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第19話 解放

ダンジョンで複合スキルカードを見つけて、俺たちは帰って来た。



「まずは複合スキルカードを見つけた事を公表しましょう。そうすれば誰かが奪ったとしても勝者がヘリスト家である事は変わりません。」


「そうだな、これ以上襲われるのは面倒だしな。」



その後、ギルドに報告をして正式にヘリスト家がダンジョン争奪戦の勝者である事が公表された。


そして、それを終えると領主邸に戻った。



「お父様、戻りました。」


「キスティ、お帰り。聞いたぞ、良くやったな。」


「ふふ、シロウさん達のお陰です。」


「そうだな、シロウ達にも感謝している。」


「まぁ、俺たちは依頼を受けただけだからな。」


「はっはっは、シロウは前にもそう言ってたな。」


「・・・、事実だろ?」


「ははは、まあ、そう言う事にしておく。」


「俺への依頼はこれで終了で良いか?」


「ああ、依頼はな。だが、例の件もあるからもう少し付き合ってもらうぞ。」


「俺たちは必要か?」


「それについてはそこまででも無いが、お前達はこの国で始めて複合スキルカードを見つけたんだ、国王陛下へ献上する時にも付いて来てもらうからな。」


「は!?聞いて無いが?」


「言って無いからな。」


「・・・、もしかして、見つけると思わなかったのか?」


「いや、教えておくとシロウは逃げそうだったからな。」


「ぐっ、・・・、反論できない。」


「はっはっは、そうだろう。俺も少しはシロウの扱い方が分かってきたからな。」


「御当主様お客様で御座います。」


「ん?誰だ?まさか、ベリザリオの?」


「いえ、あの方たちです。」


「・・・、そうか。シロウ、すまんが大事な客だ。」


「ああ、分かった俺たちは部屋で待機している。」


「あとで”アレ”をエンロンに持って行かせる。」


「っ!ああ、頼む。ヴァルマ、スヴィ、行こう。」


「おう。」「うん。」






アルマスに客が来たらしいので俺たちは部屋に戻った。






(はぁ~、・・・・・・緊張する。)


「シロウ、どうしたんだ?」


「シロ?」


「どしたの?シー君。」


「・・・何故、エルが俺たちの部屋に?」


「ん?ダメだった?」


「エルの部屋があるだろ?」


「そだけど、・・・1人だし。」


「うっ、それを言われると。」





「シロウ様お持ち致しました。」


「あ、ああ、ありがとう。」


「それでは、失礼致します。」




(・・・くっ、エンロン、意味ありげに2人を見るな。)


「シロウ?」「シロ?」「シー君?」


(・・・もう、こうなったらエルはいない者として行くしかない。)


