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ナツ編-21 フー、初めて裏のお仕事を体験する 前編

 本日からナツちゃん編後編4話を投稿しますよ〜。

 今日はフーが8歳になった。最近、時が経つのが早く感じるな。


 店の方は順調だ。予約制のままだが、だいぶ落ち着いたので、現在は予約なしの枠も設けているぜ。待ち時間は長いけどな。


 フーはあの1件以来、力と魔力のコントロールが格段に良くなり、多くの技を使えるようになっていた。


 さらにアキさんとこにいる神狼族の始祖であるレオさんからとんでもないトランスを教えてもらって使いこなすようにまでなってしまった···。冗談抜きで実力でも追い抜かれたわ···。


 そんなある定休日の事だ。あいつがフーを試験すると言い出したんだ。



「···フー。···今から試験するね」


「よし!その申し出、受けて立とう!」



 相変わらずどこで覚えたんだ?そのセリフ···。常連客だろうなぁ~。



 まずは魔法制御だ。通常状態だとさすがにコルやリナのような大規模殲滅魔法はバンバン使えないが、それでも5発ぐらいは撃てる。トランスしたらほぼ無制限だけどな。


 戦闘スタイルはあいつとほぼ同じだ。スピード重視で、魔法は補助や牽制で主に使用する。


 傍目(はため)で見ても力と魔法はあいつとほぼ互角だ。まぁ、経験はあいつの方があるから応用が効く分、勝ち目がないけどな。


 そして剣術と暗殺術。剣術は先日フユから『皆伝秘技以外はほぼマスターした』と呆れていたわ。フユやあいつに比べて早いみたいだな。


 暗殺術についても、おおよその技は習得してしまっていた。


 ヤバい···。という事は、裏の仕事でも俺はいらん子になってしまうのか!?


 そんな危機感を俺が抱いてると、試験は終わったみたいだ。



「···うん、十分に合格。···一人で裏の仕事をやっても問題なさそうだね」


「ありがと〜、ママ!じゃあ!?」


「···ん。今度の裏のお仕事、一緒に行こうか」


「やったー!フー、楽しみ〜!」



 やっぱそうなったか···。いや、実力があっても経験がないんだぞ!危なくないか!?



「おいおい!?本気か!?」


「···ん。···だいじょぶ」


「経験ないんだぞ!?いきなり実戦はマズイって!」


「···誰だって経験なしで新人時代がある。···ナツだってそう。···命の危機になった事もあった。···ヨウもいるし(・・・・・・)、フーに経験させる環境は整ってるけど?」



 こいつ···、さりげなく俺を出しやがった!それ言われたら反対できねえだろ!?



 そして、定休日の前日。



「ありがとうございましたぁ~!」


「···じゃ、夕食食べて準備しよ」


「はーい!フー、今日が楽しみだったよ〜!」



 そう、今日のフーは非常に陽気だった。ルンルン気分って言うのか?常連客からも指摘されてたな。



『フーちゃん、今日は何かいい事あるの?』


「えへへ~!今日はこのあと楽しみにしてた事をやるんだ〜」


『明日は定休日だもんな!家族揃ってお出かけか?めいいっぱい楽しんでこいよ〜』


「ありがと〜!フーも楽しんでくるね〜!」


『ウキウキ顔のフーちゃんもかわいいわね~!』


『ハァハァ···。ルンルン気分のフーたんはいつもより輝いてるぅ~!!フーたん!その笑顔をこっちにも!ハァハァ···』


「おじさん〜?注文しないのにまた来たの〜?おじさんの席ないし、邪魔だから帰って〜!」


『はい喜んで!今日もフーたんのののしりで元気いっぱい!ゴチになりましたぁ〜!ハァハァ···』



 また出禁野郎が認識阻害を使って入り込んでやがったよ···。コイツ、何度か拘束して憲兵に突き出して逮捕されたのに、なぜかすぐに出てきやがるんだよ!憲兵に抗議しても『そんな人物は拘束してないし、調書も存在しない』って相手されなかったぞ!?何者なんだよ!?コイツは!?



