表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
114/115

ナツ編-23 神界捜査官

 本日は釧路で泊まってます。ほっかいどーちほーは寒いなぁ〜!

 先日、飲食店組合で裏帳簿を見つけた際に出会ったグローという外の理の者である少年が、ラストオーダー直前に予約なし客でやってきやがった!



「やあ。1人だけど空いてるかな?」


「···案内するぜ」



 店の中では空席が半分以上になってて、ちょうど一番奥の4人掛けの席が空いてたので、そこに案内してやった。本当に来るとはな···。



「いらっしゃいませ~!注文は紙に書いてフーに渡してね~!」


「へぇ~、そういう制度なんだな。どれどれ···」



 見た目は本当に少年だが、あいつとフーが『本気』でやらないと対処できないってぐらいみたいだな。それにしてもどうして来たんだ?オレはレジカウンターからじっと様子を観察していた。



「すいませ~ん。注文お願い」


「承り~!ちょっと待っててね~!」



 普通に注文してるな。そしてできた料理を普通に食ってるぞ。ホントに普通の客として来たのか?


 完食した後、テーブルを片付けていたフーを、グローは呼んだ。



「ちょっと話したいことがあるんだけど、閉店後もいさせてもらえる?」


「う~ん···、ちょっとママに聞いてくるね~!」


「お願いするよ。···すごい分身の術だな。術の域を完全に超えてるな···」



 まぁ、あいつとフーの分身はちょっと普通じゃねぇからな。実力者から見ても称賛に値するんだな。あいつも用事があるみたいだからグローとは閉店後に話をする事になった。



「···お待たせ。···ナツたちは夕食食べてないから、食べた後になるけどいい?」


「問題ない。ボクはこの後の用事はないんでね。落ち着いたらで構わない」



 そういう訳で、俺たちはさっと晩飯を食った。あいつ、グローにも何品かおかずを提供していたわ。酒込みでな。


 俺たちも一服したところで、グローの話を聞くことにした。



「まずはお礼を言わせてもらう。キミたちの提供してくれた情報から、うちの世界の神の居場所の特定に成功した。うちの世界の違法薬物を持ち込んで、売り捌いた金で悠々自適な生活をしていたよ。こっちの世界に大変迷惑かけたね。すぐに捕縛して強制送還させてもらった」


「その神ってのはいつからこっちに来てたんだ?」


「29年前だね。この世界で大魔王ムーオと呼ばれる異世界の神が来たルートに便乗してやって来たようだ。強引に便乗したために力を失って、ほぼ現地人と同じ能力しかなくなってしまい、この王都で暮らしていたようだ。ただ、物資は失わなかったから違法薬物を売り込むことにしたんだろうな」


「はた迷惑な神だな」


「まぁ、神と一言で言っても人と同じでいろんなヤツがいるのさ。この世界でも異世界からの侵略ってあったらしいじゃないか?そういう戦闘的な神もいれば、うちの世界のように職務放棄して逃げ出したりするのもいるしな。この世界はもう完成されてるから、神はいても世界の事には手出しはしなくなっているが、そういった世界はごく少数だね」


「まるでたくさんの世界を見てきた(・・・・)ような言い回しじゃねぇか」


「···鋭いね。ちょっとボクも口が滑っちゃったかな?酒を飲ませたのは作戦かい?」


「まさか。こっちから飲めって言ってないからな。提供はしたが、飲むのはそっちの判断(・・・・・・・・・・)だ」


「ははは!確かにその通りだ!···任務達成して少し油断してしまっていたな。まぁいいか。バレたところでどうしようもできないしな」


「うちの世界ってのもウソだな?」


「半分はね。じゃあ、本当のことを言おう。ボクは『神界捜査官』というものだ。すべての世界の神である世界創世神の分身の一つさ」


「『神界捜査官』?なんだそりゃ?」


「簡単に言えば神様の世界の憲兵だね。違法な手段でほかの世界に迷惑をかけてる悪い神を捕える仕事さ。裁判は創世神自体が行うがね」


「今回は王都で違法薬物を密売していたからアンタが捕えに来たんだな?」


「そう。あの薬物は複数の世界を崩壊させたものでね。放置するにはあまりにも危険すぎたからボクがやってきたのさ。安心してほしい。全部回収が終わってるから、この世界で蔓延することはない」