「・・・はぁ、ヴァルマ、スヴィ、そこに座ってくれ。」


「おう?」「うん。」



2人をソファーの対面に座らせてエンロンが持って来た小瓶をテーブルに乗せる。



「シロウ、これは?」


「・・・これは、隷属解除水と言って奴隷化を解除する為のものだ。」


「は!?」「へ!?」


「これで、2人を奴隷から解放する。」


「ちょ、ちょっと待ってくれ、どう言う事だ。オレ達はもう要らないって事か?」


「シロ・・・。わたし、要らない?」


「あっ、違う!・・・違うんだ、その、なんだ。」


「何が違うんだ?」






「その、こんな風に2人に言うのもどうかと思うんだが、俺は2人の事が好きだ。だから奴隷としてではなく、将来の妻として一緒にいて欲しい。」






「へ?シ、シロウ?そ、それは、本当に?」


「ああ、ヴァルマ。本当だ、俺はヴァルマとスヴィが好きだ。」


「・・・シロウ。オレもシロウが好きだ。」


「シロ、・・・好き、大好き!」


「俺と、一緒にいてくれるか?」


「はい。」「うん。」


「ありがとう。」





「うぅ、良かったね。ヴァルちゃん、スーちゃん。」





「まあ、そう言う訳だから、2人の奴隷化を解除したいんだ。」


「これからもシロウと一緒にいられるなら良いぞ。」


「うん、わたしも。」


「それじゃ、始めるぞ。」




隷属解除水に主人の血を混ぜて飲ませる事で、隷属水の効果を打ち消して奴隷化を解除する事ができる。




「おお、消えた。ヴァルマ、スヴィ、奴隷紋が消えた!」




「・・・、うっ、うぅぁぁぁ、シロウ、シロウ!」


「うぅぅぅ、ぅぅ。・・・シロぉ。」





ヴァルマは、生きる為に食べ物を盗み腕を斬られて捕まり奴隷になった。


スヴィは家族を失い誰かに奴隷にされて3年も山の洞窟に隠れ住んでいた。


それが、今日解放された。


今までの過去が無くなる分けではないが、今後は人として生きていける。



(ああ、良かった。本当に良かった。これで2人は、・・・自由だ。)






「もう落ち着いたか?」


「うん、もう大丈夫だ。」


「・・・うん。大丈夫。」


「今回のダンジョン争奪戦で仙境のスキルを明かしてまで参戦したのは、これが欲しかったからなんだ。これがあれば2人を奴隷から解放できるから。」


「ふふ、妻。」


「シロウはこんな物がある事を知ってたのか?」


「いや、知らなかった。けど、アルマスさんが複合スキルカードを見つければ、追加の報酬としてくれると言って教えてくれたんだ。」


「ふふ、妻。」


「エルも知ってたのか?」


「そだよ。」


「・・・知らなかったのは、オレ達だけなのか。」


「エルには黙っていてもらったんだ、複合スキルカードが見つからなければ貰えないし、お前達に教えると負担になると思ってな。」


「うぅ、そうか。分かった。」


「ふふふ、妻。」


「・・・・・・スヴィ。」


「はぁ、スヴィ、いい加減にしろ!」


『ゴン。』「ぎゃふ、・・・うぅぅ、ヴァル、痛い。」


「いつまでも浮かれてるからだ。」


「ヴァル、嬉しく、無い?」


「う、・・・嬉しい。」


「あはは、ヴァルちゃんも素直になればいいんだよ。」


「コホン、まぁ、俺も嬉しいが。一先ず落ち着いてくれ。」


「ぉ、ぉぅ。」「うん。」


「2人を解放出来たから、冒険者ギルドに身分証を作りに行こう。」


「そうか、オレ達も冒険者になれるんだな!」


「おお、冒険者!」


「アルマスさんが言っていたが、俺たちも王都に行く事になるからな、その前に作っておきたい。」


「そうだな!なら、すぐ行こう!」


「うん!」


「お~。」


「・・・エル、お前も行く気か?」


「え、ダメ?」


「はぁ、まあ、良いか。じゃあ行こう。」







エンロンに馬車を出してもらい、冒険者ギルド・ヘリスト支部へ向かった。







「ようこそ、冒険者ギルド・ヘリスト支部へ。どの様なご用件でしょうか?」


「今日はこの2人の登録をしに来た。」


「畏まりました。それではこちらの用紙へ登録内容のご記入をお願いします。」


「ああ、分かった。」



受付嬢に貰った登録用紙にヴァルマとスヴィは登録する内容を書いていく。



「それでは、こちらに手を乗せて下さい。」



受付が出した箱にヴァルマが手を乗せるとギルドカードが出て来た、そしてスヴィも同様にギルドカードを作った。


どちらも本登録なので、Eランクのカードだ。



「おお、これでオレもシロウと同じ冒険者だ。」


「うん、シロ、一緒。」


「ああ、そうだな。」


「パーティ登録はどうしますか?」


「ん?パーティ登録?」


「ご存じではありませんでしたか?」


「ああ、聞いた事が無いな。」


「それでは、パーティについてお話します。」



そして受付嬢はパーティ登録の利点と欠点を話してくれた。



パーティを組む利点としては、パーティメンバーで最もランクの高いメンバーと最もランクの低いメンバーの中間がパーティランクとなり、そのパーティランクの1つ上の依頼まで受ける事が出来る。



