武者修行編-3.ちょっくら試しに依頼を受けてみるか!
朝に冒険者登録を済ませ、冒険者証ができたのがお昼。酒場で昼食をとってからどうするかだな···。
「フー、昼からどうする?」
「さっそく依頼探してみる〜?」
「そうだな···。この時間だとロクなものがないそうだけどな」
依頼掲示板を見に来ると、依頼の紙はところどころに残ってる程度だった。
残ってた依頼は···、
・下水道清掃(まれによく魔獣が出ます)
・子猫(魔獣のウォーライオンの子ども)を探して!
・北の森に魔獣の群れを見かけた!ただちに討伐してくれ!
・北の小国スルタンまでの商隊の護衛
・国の西に盗賊団が出た!
「···フー?このうちのどれかにするか?」
「ん〜〜。むしゃしゅぎょーだから討伐系かな〜?」
「そんじゃあ北の森か西の盗賊団だな」
「両方請けちゃおっか!」
「いきなり2つかよ!?まぁ、今からだと夕方に戻れるかなぁ〜?」
「その時は片方だけで、明日もう一方やっちゃおっか!」
「そうすっか···。とりあえず魔獣を先でいいか?」
「いいとも〜!」
「んじゃ、受注手続きに行くぞ」
「おーー!フーの初めての活躍だよ〜!」
おれは依頼の紙を2枚はがして受付に持っていった。
「あら?モンドくん、いきなり請けちゃう?」
「おう!この2つな」
「どれどれ〜?···マジで?」
「マジだって!おれとフーならな」
「さっき説明したけど、失敗は自己責任よ?救援にも行けないからね」
「大丈夫だって!おれとフーはじーちゃんたちと一緒にスタンピード退治したんだからさ!」
「前に言ってたわよね···。あれって子どもの妄想だと思ってたけど···」
「ホントだよ〜!フーも頑張ったもんね〜!」
「どっちかといえばフーの方がすごかったけどな···」
「···わかったわ。気をつけるのよ?」
「おうっ!」
「行ってきま〜す!」
というわけでまずは国の北にある森だな!
確か昔にばーちゃんとナツママが異世界の神と戦いになりかけたって言ってた場所だなぁ〜。まぁ、森って木の実とかあるから過ごしやすいんだろうけどな。
まずは神様からもらったスマホで魔獣を探すぞ〜!結構遠いところまで魔獣の居場所がわかるんだぜ!さすが神様だなぁ〜!
でも、おれとパパで魔獣退治する時はパパは使っていなかった。『使いすぎると勘が鈍る』んだってさ。今回はお試しで使ってみるぜ!
「お〜、結構いるなぁ〜」
「そだね〜!モンドくん、手分けして討伐する〜?」
「よし!それでいくか!どっちが多く倒せるか勝負するか?」
「面白そ〜!じゃあよーい!どん!」
「ちょ!?フー!いきなりかよ!?」
すさまじい速さで森の奥へフーは突っ込んでいきやがった!おれも負けられねえぞ!
おれはフーとは別方向から攻める。最終的にははさみ打ちになるな。ちょうどいい!
「槍技!飛燕!」
おれは見つけた魔獣の群れに対して急所を一突きしながら突き進んだ。ちょっと数が多いな···。いつも道場生連れた討伐だとこんなに多くないんだけどなぁ〜。
定期的に討伐してるから数少ないはずだから、なにかあるかもしれねえな···。
魔獣を倒すことには問題ない。だからといって油断はしねえ。パパも戦闘中に気を抜いた時が危ないって言ってたしな!
そうして倒しながら進むこと30分ぐらいか?前方にフーがいた。
「あ〜!モンドく〜ん!」
「フー!そっちも無事だな!」
「もっちろん!たっくさん倒したよ〜!」
「どれぐらいいたんだ?こっちは50近くいたぞ?」
「フーもそれぐらいかな〜?」
「ちょっと多すぎねえか?」
「う〜ん···。モンドくんとフユにーちゃんがいつも退治してるんでしょ?」
「だからちょっと気になるよな···。なにかおかしなことってなかったか?」
「全然〜。モンドくんはなかったんだね?」
「ああ。ちょっと気になるが、わからねえんじゃ、しょうがねえよな」
「そだね〜。何かあったらフーたちでなんとかしようね〜!」
「ああ。んじゃ、いったん帰るか?」
「夕方までまだ時間あるから、盗賊団やっちゃう?」
「そうだな···。すぐ片付きそうだから行くか!」
まぁ、この程度の魔獣ならおれたちだったらすぐに片付くからな。おれたちは国に戻らずにそのまま西にいるという盗賊団が出没するという場所へ向かった。
盗賊団って事はもちろん相手は人だ。魔獣のように倒すわけにはいかない。一応倒してしまっても問題ないんだけどな。
出没ポイントにやってきた。そしたら探す手間が省けてしまった···。
「へっへっへ〜!こんなところにガキ2人だけで来るなんてなぁ〜!」
「どっちもかわいい顔しるわね〜。これは高く売れそうよ」
目の前には10人の盗賊たちが現れた。おれらをただのガキだと思って油断してるんじゃねえか?
