武者修行編-1.賛成する親、反対する親
お待たせいたしました!
本日よりアキくんの番外編を再開いたします!
今回のお話はアキくんの孫のモンドくんとフーちゃんが主人公として大暴れしますよ〜!
なお、ここからのお話は続編『アキの異世界旅行記2』の後のお話です。
番外編前半からお楽しみの読者様は、いったん『2』をお読みになってからこちらをお読みください。
ややこしくて申し訳ありません。···やっぱり1つにまとめたほうがいいかなぁ〜?
「ぐあっ!?ま、参りました···」
「なかなかいい突きだったな!だけど、強力な攻撃になればなるほどスキができるんだぜ?さっきのようにキメられなかったらこうなるって知っとけよ」
「はい···。坊ちゃん、ありがとうございました」
「よーし!そんじゃあ次!かかってこい!」
「はい!よろしくお願いします!坊ちゃん!」
「···あのなぁ~?おれはもう10歳で成人したんだぜ?いい加減、坊ちゃんはやめてくれよ~!」
「ははは!それは無理ってもんですよ。小さい時から知ってる連中は、もうこの呼び方で定着してるんですからね」
「ぐぬぬぬぬ···」
おれはモンドってんだ。ここレオナード王国の王都リスタにある道場の息子なんだ。
だから、こうして道場で道場生相手に槍を振るっている。うちは槍がメインなんだけど、パパは剣術の達人である『理』に至ってるから剣術もやってるんだ。だからおれはどちらも使えるし、技も使えるんだ。
パパとおれは『神狼族』っていう、神様が創り出した戦闘種族の末裔なんだ。丸っこい犬耳としっぽがあるんだぜ。おれのじーちゃんの青髪とばーちゃんの銀髪が混じった髪をしてるんだ。
その気になればこの星の力である龍脈と魔力を共有して、襲い掛かる魔獣の群れをせん滅したりもできるんだぜ!結構鍛えてるから筋肉がしっかり見えてる『細まっちょ?』って体型だ。背はちっこいけどな。パパもママより少し背が低いんだけど···。
自己紹介はこんなところか?···え?なになに?『詳しく知りたい方は作者の過去作品を参照してね!』···?急におれの頭の中にこんな文言が出てきたんだけど?どういうことだ?まぁいいか!ここから楽しんでもらってもいいぜ!
それはある日の事だった。道場での早朝の鍛錬を終えて汗を流し終わった後にパパからこんな話が出たんだ。
「モンド、ちょっといいかな?」
「ん?どうしたんだ、パパ?いいけど」
「実はな?10歳になると、冒険者登録ができるんだが、モンドは冒険者になってみる気はあるかい?」
「別になってもいいぜ。ってか、パパも冒険者だよな?」
「そうだよ。と言っても、ここ最近は道場ばかりで休業状態だけど、ちゃんと冒険者証はあるよ。おれの一家だとママが現役だね」
「ばーちゃんかぁ~。本当にめっちゃ強いからなぁ~。まだおれでもまったく勝てないし···」
「ははは!ママはものすごく強いからね~。おれでも勝てない時があるからね。神狼族では一番強いんじゃないかな?」
「え?一番はレオさんだろ?」
「あ~、あの人は例外だよ。話を戻すけど、モンドも成人したんだから、冒険者になって世界を見て回ってみたらどうだい?」
「冒険者になるのはいいぜ!でも、世界を見て回るって?じーちゃんたちと一緒にウェーバー大陸は行ったぞ?」
「確かにそうだね。でも今度はモンドだけで旅をしてみるのはどうだい?」
「おれだけでか?」
「いや、フーちゃんと一緒の方がいいかな?いくら強いとは言っても、一人でできることには限界があるからね。二人でいろんな場所を巡って、いろんな経験をすることは大事なんだよ。ずっと道場で鍛錬を積むのも大事なんだけど、世界を知らないと強さの先には行けないぞ?」
「フーとか···。あいつのことだから、話を聞いたら『一緒に行こ~!』って言うだろうなぁ~。でも、ヨウさんが嫌がるんじゃね?」
「確かに···。じゃあ、モンドは武者修行の旅に出かけるのはいいんだね?」
「おうっ!なんだか面白そうな予感がするぜ~!」
パパから冒険者になって、世界を回って武者修行の旅に出てみないか?って言われたんだ。確かに道場だけじゃあ強くはなれないんだろうな。
この世界では10歳で成人だ。魔獣被害がすごいから、長く生きられなかったんだよ。最近はだいぶ被害がなくなったので長く生きられるようになったようだぜ。
レオさんは神狼族の始祖さんだ。昔の人だったんだけど、今はアキじーちゃんが神様からもらったもので作った人形に入ってじーちゃんをサポートしてくれてるんだ。強すぎて歯が立たないんだよなぁ〜。
そう!世界にはもっともっと強いヤツがいるに違いねえ!それはおれたち神狼族の強さとは違った強さのヤツだ。力比べなら負けねえからな!
