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世界でただ一人の種族はチートだった  作者: どんぺった
第2章 ダンジョン都市ヘリスト
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第25話 王都エクル

朝になり野営の片付けをしてからクスルカに昨夜の襲撃について聞いた。



「なあ、クスルカさん、昨夜の襲撃に心当たりは?」


「あぁ、はっきり言って、心当たりがあり過ぎて分からん。」


「は?あり過ぎる?」


「そうだ、あり過ぎる、だ。」



クスルカの話しでは、ヘリスト家はこの国で唯一のダンジョンを保有している為、いつ誰に狙われるかは分からない。


ヘリストの町とダンジョンを治めるヘリスト家は”迷宮伯”と呼ばれ、伯爵で在りながら貴族の枠組みの外にいるらしい、これはダンジョンを保有するが故に得た特権だ。


そして、ヘリスト家に対して命令できるのは王族と宰相だけで、例え上位の貴族でもヘリスト家に対して命令をする権限が無い、ただしこれは逆もまた然りで、ヘリスト家は例え下位の貴族に対しても命令する権限が無い事になる。



「それで、やって行けるのか?」


「まあ、これは形式的なものだからな、実際にはそうは行かない。どうしたって、しがらみはできるんだ。」



しがらみで最も多いのが婚姻だ。


次期当主の長男マルスティは既に結婚していて、長女のキルリアも嫁いでいる、そして、次男エルネスの婚約者は決まっておらず、次女のキスティも婚約者が候補止まりで、まだ決定はしていない。



「つまり、キスティさんを狙う可能性もあるって事か?」


「それなら、害しようとはしないだろ?」


「ああ、そうか、確かに。」


「ええ、そうですね、わたくしと言うよりも、あのスキルの事でしょう。」


「キスティさん?」「お嬢様?」


「おはようございます。」


「あぁ、おはよう。」「おはようございます、お嬢様。」


「シロウさん、わたくしがどうしてダンジョンに潜ったか、ご存知でしょう?」


「えぇ、それは。」



キスティ達が無茶を承知でダンジョンに潜ったのは、複合スキルカードを探すためだ、結果は騎士3名の死亡だけで発見する事はできなかったが。



「最近は、他家の方もダンジョンに来ますから、先に見つけて陛下に献上すれば優位に、いえ、もしかしたら、カードを先に見つけた功績で、ヘリスト家を排除し、自分が統治したいと思っているのかもしれません。」


「えっ、そんな事ができるんですか?」


「可能性の話しですが、統治者で在りながら他家に後れをとる、そんな事になれば、能力を疑われても仕方が無いかと。」


「ですがお嬢様、まだ帝国以外に発見されたとは聞いていません、早々見つかるとは思えないのですが。」


「そうでしょうね、ですが、わたくしがダンジョンに潜った事で、発見されていた場合を想定して動いているのかもしれません。」


「なるほど、もしも見つけていた場合でも公表されていないから、奪って自分で献上すればそれで功績になる、と。」


「ふふ、シロウさんは冒険者ですのに、良くお分かりで。」


「!?ま、まぁ、そんな感じかな、と。」


(ちょっと、突っ込み過ぎた。普通の冒険者はそんな事は考えないか。)


「それでこそ、わたくしが推薦した甲斐があると言うものです。」


「あれ、俺達が依頼されたのって。」


「ええ、わたくしがお父様に頼んだのです、最もシロウさん達の感知と戦闘の能力を買っての話しでしたが、嬉しい誤算でした。」


「そ、そうだったのか。」


「ふふ、そうですよ。もしかしたら、王都でも依頼するかもしれませんね。」


「うっ、そうですか。」



王都に着いて鍛冶師を紹介してもらったら、ヘリスト家から離れるつもりだったが、装備の購入費用を出してもらっているので断り辛い。


これで、断ったら恩知らずになってしまう、こうした事があるから貴族とは関わり合いになる事を避けていたのに。



「ですから、王都では我が家に滞在して下さいね。」


「・・・、はい。」


(謀られたのだろうか。・・・とは言え、もう遅いか。)


「お嬢様、準備ができました。」


「パウラ、ありがとう、それでは行きましょう。」


「あ、ああ。」「畏まりました。」



3人で話している内に出立の準備ができた様だ、今日中には村に着くが今後もいつ襲われるか分からない。


ただ、昨夜の襲撃で俺たちが戦力になる事を知られてしまった、次があるとしたら、昨夜以上の人数になる可能性が高い。



「シロウ?」「シロ?」


「あぁ、2人共もう落ち着いたか?」


「ぉぅ、慰めて貰ったからな。」


「安心。」


「シロウ様!」


「ああ、今行く!ヴァルマ、スヴィ、行こう。」


「おう。」「うん。」



キーアの呼ぶ声に答えて馬車へ向かう。





警戒しながら道中を進むが、何事もなく日暮れ前には村に到着した。





「おい、シロウ。どうだ?」


「いや、難しいな、人が多い上に注目が集まってるからな。」


「そうか、分かった。それでも警戒だけは続けてくれ。」


「ああ。」



クスルカに答えた様に”村に貴族が来る”これだけでも注目を集めているので、感知に様々な反応がある、周辺感知でも悪意の様なものを感知できる分けではないので、動きを追って判断するしか無い。



(・・・悪意を感知できれば楽なんだけど。)



「シロウ、どうした?」「シロ?」


「あぁ、何でもない。今夜も見張りが必要だ、食事をしたらすぐに寝よう。」


「おう。」「うん。」



村人の中に刺客が紛れ込んでいるかも知れないので、野営の時よりも判断が難しい、だから村人であっても近づける分けには行かない。



夜間の見張りも終り、寝ている時に反応があった。



(3人か、見張りは・・・気付いてない?ヴァルマとスヴィは寝てるか。)