どうやらおれたちを捕まえて奴隷かどこかに売り飛ばそうって事みたいだな···。
「もしかして、お前たちが盗賊団か?」
「見てわからねえのかよ?その通りだ!」
「こいつら、一丁前に武器なんて持ってやがるぜ?おい!抵抗しようなんて思うなよ?この人数に勝てるわけねえだろう!?」
「いや、勝てるけど?」
「せめてあと10倍は欲しいよね〜。それでもだいじょぶかな〜?」
「なんだと!?大人をなめやがって!お前ら!このクソガキに世の中の厳しさを体に教え込んでやれ!」
「「「「おーーーっ!!」」」」
まぁ、こうなるよなぁ〜。
「フー、おれがやるわ。手を出すなよ?」
「いいよ〜!頑張ってね〜!」
「頑張るほどじゃなさそうだけどなぁ〜。それじゃあいくぜ!」
「なにっ!?」
「リオじーちゃん流体術、ヤマタノオロチ!」
これはリオじーちゃんが教えてくれた体術技だ。アキじーちゃんがいた世界にあったお話で、首が8本もある竜がいたらしいんだけど、一度に8回攻撃を仕掛けてくるらしい。
この技はそんな8回攻撃を繰り出すほどの超スピードで相手を攻撃する、スピード特化の連撃だ!たとえ相手が10人だろうがおれ一人であっという間に片付けることができるんだ!今のところ、おれで25人同時相手が限界だけどな。
「「「「がはっ!?」」」」」
「「「「げぼぉっ!?」」」」
あっという間に片付いてしまった。全員意識ある状態で、痛みで身動きできない程度で抑えたけどな。
「まぁ、手下ならこんなもんか。そんじゃあちょっと話を聞いてみるか。おい?アジトはどこだ?お前らは全員で何人いるんだ?」
「ぐっ···、答えるわけ···、ねえだろうが···?」
「やっぱなぁ〜。仕方ねえから最終手段使うか···」
そう言ってから今聞いたヤツの頭に触れて記憶を覗こうとした時、フーが声をかけてきた。
「モンドく〜ん!それフーがやるね〜」
「フーがやるのか?」
「うん!記憶を読むんでしょ?フーは最近よく強盗さん相手にやってるから上手になったんだよ〜」
「ナツママの店は大変だなぁ···。そんじゃあ頼むわ」
「承り〜!さ〜て、頭の中を拝見〜!痛くないですよ〜」
「な!?何しやがる!?ぎゃーーー!!」
フーが盗賊団の記憶を読み出した。盗賊は絶叫をあげてるぞ?おれもまだまだだから激痛を与えてしまうけどな。
ばーちゃんだったら痛みなしで覗けるのに、もしかしてフーはわざとやってるんじゃないだろうな?
「ふ〜。モンドくん!アジトわかったよ〜!」
「フー?わざとやったな?」
「あ〜、バレちゃった?ちょっとだけお仕置きのつもりだったんだよ」
「まったく···。それで?」
「この森の奥だって。でも、お頭さんは魔獣調教師らしくて、魔獣もいるらしいよ〜?」
「マジかよ?魔獣を調教なんてできるんだな···」
「場所もわかったから、行こっか?」
「そうだな!今日中に片付けようぜ!」
倒した盗賊10人は事前に用意していた縄でふん縛って街道の脇に捨てておいた。ここの街道は行商人とかが多く通るから、なんとかしてくれるだろうしな。
おれたちは盗賊団のアジトへと向かった。
魔獣討伐も難なくできるようになりました。やはり戦闘種族である神狼族というのもありますが、スタンピード殲滅とかで経験積んだっていうのが大きいですね。
盗賊討伐も問題ありませんでしたね。ちゃんと手加減できてました。
さて次回予告ですが、盗賊団のアジトへ向かいましたが、そこは洞窟だったので探すのが面倒でした。そこである方法で外に出てきてもらいました。
するとお頭は手なづけた魔獣を呼び寄せます。どんな魔獣を手なづけていたのでしょうか?
それではお楽しみに〜!