「そいつは助かるぜ。なんせうちの娘もそのクスリでキマッたやつにやられたんでな」


「そうか···。それは迷惑をかけたな」



 なるほど、神の世界の憲兵か。そりゃ、あいつやフーが本気出さないと勝てるかわからんわ。見た目はただの少年なのにな。これも見た目に騙されるな!って事なんだろうな。


 ある程度状況は把握した。俺との会話が一段落したところで、フーがグローに話しかけた。



「ねえ、グローくんっていくつなの~?小さいのにとっても強そうに見えるよ~」


「年齢?残念ながらボクは創世神の分身で不老不死だから、そんなものはないぞ?この姿も特に意味はない。強いて言えば怪しまれずに聞き込み捜査ができるぐらいだな。ある程度強くないと、神を捕まえることなんてできないからな」


「そうなんだ~!じゃあ···、フーと練習試合やってみない~?」


「···は?何言ってる?意味が分からんぞ?」


「『本気』のフーと相手できる人ってほとんどいないの~。お願いできないかな~?」


「はぁ···。まぁ問題ないが···。両親はいいのか?」


「···いいよ」


「フーは言い出したら聞かないわがままな時があるからなぁ~。逆にいいのか?」


「ああ。まぁ、手加減はするが、ケガしても知らないぞ?」


「手加減抜きでやって!」


「···おいおい、本気か?神の力だぞ?タダじゃ済まされないぞ?」


「だいじょぶ!」


「···わかった。命に関わりそうならすぐに止めるからな」


「ありがと~!楽しみ~!」


「とんでもない子どもだな···」



 あぁ~、うちの妻と娘は生粋の戦闘種族だからなぁ~。トランス状態で戦える相手ってほとんどいないから、フーに火が着いてしまったわ。どうなることやら···。



 そんなやり取りの前にエレのところでは···。



「げえぇっ!?エレくん!いったい何の悪さをしたのさ!?大事(おおごと)になってるよ!?」


「···は?どう言うこと?何もしてないぞ?いきなりどうしたんだ?」


「ついに極貧生活に耐えきれず、犯罪やっちゃったんだね···」


「身に覚えがないぞ!?最近は少し良くなったから拾い食いもしてないし!」


「そんな事してたの···?いや、そうじゃなくて、神界捜査官から捜査令状が来てるよ!」


「···何じゃそれ?」


「神様が悪い事したら捕まえに来るんだよ〜!」


「な、なんだってー!?」


「エレくん?正直に話して。やった罪は消えないけど、ボクから創世神に減刑のお願いするから」


「ちょっと待って!オレ、ホントに何もしてないぞー!?」


「もう!しらばっくれて!令状の中身をみたらすぐにわか···、あっ!?」


「ど、どうした!?」


「···エレくんじゃなかったよ。別の世界の神がエーレタニアに潜り込んでてワルさしてるから、その捜査をしてもいいか?って許可を取るものだった···」


「な、なんだ···。って、どうしてそんなに誤解したんだよ!?」


「ゴメンゴメン!メールのタイトルで驚いちゃった!めったに捜査官が来ることってないからね〜」


「オレ、エーレタニアの神辞めたのに来るんだな」


「こういった神関係の手続きだけはね〜」


「そういうことなら承認だ。とっとと捕まえて帰ってくれればいいさ」


「あいあいさ〜!ところでエレくん?本当にやましい事してないよね?」


「しとらんわ!!」



 ってやり取りがあったみたいだぜ。

 グローくんの正体は悪質極まりない神様を捕まえる捜査官でした。世界同士のいざこざには干渉しませんが、今回のように世界を滅ぼしかねないイレギュラーに対処するのがお仕事です。


 この捜査官が登場というのはナツちゃんのお店の名前の元ネタであるマンガ『キャッツアイ』と同様にしてみようかな?と思ったのがきっかけでした。


 さて次回予告ですが、フーちゃんとグローくんが練習試合をします。と言っても強さの次元がまったく違うのでヨウくんでは解説できませんが(笑)。


 明日のこのお話で番外編はいったんの完結とさせていただきます。それではお楽しみに〜!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