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第20話 王都再び

冒険者登録を済ませ領主邸に戻るとアルマスの客人は帰っていた。



「シロウ、ちょっと良いか。」


「アルマスさん、俺だけか?」


「ああ、シロウだけで頼む。」


「分かった、2人は部屋に戻っていてくれ。」


「おう。」「うん。」


「シー君、あたしは?」


「・・・部屋に戻っていてくれ。」


「お~。わかった。」




「シロウ、エルシュラはどうしたんだ?」


「・・・それは、俺が聞きたい。それより何の用だ?」


「まあ、執務室で話そう。」


「執務室?応接室ではなく?」


「まあ、聞かれたくない話しもあるからな。」


「・・・そうか、分かった。」




それから、アルマスの執務室に行き2人だけで話す事になった。




「それで?」


「さっきの客人ってのはSランクの冒険者でちょっとした知り合いなんだが、今までベリザリオ達の動向を探っていたらしい。」


「・・・そのSランクは何でその事をアルマスさんに話したんだ?」


「・・・まぁ、何だ。そのSランクの依頼主ってのも知り合いでな、調査の一環で俺の所にも話しを聞きに来たんだ。」


「へぇ、そうなのか。そのSランクは信用できるのか?会った事も無いから俺には判断がつかないが。」


「信用については問題無い、優秀で義理堅い性格をしているからな、それに向こうはシロウの事を知っていたぞ。」


「は!?何でだ?」


「王都に行く時に、馬車が襲われた所を見ていたらしい。」


「・・・あぁ、あの視線はそのSランクの視線だったのか。」


「シロウは気付いていたのか?」


「視線だけは感じたが、何処にいるのかは分からなかったんだ。」


「かなりの遠距離から見る事ができるから普通は気付かない、と言ってたが。」


「へぇ、遠距離から見るスキルねぇ。」


「まあ、スキルの事は詮索しない方が良い。それで、シロウが出してくれた情報を渡しておいた。その情報はそのSランクが捜査した内容と共に陛下に直接渡すと言っていた。」


「それじゃ、あとは国王が判断するって事か?」


「ああ、そうなる。断罪されるのは間違いないから安心しろ。」


「それなら、俺は構わない。」


「それで今後の予定だが、俺は争奪戦の後始末があるから此処を離れられん、だから今回もキスティに王都へ行ってもらい、マルスティに代理で献上してもらう事になる。そしてキスティとシロウ達は発見者としてマルスティと共に謁見する事になる。」


「・・・謁見、しないとまずいのか?キスティさんだけじゃ、ダメなのか?」


「はぁ~、シロウは本当に逃げたがるよな。」


「ぐっ、・・・冒険者には、面倒なだけだ。」


「名誉な事なんだがな。まあ、諦めろ。」


「はぁ~、仕方が無いか。それで日程は決まっているのか?」


「向こうも準備に時間がかかるだろうから、1週間後に此処を出立して10日で王都に到着すれば問題は無いだろう。シロウ達には移動中の護衛も頼む。それと王都に到着したら謁見用の礼服を作ってもらえ。」


「護衛は構わないが、舞踏会の時にタキシードを作ってもらったぞ?」


「それは舞踏会用のだろ?今回のは礼服だ。」


「・・・また服を作るのか。」


「ははは、こればかりはどうにもならん。慣れろとは言わんが、我慢しろ。」


「・・・慰めにもならない。」


「男を慰める趣味はない!」


「・・・、はぁ~。それで、俺たちは王都に行く準備をすれば良いんだな?」


「つまらん奴だな、そんなんじゃ、いつか捨てられるぞ?」


「ア、アルマスさん!?」


「少しは服にも気を使えって事だ。自分も彼女達も、な。」


「・・・、善処します。」


「ははは、善処か、貴族みたいな言い回しだな。」


「・・・、もう勘弁してくれないか。」


「分かった、分かった、もう言わん。まあ、そう言う事だから礼服は作ってもらえよ。」


「ああ、分かった。話しはこれで終わりか?」


「ああ、これで終わりだ。」


「じゃあ、失礼する。」


「おう。」









それから1週間はする事も無いのでゆったりと過ごし、その後王都へと向かった。


争奪戦に参加した貴族や商人などは既に王都に戻った様で、王都への街道は前回よりも少々込んでいる、と言った程度だった。


そして、ヘリストを出立してから10日、王都エクルに到着した。





前回と同様に貴族用の門に到着すると、門衛に誰何(すいか)される。



「所属と代表者の名を述べよ。」


「ヘリスト伯爵家が次女キスティ・ヘリスト様の一行である。」


「了解した。職務故、検めさせてもらう。」


「承知。」



その後1人ずつ身分証を見せて確認をしていく。



「これが、オレのギルドカードだ!」


「これ、スヴィの!」


「あたしは、これね。」


「ふむ、冒険者か、護衛で良いのだな?」


「ああ、これが護衛の依頼書だ。」


(ヴァルマとスヴィは嬉しそうだな。)



