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第13話 争奪戦準備

3人と機密保持契約を交わしたので、仙境の中に入り説明を始めた。



「知られると問題になる可能性があるのが、この”仙境”なんだ。」


「これは、・・・。」


「ここは、・・・。」


「ほぁ。」


「この仙境はスキルとしては異質で、この隔離空間が何なのかは俺も分かって無い。取り合えずこの空間に移動出来るスキルと解釈してくれれば良い。」


「移動、・・・これは転移なのか?」


「此処にしか来れないから、転移とは違うと思う。それで、此処にある家は入口の所にある水晶を操作すると自動で作ってくれるんだよ。」


「は!?自動って、どう言う事だ?」


「俺にも仕組みは分からないんだよ。けど、まぁ、便利だからな。」


「・・・はぁ、便利ってお前なぁ。」


「まあ、そこはどうでも良いんだ。これを知られたく無い理由は、この仙境は俺を起点にしているから、此処に人を残したまま俺が外で移動するとそこに連れて行けるって事だ。」


「・・・はぁ!?」


「何を想像したのかは知らないが、これを使えば、軍は無理でも数十人ぐらいならば、人知れず運ぶ事ができるって事なんだよ。」


「・・・、確かに危険ではあるな。」


「だろ?そんな事をするつもりは無いが、他人に知られて利用されるのは避けたいんだ。」


「・・・そうだな、俺も領主として、こんな物を使われたらたまらん。」


「もしかして、これでわたくしを運ぶ、と言う事ですか?」


「いや、それは緊急時だけで、基本は宿泊施設として使う。キスティさんも迷宮階層で野営した時に何度も襲われたのは覚えているだろ?この仙境に入っていれば襲われる事は無いし、食料も十分にあるから休むには最適なんだ。」


「はぁ、そうですか。」


「まあ、移動する家だと思ってくれれば良い。ダンジョン内で野営するのでは無く毎日家に帰って休めるって事だ。」


「それだけで26階層まで行けるのか?」


「まあ、もう1つある、21階層からの荒野では”飛翔”と言うスキルで空を飛んで上空から階段を探したんだよ、5階層から下ではダンジョンの階段は数日で場所が変わるからもう一度探す必要がある。」


