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世界でただ一人の種族はチートだった  作者: どんぺった
第2章 ダンジョン都市ヘリスト
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第24話 襲撃

ヘリストを出立してから4日、これまで数回魔物を感知したが、襲って来る分けでも無かったので旅路は平和だった。



「しかし、ここまで何も無いと、護衛として雇われたのに、役立たずな感じがするんだが。」


「ですが、シロウ様のおかげで魔物が近づく前に気付けたから、やり過ごす事ができたのでしょう?」


「キーアさんはそう言うが、感知しただけだし、戦闘が無いと何とも、な。」


「それが普通ですよ、そう度々襲われていては旅はできません。」


「まぁ、そうだな。」


「シロウは気にしすぎだぞ。」


「シロ、大丈夫。」



初日にヴァルマに叱られたキーアは、段々と喋るようになった。


彼女は猟師の娘で、子供の頃に父親から罠の作り方や見つけ方などを教わっていて、領主邸で働き始める前には罠察知と罠解除のスキルを取得していたらしい。


ただ彼女は戦闘に関しては護身程度の能力しか無く、本来ならばダンジョンに行く事は無かったのだが、他に罠に対処できる者が見つからず、そして時間も無かった為に危険を承知でついて行ったそうだ。



「明日には王都との間にある村に着きます、その村を過ぎれば5日で王都です。何事も無く着くのが望ましいでしょう?」


「まあ、そうだな。っ!?」


「どうされました?」


「・・・いや、何でも無い。」


(・・・今のは?気配は無いが。一応あとで報告しておこう。)