「・・・、良し、確認した。」





東門での検査が終り王都に入る。





「おお、やっぱり王都はデカいな、シロウ。」


「うん。大きい!」


「ははは、そうだな、デカいな。」





そして、貴族街に入りヘリスト伯爵家王都邸に到着すると、玄関前にオルマンニとメイド数名が待っていた。



「お待ちしておりました、キスティお嬢様。」


「出迎えご苦労様です、オルマンニ。」


「恐悦至極に存じます。」


「まずは到着の報告をします。お義母様達は?」


「アートラ様方は応接室にてお待ちです。」


「そうですか、分かりました。エンロン、あとは頼みましたよ。」


「はい、お嬢様。」


「シロウさん達も一緒に行きましょう。」


「えっ、俺たちもか?」


「ええ、お義母様達と今後の話しもするので、一緒にお願いします。」


「あ、ああ、分かった。」





キスティと共に応接室に行くとヘリスト家の人達が迎えてくれた。





「やあ、シロウ、久しぶりだね。今回も色々と助けてもらった様だね。」


「ああ、久しぶり、マルスティさん。俺は十分に報酬を貰えたから満足だよ。」


「くっくく、報酬、ね。それは良かった。」


(・・・そこで2人を見るな!)


「おほほ、シロウさんは相変わらずですね。」


「お久しぶりです、アートラさん。それで、そちらはもしかして。」


「初めまして、シロウさん。僕は次男のエルネス・ヘリストです。」


「初めまして。Cランク冒険者のシロウです。」


「ええ、兄上に聞いていますよ。我が家に多大な助力を頂いた様で、僕も感謝しています。」


「それは何よりです。しかし、エルネスさんは貴族学院の寄宿舎に入っているのでは?」


「そうなのですが、今回の事で何故か僕も謁見に参列する事になりまして、一時的に戻って来たのですよ。」


「そうなんですか?」


「ああ、エルネスまで呼ばれた理由は私も知らないけど、呼ばれたのであれば行くしかないからね。」


「そうだな。まあ、行けば分かるか。」


「そう言う事だね、それで今回の謁見はかなり注目されているから、準備にまだ時間がかかるらしい、日程が決まれば通達が来るけど1週間以上はあるはずだ。その間に謁見用の礼服を用意する。」


「・・・そうか、分かった。」


「おや?今回は素直だね。」


「まぁ、アルマスさんにも言われてたからな。」


「なるほど、父上に釘を刺されたか。」


「ぐっ、・・・ま、まぁ、ね。」


「ははは、なるほどね、それは良い事だよ。まあ、シロウの礼服は前にタキシードを依頼した仕立屋に頼めば良い。それと彼女達にも謁見用のドレスが必要だから、それは母上とキスティに任せるよ。」


「おほほ、お任せなさい、可愛くしてあげますよ。」


「うふふ、そうですね、お義母様。」


「おほほ。」「うふふ。」


「ぉぅ。」「うん。」


「・・・母上、あまり派手にはしないで下さいね。」






今回はあまり時間が無いので、素地のドレスを改修してサイズを調整したり飾りを付けたりして対応する事になった。


女性達はドレスを決めてからも微調整や飾りの変更にアクセサリーを選んだりと大変そうだったが、本人達は楽しそうにしていた。




「なあ、マルスティさん、いつもあんなに時間をかけてドレスを選ぶのか?」


「あはは、あれは母上の趣味だからね。貴族の女性とはそう言うものだよ。」


「兄上、カティヤさんは?」


「・・・妻は、お菓子作りの方が好きだからね。」


「もしかして、いつも出してくれているお菓子って。」


「ああ、妻の手作りだよ。」


「そうだったのか、初めて知った。」


「我が家では慣れたものだけど、貴族の女性が料理と言うのは、ちょっとね。」


「そうか?良い趣味だと思うけどな。」


「それより、姉上が問題です。剣を振るう淑女なんて嫁の貰い手がありません。」


「・・・。」「・・・。」


「?」


「エ・ル・ネ・ス。」


「ひゃい!?あ、姉上、こ、これは、その。」


「エルネスは姉思いの、良い子ね。」


「ぎゃ!?あ、兄上、た、助け、て。」


「はぁ、エルネス。・・・頑張れ。」


「・・・そして、エルネスは帰らぬ人となったのである。」


「シロウ?死んでないからね。訓練場に連れてかれただけだからね?」


「ははは、冗談だ。」


















(・・・迂闊な言葉は死を招く、と。)


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