第18話 斬武闘将
サロドルフ達が会話する所を撮影し、彼らが去って行くのを見届けてから仙境に入った。
「シロウ!」「シロ。」
「外で待ってたのか。待たせたな。2人は?」
「食堂にいるぞ。」
「そうか、じゃあ、行こう。」
「おう。」「うん。」
そして家の中に入るとキスティとエルシュラがお茶を飲んでいた。
「シロウさん!」「シー君!」
「ただいま、良いのが撮れたぞ。」
撮影したサロドルフ達の映像を見せて、これからどうするかを話し合った。
「・・・シー君。こいつらだ。あたし達に魔物を押し付けて逃げたやつらだ。」
「・・・そうか。じゃあ、こいつらが言っていた”事前に潰した”ってのは、エルのパーティもか。」
「許せない!あいつらの所為で、・・・皆が。」
「では、知らせに行くか。」
「シロウさん、ちょっと待って頂けますか?」
「どうした?」
「このまま報告しても、彼らがエルちゃんのパーティを潰した証拠がありません。」
「では、どうする?」
「探索を続けましょう、そうすれば、いずれは・・・。」
「その覚悟があるのか?キスティさんには危険だぞ。」
「分かっています、ですが、このまま見過ごす事はできません。」
「キーちゃん。・・・シー君やろう、キーちゃんはあたしが守るから。」
「・・・。」
「シロウ、オレ達もいる、大丈夫だ。」
「うん、負けない。」
「・・・、あぁ、分かった。」
その後は複合スキルカードの捜索を続けながら、エルシュラのパーティを潰した斬武闘将がかかるのを待った。
そして、3日後。
「皆、かかった。このまま気付いてない振りをしてくれ、エルは顔が見えない様に注意するんだ。」
「おう。」「うん。」「ええ。」「お~。」
それから暫く経つと向こうから近づいて来た。
「お!珍しいな、この階層に他の冒険者が来てるなんて。」
「あんたは?」
「ああ、俺たちは斬武闘将ってパーティで俺がリーダーのヨーナスだ。」
「あんたが貴族か?」
「ん?いや違うが?それがどうかしたのか?」
「今はダンジョン争奪戦中だ、貴族家以外のパーティはダンジョンに入ってはいけないはずなんだが?」
「え!?そうなのか、俺たちはずっとダンジョンに潜ってたから、知らなかったんだよ。なぁ?」
「ああ、そうだな、俺たちはずっとダンジョンにいたからなぁ。」
「へぇ、そうか。もう随分経つんだが、知らなかったのか。」
「ああ、半月以上潜ってるからなぁ。」
「半月ねぇ、おかしいなぁ。ダンジョン戦の話しは1ヵ月以上前には公表されていたはずなんだが?」
「・・・。さぁな、俺たちは聞いて無い。」
「そうか、聞いて無いか。だったらすぐにダンジョンを出た方が良いぞ。争奪戦中に一般の冒険者がダンジョンにいるなんて知られたら、ギルドにも国にも罰を受ける事になるだろうからな。」
「そうか、じゃあ、そうさせて貰おうか。じゃあ、な!・・・!?てめぇは。」
「あたしの事、覚えてた?」
「ちっ、やれ!」
斬武闘将は通り過ぎる瞬間に襲うつもりだった様だが、エルシュラの顔を見てから即座に戦闘に移った。
「ヴァルマ、スヴィ。」
「おう。」「うん。」
こちらもいつでも戦える態勢は整えてある。
俺とスヴィで前衛を抑え、ヴァルマとエルシュラでキスティを守りながら戦う。
人数的にはこちらが不利だが、弓士で精霊魔法使いのエルシュラがいる。
「エル、援護は任せる。オレが突っ込む!」
「任せて!」
ヴァルマが敵に向かって走ると、背後からエルシュラが矢を放つ。
