7話「心を決めて」
あの後しばらく色々考えた。親とも何時間もそのことについて話をして様々な方向から考えて。さらに一人でも思考、自問自答。その果てに、私はようやく遅すぎる覚悟を決める。
――アドミッドと生きる。
その覚悟を。
彼は勇気を持って想いを告げてくれた。
私はそれに応えたい。
お互いの心はきっと今重なっているはずだ、だからこそこの機会を逃したくはない。
「アドミッドさん、お久しぶりです」
そして今日、彼と顔を合わせる。
「アイリスさん、お元気でしたか? あのお出掛け以来ですね」
「はい」
「それで、あの件なのですが……」
「私、もう決めましたよ」
彼の瞳が僅かに開かれた。
「アドミッドさんとの将来を掴む。今はそう思っています」
言えば、彼は安堵したように頬を緩めた。
少し散歩しませんか? なんて提案されて、私は頷いた――そして近くの緑に囲まれた公園を歩く。
「落ち着きますね、緑は」
歩きながら彼は木を見上げて呟いた。
「そうですね! ほっこりします」
「ほっこり! ……あぁ、ふふ、面白い方ですね貴女は」
「えっ、変でした?」
「そうじゃありません。ただ、ほっこり、だなんて。何だか可愛らしくって」
彼は口腔内で笑いを転がしていた。
「僕、貴女に出会えて良かったです。本当に、本当にそう思っています」
愛おしいものを撫でるような目の色をしていた。
――刹那。
「お前ら消え失せろおおおおお!!」
突如響いた声。
視線を向ければ――そこには刃物を持った見覚えのある顔。
「ウェッジ!?」
そう、襲いかかってきた男は、かつて私を切り捨て傷つけた彼だったのだ。
「お前だけ幸せになんてさせねええええええ!!」