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世界でただ一人の種族はチートだった  作者: どんぺった
第1章 不如意なる人生
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閑話 ユグドラシルの憂鬱 1

「う~ん、彼は大丈夫なんでしょうかね?慎重に行動している様な、でも行き当たりばったりな様な。」



真っ白な空間には、ただ1人男でも女でも無い者がモニターを見つめている、この者は”ユグドラシル”この世界のステータスシステムそのものであり、管理者でもある。


そしてモニターに映っているのは、先ごろ不慮の事故で世界を渡ってしまった男性で、今は冒険者として働いている。


ユグドラシルがモニターで彼を観察してるとそこに突然1人の男が現れた。


身長は150cmに髪はボサボサで服は”何時から着ていたのか?”と言う程よれよれになったジャージにサンダル姿で見た目は完全に”ヒキニート”だ。



「やぁ!久しぶりだね、ユグ!」


「主様!?どうされたのです?直接来られるなんて。」


「いや~、こないだの報告が気になってね、ちょっと見に来たんだ。」


「あぁ、”蓬莱司朗ホウライ シロウ”さんの事ですね。」


「うん、滅多に起こらないイレギュラーが盛り沢山だったからね。こんな楽しい事、直接確認しない手は無いよね!」


「主様・・・。」


「それじゃ、何があったのか詳しく聞かせてくれるかな?」


「・・・はい。」




呆れながらもユグドラシルは彼に今までの経緯を説明し始めた。




「なるほど、隠し機能の環境適化・・・か、起こってしまった事は仕方がない、ステータスシステムも完全じゃ無いからね、まあ、その為にユグが居るんだけどさ。」


「えぇ・・・まぁ、そうなのですが。動物が渡って来た時にはこの様な事にならなかったので、加護の事にまで気が回っていなかったのです。」


「まぁね~。普通の動物には大した加護は無いから、気が回らないのも無理ないさ。でも結果が面白ければ、それで良いんじゃない?」


「・・・主様はそれでも良いのでしょうが、当人には堪らないのでは?」


「そうかな~?そのお陰で彼は新種族になったんなら、むしろ嬉しくない?しかも種族スキルまで付いてさ~。種族スキルって言ったって、その種族なら誰でも持てるって訳じゃないんだよ~?」


「はぁ・・・。まぁ、良いです、もう今更どうにもなりませんし。」


「そうそう!何事も諦めが肝心だよ!それでさ~、その彼のシステムデータ見せてくれる?」


「畏まりました、こちらになります。」




そしてユグドラシルは彼に蓬莱司朗のシステムデータを見せた。




「ふ~ん、なるほど・・・すごいね!加護が2重だと、こんなに強くなるんだ~。しかもこの種族スキルって複合スキルだよ!そりゃあ、分からないはずだよ!」


「はい?複合スキルですか?」


「そう!ユグも知ってる通り普通のスキルって”技術をスキル化”してるからスキルを発動させれば効果があるんだけど、複合スキルの場合は対象になる効果が複数有るから”スキルと効果”を選択しなければ発動しないんだよ。」


「なるほど、そうなんですね。しかしそうなると彼には発動できないかもしれませんね。今までも何度かは試していたみたいですが、悉く失敗していますので。」


「そうなんだよね~。複合スキルも彼の種族も初めてだから、誰かが教えてくれるなんて事も無いしね。」


「ちなみに、主様はスキルの内容は解析できたのですか?」


「愚問だね!この僕にできない事はないのさ!」


「しかし、私が確認した時は中のコードが壊れているのか解析できなかったのですよ?」


「そりゃあ、ユグの解析は既存のスキル形式に対しての解析なんだから、こうしたイレギュラーには対処できないよ。これは僕だからこそできるんだよ!」


「そう言う事なんですね。さすが主様です、素晴らしいですね。」


「ふふん!とドヤってみた!」


「いえ、ご自分で仰らなくて宜しいです。それで、内容を教えて頂いて宜しいでしょうか?」


「つまらないな~。しかし!いいとも!教えてあげよう!真人スキルに内包されているのは”飛翔(ひしょう)水行動(みずこうどう)千里眼(せんりがん)炎無効(ほのおむこう)隠形(おんぎょう)暗視(あんし)威圧(いあつ)仙境(せんきょう)”の8つだよ!」