 まぁ、それは後でいいな。これから仕事だ。


 今回の侵入先は『飲食店組合』だ。俺としてはフーには行かせたくない場所なんだけどなぁ~。フーを傷つけた連中だからな。俺自身としても腹立たしいし。


 目的は裏帳簿を探し出す事。どうも、集めた組合費を幹部どもが懐に入れてるか、何か別の目的で使ってるらしいな。···ホント、どうしようもない連中だな。


 フーの1件で組合は大打撃を受け、脱退する飲食店が半分以上いたらしい。そりゃ信用ガタ落ちだしな。


 大した活動もせずに金を集めるだけらしいので、不審点が多すぎるから今回依頼があったんだよ。



「···さ、行くよ」


「おーー!」


「フー?静かにしろよ。バレたら大変だからな」


「(はーい)」



 今回の依頼に備え、フーに裏の仕事用の黒装束が用意された。この黒装束も有名デザイナーが勝手に(・・・)オーダーメイドで作った服だ。以前客としても来てたな。1人だけフーを見る目が怖かったけどな···。目が血走ってたし···。



 さて、時刻は深夜午前1時。今日は月がでていないから真っ暗だ。前にも言った通り、暗殺術には『暗視』という技がある。だから俺たち一家はまったく問題ない。


 ···一家揃って裏の仕事ってのもちょっとおかしいような気がするけどな。


 組合の建物は4階建てだ。周囲が2階建てしかないから大きく見えるな。


 中に人気はなさそうだな。気配が感じられないしな。それはあいつも同じ判断だった。



「(···フー?カギを開けられる?)」


「(もち!ママ直伝の鍵開け魔法!◯バカ◯!)」



 おい!?フーまで使えるようになってるのかよ!?マジで俺出番なくね!?


 裏口の扉のカギを開けたあと、中に侵入した。1階は受付や商談スペースだな。俺とあいつは1回来てるしな。追い返されたけど。


 特に目ぼしいものはなさそうだな。2階へ行ってみるか!そう思って2階への階段へ向かおうとした時、フーに襟首掴まれた!



「(おい!?フー!何するんだ!?)」


「(パパ、ワナがある!)」


「(···何かありそうだね)」



 ワナだって!?まったく気づかなかったぜ···。フーに止められるとは思わなかったわ。そう言えば現役整調者(ピースメーカー)時代の時はワナはあったけどハルさんたちに任せっきりになってしまい、大した活躍できてなかったなぁ〜。いや、そうじゃない!なんで俺が気づかなかったんだ!?



「(···気を付けて。一筋縄じゃいかない。···フー?ワナを解除できる?)」


「(やってみる!)」


「(おい!?大丈夫なのかよ!?)」


「(···だいじょぶ。フーを信じる)」



 フーはワナを前にじっとしていた。おそらく解除方法を考えているのだろう。そして、短剣を取り出し、階段の両端に仕掛けられてるワナの片側の固定部分を切った!


 そして、ゆっくりともう片方へ寄せていく。要するに両側に仕掛けたワナの間を何かが通れば作動する仕掛けだったようだ。だから片方の固定部分を切ってもう片方へ寄せてしまえば通れるという事だ。帰りはもとに戻せばバレないしな。


 さーて、2階以降には何が隠されているんだろうな?

 フーちゃんも8歳になり、さらにしっかりしました!相変わらずすとーかーさんも来店してますが、いつもと変わらず対応してますね。


 もう実力でもヨウくんはフーちゃんに敵わなくなってしまいました。しかし、フーちゃんはパパ大好きなのでまったく問題ないです。ヨウくんのプライドがズタズタな程度ですね(笑)。


 さて次回予告ですが、2階に上がって調査を行い、目当ての帳簿をなんとか発見し、外に出ると謎の少年から声をかけられます。どうやらその少年も目的は同じだったようですが、いったいどうするのでしょうか?


 それではお楽しみに〜。

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