(つまり、俺のCランクと2人のEランクの間、Dランクがパーティランクになって、その1つ上Cランクの依頼まで受ける事ができるって事か。)



欠点としては、ランクの低い冒険者も依頼に同行する為、危険な場合がある事と、複数人で1つの依頼を熟すので実績が等分されてしまい、ランクアップが遅くなってしまう事。



(ランクアップに関しては気にする必要は無いな、危険は、Cランクまでなら問題は無いか。)


「それじゃあ、パーティ登録を頼む。」


「畏まりました、それではパーティ登録する方のギルドカードとパーティ名をお願いします。」


「パーティ名、・・・そうか、名前が必要か。ヴァルマ、スヴィ、どうする?」


「パーティ名ってあの”静寂の守り”みたいな名前か?」


「ま、まぁ、そうだな。」


「う~ん。何かあるか?」


「ホウライ。」


「えっ、スヴィ?」


「おう!それだ、それが良い、家族の名前だ。」


「・・・そうか、家族の名前か。そうだなそうしよう。」


「シー君、ホウライって何?」


「あぁ、まあ、・・・俺の家族の名前だ。」


「シー君は貴族じゃ無いよね?」


「まぁ、そうなんだが、あるんだよ。」


「ふ~ん。そうなんだ。」


「あの、ホウライで宜しいですか?」


「ああ、それで頼む。」


「おう。」「うん。」「お~。」


「ちょっと待て!エル!」


「ん?何かな?」


「何かな?じゃない!何でお前までパーティに加わろうとしてるんだ。」


「ダメ?」


「あのなぁ、お前には、・・・。すまん。」


「いいよ。けど、あたしは1人だから誰かとパーティを組まないと依頼も受けられないでしょ?それに、あの契約の事もあるから近くにいた方が良くない?」


「確かにそうだが。」


(・・・折角結婚できるようになったのに、エルがいるのは。)


「シロウ、良いんじゃないか?エルなら一緒でも。」


「シロ、エル、良い子。」


「うっ、わ、分かった。」


「あはは、大丈夫、夜はちゃんと寝てるから!」


「ぶはぁ!?お、お前なぁ!」


「・・・。」「・・・、うふ。」


「あの~、もう宜しいですか?」


「す、すまん、それじゃ、この4人で頼む。」


「畏まりました。では少々お待ちください。」





受付嬢が全員のギルドカードを持って奥へと行った。






「あれ~。君って確か・・・クロウ君?」


「シロウだ!」


「そうだっけ?」


「はぁ、イェンナさんは相変わらずだな、・・・後ろ。」


「ん?後ろ?」



そしてイェンナが後ろを振り返れば、怒り顔の女性が睨んでいた。



「イェンナ、時間が無いんだから早くしなさい!」


「ふぇっ!?2人とも何時からいたの~?」



いつもと同様に始めからいた。



「最初っからいたわよ!まったく貴方は!早く行かないと!」


「うん。わかった~。じゃあバイバイ、クロウ君。」



そしていつもの如く彼女達はギルドを出て行った。



「・・・彼女はいつになったら名前を覚えるんだ?」




それから暫くすると受付嬢が全員のギルドカードを持って戻って来た。





「おお、ホウライって書いてあるぞ。」


「ふふ、ホウライ。」


「お~、ホウライだ。」


「そこまで喜ばれると、何だか恥ずかしいな。」


「良いじゃないか、オレ達は家族なんだから!」


「ふふ、ホウライ、家族。」


「そだね、家族だね。」


「・・・、エル、お前は違うだろ?」


「むむ、仲間外れ?」


「はぁ、もういい、そろそろ帰るぞ。」


「おう。」「うん。」「お~。」









(・・・これから俺たちの新しい関係が始まるのか。)


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― 新着の感想 ―
[一言] 「それについてはそこまででも無いが、お前達はこの国で始めて複合スキルカードを見つけたんだ、国王陛下へ献上する時にも付いて来てもらうからな。」 それぞれ貴族家から一名は参加していているのだか…
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