神様の憂鬱EX-4 ナビくん奮闘記
最近、エレくんがおかしい。
「エレくん?ネオ・エーレタニアだけど、戦争が起こっちゃったよ。いつも通りの対応でいいかな?」
「···承認」
「エレくん!?飢饉が発生しちゃった!前と同様に作物を品種改良するよ!?」
「···承認」
「···エレくん?大丈夫?」
「···もうだめぽ」
今、エレくんは超極貧生活を送ってるんだ。家はあるからホームレスじゃないけどね。
食事は朝と夜に少しだけのパンのみみと水だけの生活なんだよ。水も先日ついに水道止められてしまって水魔法からだから、ものすごくマズイ水なんだけどね。
もう頬がコケてしまい、骨と皮と脳みそだけになっちゃってるんだよ。最近反応薄いから脳みそも腐りつつあるのかも。
···正直に言うと、かなりマズい!!
うん。これ以上はさすがに死んじゃうね。エレくんは嫌がるだろうけど、アキくんにこっそり救援要請をしておこう!
『アキくんへ。エレくんが極貧生活でとってもマズい状況なんだ!助けてほしい』
送信!っと。おっと!?すぐに返信来たよ!なになに〜?
『ボクが直接手を出したらエレさんは絶対拒否するでしょうから、ナビさんにGPを融通します。換金して渡してあげて下さい。GPの出どころは抽選に当たったとか、創世神からボーナスが出たとかでごまかせばいいと思いますよ』
『ご厚意に感謝するよ!あと、可能なら借金を減らして欲しいんだけど···。図々しいお願いは百も承知なんだけど、どうかな?』
『構いませんよ?賠償金なしでいいです。もともと取るつもりなかったですし、エレさんを懲らしめる目的でしたから。ただ、エレさんにはこの件を言わずに、ナビさんで隠しておいた方がいいでしょう』
『助かるよ〜!今、エレくんはうわ言しか言わなくなっちゃったし、急に変な言動するようになってるからね!』
『そこまででしたか···。やり過ぎましたかね?』
『そんな事ないよ!まぁ、二度とアキくんの世界へちょっかいはしないと思うから、安心してね!』
ふぅ~、ボクの作戦は全部成功したね!これでエレくんの負担は大幅に軽減されるよ〜!まぁ、順調に行きだしたらヘソクリしてアキくんに返すことにしようっと!
さてさて···、えっ!?アキくん!?5万GPも融通してくれたけどいいの!?
あ〜、これは全額渡せないね。絶対無駄遣いするのが目に見えてるよ。とりあえず100GP換金するか!ちょっと演技しようっと!
「エレくん!?大変だよ〜!」
「···ん~~?」
「ボクが前にこっそりヘソクリして創ったおもちゃが『最優秀カッコよくてイカしてる兵器で賞』取っちゃったぁ〜!」
「···それで?」
「賞金が出たんだ!換金すると100万ジールだよ!」
「···なに!?」
「エレくんのGPヘソクリして作った作品だから、これはエレくんのものだよ!」
「···いいのか?ナビくんの手柄じゃないのか?」
「いいのいいの!せっかくだから今日は久々においしいもの食べようよ〜!」
「···そう、だな。そうだな!よし!久々に半額の売れ残りのパンを買うぞ〜!」
「ちょっと!?もっといいのを買おうよ!」
「じゃあ、半額になった惣菜にする?それかもっと奮発して3割引のミニお弁当がいいか?」
「そうじゃなくて!おいしいお肉とかにしなよ!」
「···お肉!?な、なんと甘美な響きだ···。今、『バァァーーーン!』って幻聴も聞こえたわ···。写真撮るか···。最近、とんとご無沙汰すぎて···、味を忘れていたよ」
「ほらほら!買い物に行ってきなよ!久しぶりに陽の光を浴びといで!」
「ああ!なんだか元気が出てきた!行ってくるわ!」
行ってら〜!···さてと、ボクはボクでGPの金策を考えないとね〜。これ以上はアキくんに頼るわけにもいかないしね!
現在、アキくんの援助のお陰で4つの空家を育ててる最中だ。
そして、アキくんからの知恵によって、安定的な成長を遂げていた。
これはアキくんがエレくんの2つの世界を乗っ取った際に試したんだけど、複数の世界でGPを融通し、合同でファイアーウォールを構築するというものだったんだ。
このエーレタニアほどの強固なものじゃないけど、突破するのに相当難儀しちゃうから、ほとんどが諦めて引き上げちゃうんだって。
さらに複数の世界で合同で防衛組織を立ち上げ、共に脅威に立ち向かう制度や、異世界間貿易までやることで、一気に文明を栄えさせて完成度を上げたんだって!
ちょっとついていけない人もそこそこいるらしいけど、概ね幸福度と神に対する信仰度が高いのが特徴だね!
このアキくんの方式をボクも採用させてもらってる。もちろん、アキくんにはちゃんと許可を得てるよ!こっそりとだけどね。
堂々とやってるところをエレくんに見られたら、それこそ落ち込んじゃうからね〜。あくまで今ボクがお世話してるのはエレくんの世界なんだから。
現在、アキくんは神々の世界での『直近の期間別空家リフォーム完成数』がダントツトップなんだよ!現在も3軒の空家を担当しているんだ。これで神様にならないのがおかしいんだけどね〜。アキくんも結構頑固だし、世界創世神にも噛みついていたなぁ~。
いろいろ考えてると、エレくんが帰ってきたよ!···あれ?何も買ってない?
「どうしたの?何も買ってないみたいだけど?」
「サイフ忘れてた···」
「しっかりしなよ!某ご長寿アニメのオープニングテーマソングの3番の歌詞じゃあるまいし!笑わないから、もう一回行っておいで!」
「う、うん···」
う〜ん···。今まで超極貧生活やってたから、サイフを持っていくことすら忘れちゃってたとは···。ちょっとお仕置きがキツすぎたね!
次はちゃんと食材を買って帰ってきたよ〜!そして、ほぼ1週間ぶりにお腹いっぱいまで食べて、エレくんは泣いてしまった···。
「うぅ~···、ご飯がこんなにおいしいなんて〜!」
「しっかりと食べて元気出してね〜!でないと、いい世界創れないぞ〜!」
「そう···、だな!いい世界創らないと借金返済できないからな!」
「そうそう!頑張っていこうね〜!」
うん、これで立ち直ったね!今後もエレくんにはたっくさん空家を担当してもらいたいしね!頑張ってもらうよ〜!
超極貧生活でエレくんは非常にまずい状況にまで追い込まれてしまいました。十分反省したと判断したアキくんはエレくんには内緒で賠償金の請求取り下げと援助をしています。ナビくんはエレくんにそれを伝えると調子に乗ると考えて一切口にしていません。ナビくんもエレくんには結構厳しいですね~。ナビくんとしてはエレくんに世界をリフォームしてほしいからって理由だけではあるんですけどね。
今回のネタはサイフ忘れたシーンですね。国民的アニメ『サザエさん』のオープニングの3番の歌詞からです。アニメでは2番かと思いきや、実は1番と3番が歌われてると、調べて初めて知りましたよ。
さて次回予告ですが、アキくんが完成させた世界であるキトニアから1通の手紙がレオくんのところに届きます。スマホメールに変換してアキくんが読むと、アキくんに対する感謝の気持ちと世界を見に来てほしいとの簡単な内容でした。せっかくなのでリオくんたちも誘ってキトニアの世界へちょっとした旅行で向かいますよ~!
それではお楽しみに〜!