周辺感知には気配も魔力も反応は無いが、一瞬だけ何かを感じた。


昼食の休憩時に、護衛隊の隊長クスルカに話をして、念のため注意をする様に忠告した。



「しかし、反応は無いのだろう?」


「ああ、今も感知はしているが反応は無い。視線を感じただけなんだ。とは言え感知の範囲も限られているから、それ以上の距離だと分からない。まぁ、念の為ってやつだ。」


「そうか、しかし、それが盗賊ならば手強いはずだ。忠告には感謝する。」


「まぁ、俺の勘違いであって欲しいがな。」


「ははは、そうだな、だが警戒するに越した事は無い。」


「俺もこのまま警戒を続けるが、そちらも頼む。」


「ああ、そうする。」





その後は何事もなく街道を進んだ。





「今日はここまでだ。野営の準備を始めろ。」



隊長のクスルカが隊列を街道脇に止めさせて、野営の準備を始める。


夜間の見張りは、始めに護衛騎士2名で日付が変わる頃まで行い、そこから4時間程度を俺たちが見張る、そして最後に別の護衛騎士が朝まで見張る事になる。


食事を済ませると俺たちと朝方に見張りをする騎士2名は就寝した。



「シロウ、起きろ、交代だ。」


「ああ、分かった。何かあったか?」


「いや、何も無い。それじゃあ、俺たちは休ませてもらうぞ。」


「おう、ゆっくり寝てくれ。」


「ヴァルマ、スヴィ、見張りだ。」


「ぉぅ。」「ぅぅ。」


「寝てても良いんだぞ?」


「だいじょぶ、おきる。」「ぅん。」



言葉がしっかりして無い所を見るとまだ眠いのだろう。






見張りを始めてから2時間経った頃に、周辺感知に近づいて来る反応があった、数は30人で西側から来ている。



「!?ヴァルマ、スヴィ。西30だ。」


「おう、起こしてくる。」


「うん。」





「シロウ、敵か?」


「ああ、ゆっくりだが真っすぐこちらに向かってる。・・・いや3方に別れたな。正面が20に左右に5ずつだ。」



すぐに起きて来たクスルカにそう伝えた。


こちらの戦力は護衛騎士が8名に俺達が3人の計11人だ、盗賊が襲うにしては戦力差があり過ぎる。



「なあ、おかしくないか?盗賊の数は多いが、こちらは11人もいるんだぞ?」


「そりゃあ、お前らが戦力として見られて無いからだろうな。」


「は?」



クスルカが言いたいのは、俺達が子供に見えたと言う事だろう。



「・・・殺す。」


「ぷっ、まあ、確かに殺すが。冷静にな。」


「ふぅ~、はぁ~。ああ、大丈夫だ。・・・冷静に殺す。」


「・・・シロウ。」「ふふ。」


「じゃあ、俺たちが正面を受け持つ。シロウ達は左の5人を始末したら背後から強襲しろ。」


「ああ、分かった。ヴァルマ、スヴィ。2人は初めてだ、気分が悪くなったら、すぐに離脱しろ。」


「シロウ、オレはスラムにいたんだ、死人は何度も見てる。」


「ヴァルマ、それは違う。見るのと殺すのは違うんだ。だから気持ち悪くなる事は恥ずかしい事では無いし、間違ってもいない。」


「そう、か、分かった。」


「スヴィもだぞ。」


「うん。」


「それじゃ、2人は隠密で近づいてから戦闘を開始してくれ、俺は注意を引く為にそのまま行く。」


「おう。」「うん。」



正面の20人に対しては騎士が5人で対応し、右から来る5人に対しては騎士2人で対応する、そして俺たちが左の5人の相手をする。


パウラはキスティの護衛として馬車の守りに付いている。



(俺たちがいなければ30対8で確かに勝てそうだが、それでも騎士が8人だ、襲うにしてもリスクが高くないか?)


「・・・ガキか。」


「・・・殺す。」



盗賊の1人が呟く、確かに身長は低い、だがガキでは無い。



「ふぅ、しっ!」



盗賊の1人が中央での戦いに視線を向けた瞬間に一気に近づき胴を斬る。



「がはぁっ?」


「ぐあっ?」「がぁ?」



同時にヴァルマとスヴィも1人ずつ倒したようだ。



「な!?何が!」「なんだ!?」



突然仲間が倒された事に動揺し、周囲を見渡すとヴァルマとスヴィがいた、隠形や陰密などのスキルは触れたり攻撃をすると解けてしまうのだ。


盗賊が2人を見つけると剣を振ろうとしたので、威圧を放ち動きを止める。



「ふっ、せっ!」



そして、動きの止まった盗賊がこちらに視線を向ける前に首を跳ねて、残った1人に向けて盗賊の身体を蹴り飛ばす。



「ひぃ!?ぐぁ?」



そして、怯んだ隙にスヴィが、槍で突き殺した。



「ヴァルマ、スヴィ、良くやった。気分はどうだ?気持ち悪くなって無いか?」


「・・・手が。」「・・・。」



そう答える2人の手は震えている。



(・・・まだ、早かったな。)


「2人は馬車へ戻れ。」


「でも。」「!?」


「俺も最初は落ち込んだ。でも、それで良いんだ。人は人を殺すべきじゃない。けれど俺はそれを選んだ、自分を守る為に、そして今は2人を守るために。」


「シロウ。」「シロ。」


「今は休んでろ、あとは、俺がやる。」


「ぉぅ。」「うん。」


(残りは12か。右はもうすぐ終わるな。)



2人を馬車に戻して、俺は隠形を使い中央で戦っている盗賊の後ろに回り込み、背後から強襲をかけた。



「ぐあぁ・・・。」


「んな!?後ろだと、いつの間に!?」


「あと11だ!」


「おうさ!殲滅しろ!」



俺の言葉にクスルカが応えて盗賊の殲滅が始まった。



「くそ!聞いてねぇぞ、こんなの!がぁあ!」



盗賊の頭目らしき男がクスルカに斬られる直前にそう言った。


クスルカの方を見ると、盗賊の発言に思う所があるのだろう、何事か考えている。



(・・・聞いてない、か。クスルカも何か考えてる?まあ良い、今はそれより。)



盗賊の事情は騎士達に任せて、周辺警戒をしながらヴァルマ達のいる馬車に戻る。



(っ!?・・・まただ。・・・見張りか?)



相変わらず、感知にはかからないが視線を感じた。



(・・・誰かに狙われている、って事か?)


「ヴァルマ、スヴィ。」


「シロウ。」「シロ。」



まだ、2人は震えている、初めて人を殺したんだ仕方が無い、きつく抱きしめてから、頬に優しくキスをする。



「大丈夫だ。2人には俺が付いてる。」


「シロウ。」「シロ。」


「少し待っててくれ、片付けたら一緒に寝よう。」


「ぉぅ。」「ん。」






それから、騎士達と一緒に盗賊の亡骸を片づけて見張りを交代すると、2人を抱きしめながら眠りについた。

















(・・・2人に辛い思いをさせてしまった、ごめんな。)


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