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世界でただ一人の種族はチートだった  作者: どんぺった
第2章 ダンジョン都市ヘリスト
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第23話 王都へ

「それでは、シロウさん。行きましょう。」


「あ、あぁ、そうだな。」


(女性と買い物・・・、どうにも長くなりそうな予感がする。)



とは言え、行かない分けにもいかないので、大人しく付いて行く事にした。



「エンロン、馬車は?」


「表に用意させます、少々お待ちください。」



エンロンはそう言うと足早に部屋を出た。



「ヴァルマさんとスヴィさんも行きますよ。」


「おぅ?オレ達も一緒で良いのか?」


「ええ、勿論ですよ。」


「おう。」「うん。」


「それで、一応確認しておきたいのだが、キスティさんは冒険者が着る様な装備を何処で扱っているか知っているのか?」


「ふふ、お任せください。昨日はレッドべア対策で鎧を着ていましたが、普段は冒険者の方とそれほど変わらない装備なんですよ。」


「そうなのか、確かにあの鎧は重そうだったからな。」


「ええ、ですので、お任せください。」


「分かった、頼むよ。」


「はい。」


「お嬢様、馬車の用意ができました。」


「そうですか、ではシロウさん行きましょう。」


「ああ、分かった。」「おう。」「うん。」




馬車で領主邸を出て、暫くすると貴族街を抜けた。




「これから向かうお店は南西地区にあって、あまり冒険者の方は来ないのです。ですがとても良い品を取り扱っていますので期待していてくださいね。」


「そうなのか。普段は東側ばかりだったから、知らなかったよ。」


「ふふ、そうですね。ダンジョンの方にあるお店は、冒険者の方がよく利用されていると聞いています。」


「そうだな、スヴィの装備も冒険者通りから中に入った所で買ったんだ。」


(マダム・ライラの紹介で・・・。ブルッ!?寒気?)


「どうなさいました?」


「あ、あぁ、・・・何でもない。」


(大丈夫だ。今回は会わないはずだ。・・・、会わないよな?)


「そうですか。」


「お嬢様、到着致しました。」


「ええ、分かりました。それでは行きましょう。」


「ああ。」「おう。」「うん。」



キスティに連れて来られた店は、3階建ての服屋だ。



(・・・ここは服屋だよな?)


「いらっしゃいませ、キスティお嬢様。本日は如何なさいましたか?」


「ええ、彼の装備を探しに来ましたの、見せて貰っても宜しくて?」


「はい、それでは、こちらへどうぞ。」



案内されて行った場所には、軍服が並べてあった。



「・・・、これって軍服だよな?冒険者向けでは無いと思うんだが?」


「ふふ、お任せください。シロウさんを立派な護衛姿に変えて差し上げます。」


「えぇぇ、護衛って、俺は冒険者なのだが?」


「シロウ、かっこ良くしてやる!任せろ!」


「うん、任せて。」


「あ、あぁ、お願いします。」



女性3人にそう言われてしまうと、断るわけには行かない。



(・・・せめて、派手なのだけは止めて欲しい。)


「なあ、この黒いのかっこ良くないか?」


「ええ、ですが、こちらの白のも良くないですか?」


「これ、良い、青!」



皆が選んでいるのは”何処の将校だ”と問われそうな飾り紐などが付いた派手な服ばかりだ、正直見た目が平凡な俺には似合わない。



(服選びが楽しいだけ、だろう。・・・だよな?)


「シロウさんはどれが宜しいですか?」


「いや、どれと言われても、それって完全に軍服だろ?そんなに派手なのは着れないぞ?」


「ふふ、大丈夫ですよ、これらを元に冒険者用に改修するのです。」


「ああ、なるほどね。・・・、なら黒系の方が良いかな?着慣れてるし。」


「黒系ですか、シロウさんは色の濃いのがお好みですか?」


「まあ、冒険者だからな、目立つ色合いの服は避けたい。」


「なるほど、そうですか。」


「良し!じゃあ、こっちはどうだ?シロウ。」


「そうだな、ヴァルマのも良いな。」


「ダメ?」


「うっ、スヴィ・・・。」


「スヴィ、それはずるいぞ!」


「むぅ~。」


「は、はは、まぁ、仲良く頼むよ。」




それから数時間かかって決まったのは。




「・・・。マジで?」


(確かに派手では無いが、この年で、この格好は・・・。)



パンツは濃紺色で膝の周辺が少々太く足首の部分が細くなっている。


上着も同色で、丈は短く胸部のみを覆う形でボタンが2つ付いている、袖は手甲を付ける為に肘までだ。


最後は、フード付きの黒いマントに決まった、そして、腰の部分から下が3つに別れていて、剣を腰に差した時に邪魔にならないようになっている。



(これって・・・ちょっと変わった学生服?確かに元は軍服だろうけど。)


「うふふ、良くお似合いですよ。」


(・・・何だか学生に戻った様な気がするのが、泣ける。)


「やっぱり黒の方が良くないか?」


「わたし、これ。」


「ええ、わたくしもこれが良いと思いますよ。」


「はは、まぁ、良いんじゃないか?」


(ここで、また更に悩まれても、・・・辛い。)



