメリカのシカゴオヘア空港は国際線到着がターミナル5と決まっています。ほかのターミナルは入国審査場がないからなんですね。そして国際線出発は国内線も発着するターミナル1~3からなんです。アメリカは出国審査ないので、そのまま国内線から審査なく乗り継ぎも可能なんです。結構らくちんなんですね~。
そのため、到着した機材は別のターミナルへ移動してるんです。国の制度が違うとこういうこともあるんです。
シカゴオヘア空港は10年前にアメリカ1泊4日弾丸旅行で行った際に利用しましたね(笑)。マイル交換が安かったのと、ファーストクラスに空きがあったので使いました。またアメリカも行きたいけど、当時の倍以上マイルが必要になってるので厳しいですなぁ~。ワシントンDCに行ってホワイトハウスみたいんですけどね。
さて次回予告ですが、ついにアキくんの計画が明らかになります!って、実は投稿2周年記念SSでネタバレしちゃってますけどね。ただ、そんな計画を達成するためにはお金が必要です!どうやって調達するのでしょうか?
それではお楽しみに~!




