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世界でただ一人の種族はチートだった  作者: どんぺった
第1章 不如意なる人生
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第5話 解体と調理?

間抜けではあったが、身体強化を使わずに勝利したと言う事は、油断しなければ同じ敵には負けない、身体強化を使えば更に楽に勝てると言う事だ。


今後の課題として戦闘時の身体強化を馴染ませる必要はあるが。



「さて、”これ”をどうすれば良いんだっけ?」



勝者の特権である獲物になるが、もちろん解体などした事は無い。


一応の知識としては血抜きと内臓を抜く事、その後洗浄と冷却してから皮剥ぎと解体だったと思う。


皮は鞣し(なめし)が必要だったはずだが詳しくは知らない。



「とりあえず、まずは血抜きだな。」



吊り下げる方が良いのだが、ロープが無いので近くの斜面に引きずって行き、頭部を下向きに落として首を切って血抜きを始めた。


その後血が抜けたら、今度は腹を割いて内臓を取り出した。



「うわぁ・・・。はぁ、まぁ吐く程じゃないけど。・・・意外と平気だな?」



次に割いた腹を水で洗ってから解体を始めた。


まずは手足を切り取り体を開く、そして肉と骨を切り分けていく。


最後に皮が残ったが”鞣し”はできない、町に行けば職人が処理してくれるのだろうが、今はどうにもならない。


今回は肉と一部の皮を確保する事にして、残りは他は穴を掘って埋める事にした。



「結構な量になったな。」


「味付けは塩しかないけど、”なんちゃって燻製”にしてみるしか無いか。まぁそれは明日だな、もう日が暮れる。」



異世界の定番である”アイテムボックス”のようなスキルがあれば楽なのだが、無いものは仕方がない。


冷凍保存は冷凍する方法も無ければ維持もできない。


結局のところ燻製にするぐらいしか無いのだが、それすらも味付け無しの必要最低限の事しかできない有様で、今までどれだけ恵まれた環境だったのか今更ながらに思い知る事になった。


それから夕食の用意と言っても材料が限られているので、沸騰した鍋に塩を入れて厚めにスライスした肉を茹でる。



「肉は鶏肉が近いかな?まずいとまでは言わないが、うん。泣けてくるね!塩と肉の味しかしない!これぞ味気ない。・・・はぁ、干し肉よりはマシか。」



(これは、早く町を目指さないと、気が付いたら原始人になってしまうかも。・・・おやすみ。)




▽▽▽




翌朝、昨日と同じく肉の塩煮を食べた後に燻製を作る事にした。


燻製にするにしても燻製窯から作らなければならないので、まずは石組みで窯を作ってその上に木の枝を蔓で縛り枠組みを作る。


塩を揉み込んでおいた肉を内部に吊るしてから、煙が逃げないように周りを適度な大きさにカットした恐竜の皮で囲う。


そして、乾燥した木を砕いて作った燻製用のチップを片手鍋に入れて火にかけて煙で燻す。


それを何度か繰り返して、4時間ぐらい費やして燻製を作った。



「とりあえずできたけど、味は・・・期待できないな。まぁ、多少でも保存が効けば良い方だろう。恐竜の皮はもうダメだな熱で固くなってる。」



完成した燻製を直火で炙って食べてみたが、ものの見事に塩と肉の味だった多少は薫りがついたぐらいだ。


柔らかいだけ干し肉よりましだが、食事としては本当の最低限でしかない。


口直しに昨日採取したリンゴの様な果物を食べてみたが、リンゴとは違った味で酸味は強かったが、こっちの方がまだマシだった。



昼食後、再度周辺の探索をしている時に気が付いたのだが”周辺感知”で植物を見ると、毒性のある植物を見分ける事ができた、これで最低限は食べられる果物を探せるので助かった。


しかし、食用かどうかを見分ける事はできず、味の向上にならないのは残念だ。



「さて、今日はここまでにして、明日から町に向かって移動しよう。確か南に行けば在るんだったよな?」



今日1日を使って食料をある程度確保できたので町に向かう事にしたのだが、町までの距離が分からない状態では拠点を作りながら時間を掛けて移動するべきか、それとも移動に全力を注ぐべきか判断しづらい。


心情的には早く町に行きたいのだが、時間が掛かる可能性の方が高い、何しろ周辺を探索した際に人の痕跡がまったく無かったのだ。


つまり、この場所は恒常的に人が足を踏み入れる場所では無いと言う事で、結局の所は行って見なければ分からない。


これまでの探索で周辺の地形は概ね把握でできたので、明日の朝から西側の山脈を目印に南下する事にした。




▽▽▽




「ふぁ~。・・・やっぱり朝は体が痛い。ベッドが恋しいよ。」



朝食の後、荷袋に荷物を詰め込んで洞窟を後にした。



「さてと。山脈を右手に進めば南だな。」



南に向かいながら周辺感知で大きい反応や群れの様な反応を見つけると迂回したりやり過ごしたりして、極力戦闘を避けて少しづつ南下して行く。


この森は中小の恐竜がいるが、ラノベで有名な”ゴブリン”を見かけない。


一番多いのは全長60cm小型の恐竜で、中型の恐竜は初めて戦ったのと同じぐらいの全長3mだった。


更に一度それ以上の巨大な恐竜がいた、中型の倍以上の大きさで周辺感知で見つけた瞬間に慌てて逃げた。


しかし、昔映画で見た恐竜はもっと大きかったはずだ、確か最も大きいのは20mとか30mで、10m以上の恐竜が普通にいたはずなのだが、まだ見ていない。


他にも狼や熊なども見かけたが、それが”魔物”なのか”動物”なのか判断はできなかった。


ここまで来ると異世界と言うより、地球のジュラ紀とか白亜紀だとかにタイムスリップしたかの様な感覚だった。



(もしも、恐竜が絶滅しなければ、地球でもこんな感じだったのだろうか?)



その後も途中で食べられそうな果物を採取しながら移動して出発してから10日、ようやく人のいた痕跡を見つけた。



「おぉ!焚火の跡だ!他にも足跡やテントを張った様な痕跡もある!」



野営地の痕跡を細かく確認した所、足跡は3人分あり数日間はここに滞在していた様だった。


ここにいた理由は不明だが何と言っても初めての”文明”の痕跡に涙が出るほど喜んだ。


そしてその日はそこで野営する事にしたのだった。




▽▽▽




「さて、上手くいけば、今日中に町に着けるかもしれない!・・・ああ、忘れてた!」



町が近づいた事で浮かれていた時に、食事やベッドを想い”文明”で思い出した事は、”お金がない”だった。



「あぁ、どうしよう・・・。」



町に入るのにもお金が必要かもしれないし、それが必要無くても宿代どころか食事代も無い。



よくあるラノベ的な展開であれば、”襲われている人を助ける”とか”盗賊を”とか”狩った獲物で”とか色々あるが、現状で可能なのは”狩った獲物”しかないのだが何を狩れば良いのか分からない。


アイテムボックスがあったなら、手あたり次第でも良いのだが、持ち運べる量に限界がある以上は無茶はできない。



「今更どうしようもない!行ってから考えよう!」


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