問題はフーがついて来るか?ってとこだ。多分一緒に行くことになるんだろうなぁ~。別に嫌いというわけじゃないんだぜ?ノリについていけない時があるっていうか···。
そして場所は変わって、ここはナツが経営している飲食店『ハンティング・アイ』。定休日以外毎日たくさんの客が押し寄せて、店内は常在戦場と化していた···。その日の夜、ナツはフーに武者修行の話を持ち出したのだ。
「···フー?···武者修行の旅に出てみる?」
「むしゃしゅぎょー?」
「···旅しながらいろんな事を学んで、鍛える。···モンドと一緒だけど、いい?」
「面白そ~!モンドくんと一緒に旅する~!」
「ちょっと待ったーーー!!」
「パパ?」
「おい!?フーが武者修行に出かけたら、店がもたんぞ!?」
「···ガンバ」
「対策なしかよ!?」
「···ヨウが頑張るしかないでしょ?···いつまでも娘に甘えるな」
「最近やっと4分身で店回せるようになったけど、これ以上は無理だ!誰か雇うしかないぞ!?」
「···普通の人がうちの忙しさに耐えられるとでも?」
「···無理じゃね?」
「···よくわかってる。···それに、いつかはフーも結婚して家を出る」
「け!?結婚!?ダメだダメだ!そんなことはさせゲフゥ···!?(ドサッ)」
「···父親失格。···こいつはいつまで経っても子離れができない」
「ママ~、パパの気持ちはよくわかるよ~。だから失格じゃないって~」
「···こいつはフーの幸せのことを考えてない。···だからこんなバカな事を言う。···気にせずに行っておいで」
「うん!フー、楽しみ~!」
「···行く前に冒険者登録しておくこと」
「ママと同じ冒険者にフーがなるの?」
「···なっておくと、なにかと便利」
「わかった~!モンドくんと一緒になっておくね~!」
こうしてフーも、ヨウの反対をナツが物理的に押し切ってモンドと一緒に武者修行に行くことになったのだった。
次の日の早朝···。
「おっはよ~!モンドく〜ん!フーが来たよ〜!」
まだ日の出の直後ぐらいで周囲は薄暗い。そんな中、フーが道場の門のところにやって来ていた。
まだおれは寝てたんだよ。フーが来た事に気づいたのは夜間警備担当の道場生だったんだ。
「坊っちゃん。フーさんが門に来てますよ〜」
「···えぇ?もう···、来たのかぁ···?ちょっと待っててもらえ」
「わかりました」
おれの部屋の扉を、夜間警備の道場生が叩いてそう言ってきた。いくらなんでも早すぎじゃねえかよ?
眠い目をこすりながら、おれは着替えた。もう出発の準備は整えていたので、着替えたらすぐに出発できるんだ。···準備に手間取って寝るのが遅くはなっちまったけどな。
おれが門に着くと、フーはベンチに座って待ってたよ。
フーはいとこだ。おれと同じく神狼族で、おれと同じ髪の色をしている女の子だ。家が飲食店やってるから髪は短めだな。幼い時から接客してるから人懐っこいしゃべり方をしてるが、実力はおれよりも上だ。フーみたいなのを天才って言うんだろうな。負けてられねえけど。
フーも同い年だ。最近はむ、胸がちょっと···。お、女の子らしい体型になってきてるな···。おれほどじゃないけども筋肉がうっすら見えている。飲食店が忙しすぎて鍛えられてるみたいだぜ。背はおれと同様にちっこいけどな。一族全員そうみたいだ。
「あっ!おっはよ~!モンドくん!今日からむしゃしゅぎょー頑張ろうね〜!」
「···おう、おはよう。ってか、なんでこんな早朝に来たんだよ?」
「ママが『···パパが起きる前に出発しないとうざい』んだってさ〜!」
「···あ〜、そういう事か。納得したわ」
予想通り、ヨウさんが猛反対したんだろうなぁ〜。そしてヨウさんをナツママがはっ倒したって簡単に予想しちまうぜ···。
「フー?もう行くのか?おれ、今起きたばかりだから朝食食ってないんだけど?」
「ふっふっふ〜!こんな事もあろうかとママが朝食をモンドくんの分も作ってくれてるのだ〜!」
「ナツママも想定通りかよ···。ここじゃなんだから、うちの食堂で食べようぜ」
「は〜い!お邪魔しま〜す!」
こんな時間に冒険者ギルド行ったって開いてないだろうし、ちょっと時間調整するか!
一方、フーの家では···。
「フー!?もう行ったのか!?」
「············」
「たぶんフユの道場だな!連れて帰っ(ズムッ!!)フグゥッ!?」
「···お仕置きが必要だな」
ナツママがヨウさんをノックアウトしちゃってたようだった···。
モンドくんとフーちゃんはすでに世界最強クラスの実力があります。ですが、まだまだ世間知らずなところがあります。
幼少期にアキくんと一緒にウェーバー大陸へ旅行に連れて行ってもらいましたので旅の多少の経験はあるんですけど、ここは自立した経験を!ということでフユくんとナツちゃんが企画しました。
ただ、ヨウくんが猛反対しましたね(笑)!ちょっと溺愛しすぎなんですよね~。お店が忙しすぎるという切実な理由もあるんですが···。
さて次回予告ですが、2人は冒険者登録をするためギルドに行って試験を受けます。皆さんの予想通りやり過ぎちゃいます(笑)。そんな様子をお届けしますよ〜!
明日以降はいつも通り21時過ぎの投稿を予定しております。
それではお楽しみに〜!




