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世界でただ一人の種族はチートだった  作者: どんぺった
第2章 ダンジョン都市ヘリスト
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第11話 ヘリスト帰還

スヴィと出会ってから1ヵ月、洞窟を拠点にして特訓をした。



獣人族だけあって身体能力は高いのだが、戦う為の訓練をしていたわけではないので、身体の動かし方が我流で無駄も多い。



「跳ねて移動する時は、足が付く高さまでにするんだ。いつでも方向転換できるようにな。」



身長の低いスヴィが跳ねると、相手の正面に出てしまうので却って無防備になる、それならば上下の動きを抑えて、腰を落とし低い態勢から前後左右の動きで攪乱しながら戦う方が良い。


攻撃は上から下へ向ける方が力を乗せて攻撃ができるので望ましいが、スヴィの身長では上からの攻撃は難しい、ならば前後左右の動きに回転を混ぜて力を乗せる。


獣人族のスヴィならば、回転の力を少し加えるだけでも、それが武器になる。



「うん、良いぞ。そうだ相手の肩に向かって突くんだ、その方が受けづらい。」



歩き方から走り方に戦闘時の動き方など、獣人族であるスヴィは身体を動かす事が得意ですぐに覚える事ができた。


そのため、少し早いが木で作った槍?(木の棒)で動きの訓練もした。





そんな感じで1ヵ月間スヴィの訓練をした。





「2人とも、よく頑張ったな。」



そう言って2人を撫でるのだが、ヴァルマは少しばかり落ち込んでいる。



「ヴァルマ、そう簡単にスキルが付いたり、上がったりはしないんだから。落ち込む必要はないんだ。俺だって変わってないんだから。」


「うぅ、でも。スヴィは付いたぞ。」


「ヴァルマの時も体術はすぐ付いたじゃないか、それと一緒だ。それにスキルが全てじゃないんだ、ヴァルマの技術もちゃんと上がって確実に強くなってる。」


「・・・おう。そうだな、分かった!でも、もっと頑張る!」


「そうか、でも、程々にしとけよ。無理をして怪我をしないようにな。スヴィもだぞ。」


「おう。」「うん。」


「それじゃあ、明日ヘリストに帰るから。今日はもう寝よう。」


「おう。おやすみ。」「おやすみ。」


「ああ、ヴァルマ、スヴィ、おやすみ。」



(ヘリストに帰ったら、まずはスヴィと契約をして、それから装備を探しに行かないとな。)






▽▽▽






それからスヴィが暮らしていた洞窟を出て、2日かけてヘリストに戻った。



「スヴィ、人がいっぱいだけど大丈夫か?」


「うん。」


「大丈夫だ、オレがついてるぞ。」



ヴァルマはスヴィが不安にならないように手をつないでいる。



「それじゃあ、行こうか。」






「よし、次!」



門衛に呼ばれたので、ギルドカードとヴァルマの奴隷証を出してから、スヴィの事を話した。



「・・・野良奴隷ねぇ、しかも獣人族か。まぁ、それはともかく全員の審査は受けてもらうぞ。主人を殺して奪った・・・って訳じゃないだろうが。一応な。」


「ああ、これも必要なことだってのは分かってるさ。」


「よし、問題はないな。通って良いぞ」


「ああ、そうだ奴隷商ってどこにあるか知ってるか?」


「ん?奴隷商ならこの門を入って左の外壁沿いに行けばあるぞ。」


「そうか、ありがとな。」




それから、門衛に聞いた奴隷商に向かった。




「いらっしゃいませ。本日はどの様なご用件でしょうか。」


「ああ、この子との再契約を頼みたいんだ。」


「・・・野良奴隷ですか。しかも獣人。」



奴隷商がスヴィの奴隷紋を検査して、効果がなくなっていることを確かめた。



「・・・借金奴隷で30年とは。」


「ん?何かおかしいのか?」


「えぇ、通常の借金奴隷は大体10年から15年ぐらいなのですよ。それが30年ともなると・・・。」



この奴隷商が言うには、人族は寿命が100年も無いので、この30年とは人生の1/3に当たる。


獣人族は種にもよるが人族よりも寿命が短く70年から80年と言われている、そのためスヴィが30年後に解放されたとしても、その頃にはもう46才で子供を産むこともできない、つまり解放後の人生は無いも同然だ。