「・・・、はぁ、お前は空も飛べるのか。」


「あたしも飛べるよ?」


「え!?そうなのか?」


「そだよ、シルに頼んで打ち上げてもらうんだよ。びゅ~ん、って。」


「・・・それは、飛ぶとは言わないと思うが。」


「そ?」


「ま、まぁ、それはいい。これで21~24階層を抜けられるし、25階層の守護者は俺とヴァルマとスヴィの3人でも倒せるから問題は無い。」


「なるほどなぁ、確かにこれなら野営で疲れずに進めるし、荒野は空から階段を探して抜けられる。」


「どうだ?これなら問題は無いだろ?」


「シロウさん、わたくしは戦闘では役に立ちませんか?」


「・・・申し訳ないが、21階層以降はキスティさんでは力不足だと思う。」


「・・・そう、ですか。」


「あぁ、そう言えばエルは精霊魔法以外は何か使えるのか?」


「あたしは弓だよ。」


「精霊魔法と弓、遠距離のみか。」


「そだね。」


「そうなると陣形は、ヴァルマとスヴィが先頭で間にエルとキスティさんで最後が俺になるかな。」


「シロウ、もう1人付けられるぞ?」


「アルマスさん、できればこれ以上知っている人を増やしたくないんだ。戦闘はヴァルマとスヴィにエルの援護があれば問題は無い。」


「そうか、分かった。じゃあ、あとはシロウに任せる。」


「ああ、任せてくれ。」



そう言うとアルマスは仙境を出た。



「それじゃ、まずはエルの装備を整える必要があるな。」


「そだね、・・・でも、お金が無い。」


「うふふ、そこはわたくしにお任せください。」


「もしかして、あの店か?」


「ええ、勿論ですよ。」


「まあ、それはキスティさんに任せるよ。あ、そう言えば。」



使わないので忘れていたが、26階層の宝箱に弓が入っていた事を思い出した。



「エル、この弓は使えるか?26階層の宝箱から出て来たんだ。」


「お~、これ魔弓だよ。」


「魔弓?特別な物なのか?」


「そ、ここに付いてる宝石は魔結晶って言ってね・・・。」



エルシュラの話しでは、魔結晶とは魔石の様に魔力が結晶化したものでは無く、宝石に長い年月をかけて魔力が流れ込み蓄えられてできる物らしい。


この魔結晶は同じ大きさの魔石の3倍の魔力を蓄える事ができ、更には魔力を送る事で使った魔力を再充填する事もできる。


そして、この弓は魔結晶の魔力を矢に変えて放つ事ができるので魔弓と呼ばれる。



「へぇ、矢が要らないのか。」


「魔力だけだと足りなくなるから、普通の矢も使うけどね。」


「そうか、その魔結晶でどのくらい撃てるんだ?」


「う~ん。これだと30くらいかな?」


「30か、結構多いな。まあ、どう使うかはエルに任せるよ。通常の矢は仙境に置いておけば幾らでも補充できるからな。」


「そだね。」


「では、それは騎士団に集めさせましょう。」


「ああ、明後日には争奪戦が始まるから、矢がどのぐらい残っているか分からないから、そうしてくれると助かるよ。」


「それでは、エルシュラさん、装備を整えに行きましょう。」


「エルちゃん。」


「うふふ、ではエルちゃん、行きましょう。」


「お~。キーちゃん、行こう。」


(・・・エルは天然と言うか幼いと言うか。見た目は美人なのに、残念な人だ。)






仙境を出て、キスティとエルシュラは装備を整えに屋敷を後にした。






「ヴァルマ、スヴィ。話しがある。」



部屋に戻ると2人にダンジョン争奪戦にヘリスト家として参加する事と、仙境と飛翔のスキルを教えた事を伝えた。



「・・・シロウ、何でそれを教えてまで参加するんだ?」


「うん。らしく、ない?」


「そうだな、俺らしくは無いだろう、まあ、ヘリスト家には世話になっているし、このままベリザリオに良い様にされるものな。」


「・・・シロウ、何か隠してるのか?」


(ヴァルマはこう言う事に鋭いんだよな。・・・けど。)


「あぁ、まあ、無くは無いが、今は聞かないでくれ。」


「・・・分かった、シロウがそう言うなら聞かないでおく。」


「うん。」


「ヴァルマ、スヴィ。ありがとう。」


「ぉ、ぉぅ。」「へへへ。」


「それで、準備なんだが、俺たちがする事は特に無いんだよ、仙境には畑もあるし食材回収ボックスにも食料はある。部屋も足りているから、あとはキスティさんとエルの荷物を仙境に入れれば終わりだ。」


「普段と変わんねぇな。」


「まあ、そうだな。」


(・・・女性が2人増えるのは、俺には肩身が狭いんだが。)


「ああ、そうだ、すまないスヴィ。26階層で見つけた弓をエルに渡してしまったんだよ。」


「ん?良いよ?」


「あれ?スヴィは使いたかったんじゃないのか?」


「ううん。・・・、趣味?」


「あぁ、趣味程度て使ってみたかっただけなのか。」


「うん。」


「それじゃあ、また今度使ってみような。」


「うん。」






翌日はキスティとエルの荷物を仙境に入れたり部屋の準備を整えたりとダンジョン争奪戦で長期間戻らなくても済むように準備をした。


1階層から15階層までは数日あれば踏破できるので、そこまでは通常通りに5階層毎にポータルで戻り、それ以降は様子を見ながらダンジョンに潜り続ける事になる。


16階層でも念の為に探索はするが、本命は26~29階層になる。



「さて、これで準備は整ったな。明日からダンジョン争奪戦が始まる。」


「おう。」「うん。」















(・・・複合スキルカード、絶対に見つける。)


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