「はい?・・・主様ちょっとお待ち下さい、今”8つ”と言われましたか?」


「うん、言ったよ!」


「・・・つまり、彼は種族スキルで”8つ”と私が渡した特殊スキルが”3つ”に汎用スキルが”2つ”で合計13のスキルを持っている事になるのですか?」


「そうだね、すごいよね!いったい、何を目指してるんだろうね?」


「いえ、別に何も目指して無いと思いますよ?生活するだけで大変みたいですから。」


「いやいや!?それじゃ、つまらないじゃん!・・・そうだ!そしたら複合スキルをもっと一般的にしたら良いんじゃない?・・・いや、それともステータスシステムを改良してスキルの取説を付けちゃうとか?」


「えっ!?」


「ふむ!うん、それが良い!楽しそうだ!」


「主様!?少々お待ちください!!」


「なに?久々に面白くなってきたのに水を差さないで欲しいんだけど?」


「コホン!主様・・・改良は宜しいのですが、創造主様やこの世界の守護神様に確認を取らなくて宜しいのでしょうか?以前にも思い付きでシステムを変更しようとされた際に、確か創造主様に”天罰”を与えられたはずですが?お忘れですか?」


「うっ!そうだ・・・そうだった。あれはとんでもなかった・・・。って言うか創造主の奴も酷くない?あの程度の事で天罰を使うなんてさ!危うく消滅する所だったんだよ?おかげでこんなに縮んじゃったんだから!」


「いえ、それで消滅しない方がおかしいのですが・・・。普通は惑星が消滅する程の威力なのですよ?」


「ふふん!その程度じゃ僕は消せないさ!っと再びドヤってみた~!」


「いえ、ですから・・・、もう良いです。・・・はぁ。」


「仕方ないな~。じゃあ一応仕様書でも作って了承を取りに行くか。それでユグはどっちの案が良い?それとも両方?システムを改良するんだからユグの意見も聞くよ?」


「そうですね。・・・複合スキルは危険な気もしますし、できればあまり増やしたくはありませんね。」


「う~ん。それも分からなくは無いけど、それじゃ面白く無いじゃん?そうだなぁ・・・じゃあさ”特殊スキル限定”って事で良いんじゃない?彼の種族スキルは仕方ないとしても特殊スキルならそうそう発現する事は無いはずだし!」


「・・・えぇ、まぁ、それなら。」


「よし決まり!じゃあ・・・・・・あぁ、そう言えばさっきから気になってたんだけどさ、ユグはなんだか人間臭くなった?」


「え!?そうですか?よく分かりませんが?」


「うん、なってるよ?ユグが溜息を吐くなんて今まで無かったじゃん?」


「あぁ、そうかもしれませんね。そもそもここにいるだけなので、誰かと話をする事もありませんからね。」


「そうだね~。つまりこれも彼の影響ってことか~、ほんと色々面白いね!」


「・・・面白いんでしょうかね?」


「まぁいいさ、そしたらさ!ユグも性別を作ってみる?男か女かどっちかに!そしたらもっと面白くなるんじゃない?」


「いえ、結構です!私で遊ばないで下さい。」


「ちぇ~、つまんないの~。人生面白く生きなきゃダメだよ?」


「大丈夫です、私は人間ではありませんので、面白い必要はありません。」


「はいはい、わかりましたよ!・・・じゃあ、システムの改良はこっちで創造主と守護神に確認するから~。じゃあ、またね~、バイバイ!」


「はい、畏まりました。」









「はぁ、やり過ぎなければ良いのですが・・・主様ですからね、どうなる事やら。」


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