だから普通は10年で長くとも15年までになる、ただ欠損や障害などがあって労働力として不足する場合には期間が長くなることもある。



(スヴィは火傷があったから期間が長いのか。・・・俺が火傷を治したから、この奴隷商は不信に思っているんだろう。)


「この様な場合は契約した奴隷商に確認した方が良いのですが、本人が死亡している以上確認はできませんし。もしお嬢さんが訴えるならば、町の衛兵に訴えることもできます。ただ、その場合は調査が終わるまでは衛兵の預かりになりますので、お嬢さんがいつ戻って来られるかは分かりませんが。」


「・・・なるほど、スヴィはどうしたい?」


「シロ、一緒。」


「俺と契約するってことで良いんだな?」


「うん。家族。」


「そうだな、家族だもんな。」



そう言ってスヴィの頭を撫でると嬉しそうに笑う。



「はは、ヴァルマも家族だ、そんな顔するな。」


「はっ?そ、そんなって何だよ!?何でもねえよ!」


(まったく、言ってる事が無茶苦茶だな。)


「ヴァル、家族。」


「ほら、スヴィも家族だって言ってるぞ。」


「わ、分かってるよ。オレだって家族だって思ってるよ!」


「ははは。」「ふふ。」




「・・・随分と慕われてますね。」




「・・・あ~、すまん。それじゃあ、契約を頼むよ。」


「はい、畏まりました。」






これでスヴィとの再契約ができた。






「それじゃあ、次はスヴィの装備だな。冒険者通りの方で探すか。」


「ライラさんの店があれば良かったんだけどな。」


「!?・・・それは、その。まぁ、ここはラヴィネンじないからな。ははは。」


(いや、良い人だよ?・・・分かってるけどね。)


「ライラ?」


「おう。良い人でさ。オレのこの装備もライラさんが作ったんだぞ!」


「・・・。」


「うっ。しかしなぁ、ここにライラさんのお店は無いし、ラヴィネンに戻るわけには・・・。」


「ぼ・う・や。」


「ぎゃぁぁあぁぁぁあぁぁぁぁ。」




噂をすれば影がさす、またしても背後からの吐息(ブレス)攻撃を食らった。




「ラ、ライラ、さん!?な、なんで此処に?」


「あら~。私だっていつもお店にいるわけじゃないのよ~。此処には~、素材を仕入れに来たのよ~。うふふ。」


「そ、そうでありますか。サー・イエッサー!」


「んもう!そんなに固くならないで~。・・・あら?あらあら、ヴァルマちゃん。」



マダム・ライラはヴァルマを見てから、抱きしめて頭を撫でている。



「良かったわね。」


「おぅ。ライラさんもありがとう。」



それから暫くヴァルマを撫でていたが、突然こちらを見て言った。



「大丈夫よ、訳は聞かないわ。」


「は!ありがとう御座います!」


(おおぅ、ばれてる?これは、きっとばれてる!)


「それで~、シロウちゃん、その娘は新しい娘?」


「は!そうであります。本日契約したであります!」


「あらあら、シロウちゃんも好きね~。男の子だもんね~。」


「はぇ!?ち、違いますよ。か、家族です。家族!」


「・・・。」「・・・。」「・・・。」


「へっ!?なんで、みんなでそんな顔するの!?あれ?俺、変なことを言った?」


「まぁ、良いわ~。それでシロウちゃんたちは此処で何をしてたの~?」


「あ、あぁ、それは・・・。」



それから、マダム・ライラにスヴィの事を話して、これから装備を探しに行くところだったことを話した。



「そうなのね~。それなら~、良いお店を知ってるわよ~。おねぇさんが~紹介して、あ・げ・る。」


(おぉう、やっぱりこの人のウィンクはこえぇよ。寒気がする。)


「ライラさん、良いのか?」


「いいのよ~、ヴァルマちゃん。それにスヴィちゃんも可愛くしないとね~。」


「ありがと。」


「良い娘ねぇ~。シロウちゃん、大事にしてあげなさいよ。」


「ああ、大丈夫。大事な俺の家族だからな。」


「うふふ、それじゃあ、行きましょう。」


「ああ、分かった。」「おう。」「うん。」


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