「マウノ!近づかせるな。」
「んな事言ったって、俺は探索士だぞ!」
〔炎よ集え重ねて集いて現れ出でよ、灼熱の壁にて我に仇なす敵を阻め。〕火炎障壁
「マイニオ!助かった。」
「マウノ、ヴェサ。あんまり持たねぇぞ!」
魔法士のマイニオが火炎障壁を作り出しヴァルマを阻む。
「あめぇぞ!」〔火耐性〕
「なぁ!?」
ヴァルマは火炎障壁を火耐性を発動して飛び越えると、そのまま探索士のマウノを斬り捨てた。
「がはぁ!?」
「マウノ!ちっ、マイニオ!」
「炎がダメなら。」
〔我が手に現れ出でるは硬き岩の矢、我が意に従い敵を貫け。〕岩矢
「させない!シル、風弾!」
魔法が発動する前にエルシュラは精霊魔法を魔法士のマイニオに放った。
「ぶはぁ!」
「今!」
「があぁあ!」
そして、ヴァルマが魔法士のマイニオを斬り、そのまま弓士のヴェサに向かって行く。
「くそっ!来るな!・・・がぁ!?」
弓士がヴァルマに向かって弓を放とうとした所で、エルシュラが弓士のヴェサに向かって矢を放った。
「ふぅ、すぅ、はぁ。」
ヴァルマが戦っている間、俺とスヴィは剣士2人と斧士の相手をしていた。
「シロ。」〔獣化〕
「ああ。」
「なっ、獣化だと!アルヴィ、トゥオマス。」
「ああ!」「おうさ!」
剣士のアルヴィと斧士のトゥオマスが一斉にかかって来た。
「死ね!」
アルヴィの剣を受け流しそのまま体当たりをして態勢を崩したが、トゥオマスが大斧を振り下ろして近づかせない。
「はぁ、たぁ!」
今度はスヴィがトゥオマスに槍で突くが斧で防がれた、そこに今度は剣士のヨーナスが剣を振るう。
この階層まで来る実力のある冒険者だけあり、連係もできる上に彼らの装備も聖銀製の武器だ。
「スヴィ。」
「うん。」
だが、今度は魔纏を発動して斬りかかる。
「はぁ!?、け、剣が!」
俺がアルヴィの剣を切り裂くと意識がそこに注がれた瞬間にスヴィが突き殺した。
「がぁあ!?」
「アルヴィ!てめぇ。」
今度はトゥオマスの意識がスヴィに向き斧を振り上げた瞬間に胴を斬る。
「ぎゃあ!?」
「トゥオマス!てめぇら!」
「はぁ、たぁ。」
「ふっ、しっ。」
最後はヨーナスの剣をスヴィが切り裂き武器が無くなったところで剣を振り下ろして肩から袈裟切りにした。
「が、がぁはっ!」
「ふぅ、すぅ、はぁ。」
「すぅ、はぁ。」
こうして、エルシュラのパーティを壊滅させた斬武闘将を倒した。
「エル。」
「ん、大丈夫。・・・皆、仇は取ったよ。」
「キスティさん、この後はどうする?探索を続けるか、それとも戻って報告をするか。」
「そうですね・・・。彼らがいなくなった事をサロドルフ様が知っても、探索は続けるでしょうから、・・・こちらも探索を続けましょう。」
「サロドルフを放っておいて良いのか?」
「万が一ですが。これらの証拠を提示したとして、その時にサロドルフ様が複合スキルカードを手にしていたら、どの様な結論がされるかが分かりません。できればこちらで見つけて反論の余地を無くしたいと思います。」
「エルはそれで良いか?」
「ん、いいよ。キーちゃんの為にあたしも頑張る。」
その後、3週間もの間ダンジョンに籠もり続けて、ようやく発見した。
「これが複合スキルカードか。」
「シロウさん、やりました!これで、我が家は助かります!」
「シロウ!やったな!」
「シロ!」
「シー君!やったね!」
「ああ、それじゃあ、帰ろう。」
(これで、ダンジョン争奪戦は終わりだ。・・・あとは。)