そして支払の時に。



「シロウさん。これはヘリスト家の面子の問題なのです、お客様にお支払いをさせる分けにはいきません。」


「いや、俺は客じゃ無いんだが?」


「同じ事です。わたくしが連れて来ていますので、お客様です。」


「・・・。」



一緒に来ていたメイドを見ると、”うんうん”と頷いている。



「はぁ、分かったよ。それじゃあ、ありがたく頂いておく。」


「はい、そうなさって下さい。」



結局、押し切られて支払を任せた、ちなみに、これらの服で金貨2枚だった。



(・・・、男にこんなに金をかけても仕方ないだろうに。)


「それでは、屋敷に戻りましょう、もうすぐ夕食の時間ですよ。」


「あ、あぁ、そうだな。」「おう。」「うん。」


(はぁ、この店に来た時は、まだ昼過ぎだったのにもう夕方か、長かったな。)




苦行の買い物を済ませて屋敷へ戻り、その後夕食を食べてから就寝した。




翌日は使用する馬車の点検から積み込む荷物の整理や同行者の再選定に、隊列の組み方や護衛のし方などを話し合ったりと忙しい1日だった。







「では、出立!」



護衛隊の隊長で騎士のクスルカが声をかけて王都へ向けて出立した。


今回は幌馬車が3台と箱馬車が1台に騎馬が3騎での移動になる。


先頭の1台目には護衛騎士が4人乗っていて、2台目の箱馬車にキスティとパウラにメイドが2人乗っている。


3台目は荷物専用の馬車で、4台目に俺達3人とダンジョンで意識不明だったメイドのキーアが乗っている。



「あぁ、キーアさんで良いんだよな?体調は大丈夫なのか?」


「ええ、大丈夫です。」


「・・・、そうか。」



会話が盛り上がらない、と言うより成り立たない。


彼女はダンジョンから帰るとすぐに治療を受けて、昨日の午後には意識が戻った。


キスティは今回の同行から外れる様に言ったらしいが、ダンジョンでの失敗で騎士が3人亡くなった事を聞いて責任を感じたらしく、どうしても同行したいとキスティに頼んだらしい。



「・・・・・・・・・・・・、あの。」


「ん?どうかしたか?」


「・・・、ダンジョンでは、・・・ありがとう御座いました。」


「ああ、まぁ、どういたしまして。」


「・・・・・・・・・・・・。」


(・・・、なんか面倒くさい人だな。)


「あああ!もう!辛気臭いな!言いたい事があるならはっきり言え!」


(おぉぅ、流石ヴァルマ、勇気あるな。)


「邪魔、帰れば?」


(スヴィさん!?)


「っ!・・・。申し訳・・・ありません。」


「そんなに、ショックだったのか?騎士が3人死んだのが。」


「ちょ、ヴァルマ!」


「シロウ、ちょっと、黙っててくれ。」


「・・・、はい。」


「なあ、キーアさん、あんたの仕事は何だ?」


「・・・それは、・・・ヘリスト家の皆様のお世話をする事です。」


「まあ、メイドだからな、そうなんだろ、じゃあ、騎士の仕事は?」


「それは、ヘリスト家の皆様を、!・・・。」


「そうだぞ、その死んだ騎士達は役目を果たしただけだ。あんたが責任を感じるのは仕方ねぇと思うけど、そいつらの死は役目に従った結果だ、それをあんたの責任にされたら、そいつらは哀れだぞ。」


「あっはっはっは、そうだ、キーア、その子の言う通りだ。」


「ヴィニーロさん。」



騎馬で俺たちの馬車の後方にいる護衛騎士のヴィニーロが声をかけて来た。



「そもそも、お前を守れなかった、あいつらが悪い。死んで良いって訳じゃないが、お前の重要性を理解していながら、隙を突かれるなど失態でしかない。」


「ですが、私が!」


「はぁ~。確かにお前は罠に関しては得意だろう。だがな、お前が戦えない事は全員が知ってたはずだ。つまりお前は守られる立場の人間だ。そんな奴に責任を感じられたら、騎士は無能だと言われてる事になる。」


「!?・・・。いえ、そう、ですね。あの方達は、私を守ってくれました。」


「そうだ、それでいい。嬢ちゃんも、ありがとうな。」


「おう!」


「はい、ありがとうございます。」


(はぁ、なんとか、収まって良かった。)


「シロウ、ごめん。勝手して。」


「ヴァルマ。俺こそごめん、いや、ありがとうだな。」


「へへへ。」



感謝の気持ちを込めてヴァルマの頭を撫でると、反対側から無言の圧力が来る、しかし、ここでスヴィも撫でるとヴァルマに悪い。



「・・・、スヴィもな。」


「へへへ。」


(・・・結局甘やかしてしまう。・・・情けない。)


「皆様、私の事でご迷惑をおかけして、申し訳ありあませんでした。」


「ああ、元気が出たならそれで良い。」


「おう、辛気臭かったからな!」


「うん。」















(女性の話しに割って入るのは、・・・俺には無理だな。)


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