侵入者は3人、隠蔽系のスキルを使っているのか、まだ誰も気付いていない。


建物の中で剣を振るう分けにはいかないので予備武器のナイフを持ち、隠形を使って侵入者を追うと、キスティの部屋に向かっていた。


中に入ってから捕らえれば狙いが分かるかもしれないが、女性の寝室に入らせる分けには行かない。


1人は警戒役だろう、離れたところで様子を伺っている。


警戒役の背後から近づくと、声が出ない様に口を塞ぎナイフで刺す。



「ぐむぉ?」


(・・・まだ、気付かれてないな。)〔隠形〕



倒した敵を床にそっと下ろしてから、隠形をかけ直して残りの2人を追う。


2人の侵入者がキスティの部屋の前で見張りをしている騎士に向けて剣を向けるのを感じると、一気に近づき蹴り飛ばす。



「侵入者だ、捕らえろ!」



そう言うと、もう1人がこちらに視線を向けたので、威圧を放ち動きを止めた瞬間に腹を殴って気絶させた。



「ふぅ、向こうも捕らえたか。」


「何事だ!」



パウラが剣を片手に部屋から出てきた。



「ああ、侵入者だ、・・・パウラ、何か着て来い。」


「ん?・・・ぎゃぁあ!」



寝起きのままで出て来たのだろう、パウラは下着姿だった。



「シロウ!」


「クスルカさん、侵入者だ、1人は殺したが2人は捕らえた。」


「・・・ん?シロウは見張りの時間じゃ無いだろ?」


「寝てても反応があると気付くんだよ。」


「へぇ、そうなのか。」


「まあ、1人で野営してた頃の名残だ。」


「は?お前1人で野営なんてしてたのか?」


「・・・・・・、仕方なく。」


「はぁ~、・・・まあ、そこは良い、それで?」


「ああ、他にはいないと思う、感知に反応は無いからな、だがこれだけとは思えない、3人とも侵入してきたから報告を待っている奴がいると思う。」


「・・・、そうか。だが分からんのだろ?」


「こればかりはな。」


「コホン、そ、それで、捕らえた侵入者の尋問はどうしますか?」


「パウラ、どうした?顔が赤いぞ?」


「な、何でもありませんよ?クスルカ隊長。」


「・・・まあ良い、尋問は俺達がする。お前達は朝まで寝てろ。」


「ああ、そうさせて貰う。」「は、はい。」




侵入者の尋問は騎士達に任せて部屋に戻ると、2人も目を覚ましていた。




「シロウ、ごめん、気付かなかった。」


「シロ、ごめん。」


「2人とも、気にするなとは言わない、けれど落ち込む必要は無い、自分に足りないものがあると気付けたならそれは成長の糧になる。」


「おう。頑張る。」


「うん。わたしも。」


「さあ、朝まではまだ時間がある。寝よう。」


「おやすみ、シロウ。」「シロ、おやすみ。」






▽▽▽






朝、起きるとキスティとクスルカが話しをしていた。



「おはよう、どうした?」


「シロウさん、おはようございます。」


「おう、おはよう。」


「どうしたんだ、2人してそんな顔をして、また何かあったのか?」


「ああ、それが、昨夜の侵入者を尋問しようと、捕らえていた部屋に行ったら死んでたんだ。毒だと思うが。」


「・・・口封じ?」


「多分な。服は全部脱がして身体検査もしたし、口内も確認したんだが。」


「それでも、死んだって事は、監視役に殺されたか、もしくは先に毒を飲んでいたかってとこか。」


「そんな事ができるのか?」


「後者だとは思う。あれからは侵入者の反応は無かったからな。先に毒を飲んでたかは、ただの可能性でしか無い。」


「・・・そうか。」


「シロウさんは、そう言った知識が?」


「すまんが分からん。ただ、あとで解毒ができるなら、先に毒を飲んでおいて戻ってから解毒薬を飲めば済むかと考えただけだ。」


「・・・。」「・・・。」


「ん?どうした?」


「いえ、シロウさんは色々と考えているのですね。」


「そうだな、冒険者にしておくには勿体ないな。どうだ、ヘリスト家に仕官しないか?御領主様には俺が推薦するぞ。」


「ああ、すまんが、仕官はしない。これは相手が誰であってもだ。」


「・・・、国王陛下でもか?」


「ああ。これは譲れない。」


「・・・・・・はぁ、分かった。」


「ふふ、隊長の負けですね。」


「そうですね、まあ、いずれ機会があれば。」


「無いぞ。」


「ヴァルマ?」


「おう。こっちは準備できたぞ。」


「そうか、スヴィは?」


「部屋で待ってる。」


「分かった、それじゃ、キスティさん、クスルカさん、またあとで。」


「ええ。」「おう。」




ヴァルマを連れて部屋に戻ると、スヴィが荷物番をしていた。



「スヴィ、ありがとうな。」


「へへ、うん。」


「それじゃあ、行こう、あと5日で王都に着く。」


「おう。」「うん。」











▽▽▽











村を出てから5日、警戒していたが再度の襲撃は無かった。


そして、ようやく王都が見えてきた。



「おお、デカいな~。流石は王都だ。」


「おう、すげぇ!」「おっきい。」


「シロウ様も子供みたいですね。」


「・・・コホン、キーアさん、これでも。」


『26!』


「うっ、皆で声を揃えなくても。えぇ、えぇ、俺は小さいですよ。」


「うふふ。」「ははは。」「ふふ。」









こうして、エクルース王国・王都エクルに到着した。



(はぁ~、・・・大きくなりたい。)


本編はここで終了ですが、本日の夕方に閑話を投稿します。

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