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世界でただ一人の種族はチートだった  作者: どんぺった
第1章 不如意なる人生
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第4話 リベンジマッチ

森の中に戻って来て、空を見ると太陽は頭上にあり時刻は昼頃だった。



(さてと、まずは周辺感知で何がいるか確認しようか。・・・うおっ!?なんだこれ!情報量が多くて判別しきれない!)



世界が光に包まれた様に感知反応に埋め尽くされている。


まずは感知範囲を絞る範囲を半径100m位に縮小した、小さい反応は植物や昆虫だ、これは危険性が無い部分は対象外にする。



(あぁ、これ位なら大丈夫そうだ。)



周辺感知は特殊スキルだけあって、かなりの融通が効く。


効果範囲は最大半径500m位まで、また指向性を持たせると最大700m位まで伸ばせる。


感知対象も”魔力・気配”が判別できる上に、条件を付けて”感知対象外”も設定できる。


最終的に範囲は半径200mで感知対象は30cm以上の動物に限定した。



(範囲内には大きな反応は無いな。あとは安全そうな場所を探して、そこを一時拠点にしてから能力の確認と今後の行動を考えていこう。)


それから周辺感知を使って歩き続けると、崖に洞窟が在るのを見つけた。


奥行きは30m位しかなく何も無かったが一時的ならここでも大丈夫だろう、その後洞窟周辺の安全も確認してから洞窟の中に入った。



「まずは荷物の確認から始めよう。」



荷袋の中に入ってたのは、保存食の黒パンに干し肉が大体3日分と拳大の岩塩が1つ、それぞれが個別の袋に入っていた。


他には水の入った水袋が2個とタオルが2枚、替え用の半袖のTシャツに下着だ。


あとは小さな片手鍋とフォークに着火用と思われる魔道具らしきものだった。



「とりあえず、これで火と水と食料は一応大丈夫か。今後は自力で確保する必要があるけどな。」



次に確認するのは身体能力の確認だ、ステータスシステムと種族が変わった事による影響と、身体強化スキルを把握しなければまともに戦えないからだ。


まず基本となる身体強化を使っていない状態でどの程度動けるか確認したところ、身体能力は以前の倍くらいで、洞窟の入口と奥を往復で4秒程度だった。


その後垂直飛びや反復横跳びなど速度も精度も飛躍的に向上しており、心肺能力も向上したらしくそれほど息切れもしなかった。


次に剣を振って今の状態の確認を始めた、上段の構えから袈裟切り次に切り上げ今度は逆袈裟から回転切り、始めはぎこちなかったが少しづつ体の動きと力の流れを意識して、足から腰にそして腕から剣に力を流していく。



何度も繰り返し練習し体に馴染ませていく。



その後少し休憩してから今度は同じ事を身体強化状態でも同様に試した。



「ふぅ~。どうにか感覚は掴めたな。今の身体能力は以前の倍で身体強化を使えば、そこから1.2倍位かな?そこまで強力ではないか。まぁ、身体強化はまだ”初”だからこんなものかな。」



終わった時には日が暮れて夜になろうとしていた。


流石に疲れたので食事にしたのだが、黒パンは硬くて水でふやかさなければ食べられず、干し肉は硬い上に塩辛かったがなんとか食べられた。


その後疲れが出たのかそのまま寝てしまった。




▽▽▽




「くぁ~。・・・体が痛い。」


地面に直接寝ていたので体が痛くなってしまった。


体を解しながら今日する事を考える。



「そうだな~。食料と水の確保は必須だし、できれば一度だけでも実践の戦闘をする必要もあるか。」



それから周辺の探索をしながら水を探した。


森の中なのでいくつか食べられそうな果実があり小さな川も発見した。


川には魚などの水棲の生物も生息しているし小動物も水を飲んでいたので毒は無さそうだ。


但し生水は危険なので後で鍋に汲んで最低限の煮沸はしておく事にした。


魚を捕まえるのは苦労したが、最終的に右手を使った”金魚掬い方式”でなんとか捕れた。



「これで、水と食料はなんとかなった。」



洞窟に戻り、拾った薪に火を点けて水の煮沸と、さっき捕った魚を捌いて木の串に刺して焼いて食べる。


食事が終わった頃には煮沸した水が冷めていたので水袋に入れた。


そして荷物の片づけをしている時”周辺感知”に反応があった、大きい反応が近づいて来ているのだ。



(っ!何かくる?、速度はゆっくりだが確実にこっちに向かってる。数は1体だけか?)



片づけを中断しマントを外して剣を持ち戦闘体制をとりながら洞窟から出た。


警戒しているのか移動と停止を繰り返しながら徐々に近づいて来るのが分かった。


そしてそれが見えた時、恐怖がよみがえり体が動かなくなった。



(んなっ!あの時の!)



恐怖で体が竦み動けない、まだこっちに気づいて無い様だがもう50mもない距離だ、”バキバキ”と木の枝を折りながらこちらに近づいてくる。


そして更に近づいてきた来た時にこっちを見た、一瞬止まった後、「グルッ!」喉を鳴らしたが、こちらが動かない事を怪しんだのか、ゆっくりと近づいてくる。



(ひっ!?・・・怖い!怖い!)



最早泣きそうである、しかし恐怖で体は動かず見ているだけだ、逃げたいが逃げられず戦うどころではなかった。


その時その恐竜は左を向いた、「は?」と、つられて自分も左を見てしまった、その瞬間に右側から強烈な尻尾での攻撃を食らって吹き飛ばされた。



「ぐがぁ!?」



不意打ちに吹き飛ばされて木にぶつかった。


全身が痛かったが骨が折れたりはしていないようだ、しかも痛みで恐怖が飛んだのか体が動く、こうなれば逃げるか戦うかだ、幸い剣も手放していない。



(はぁ、はぁ、はぁ、落ち着け!大丈夫だ!できる!)



立ち上がり呼吸を整え自分に言い聞かせる”大丈夫”だと。


むしろ幸運だ、初撃が前回の様に”噛みつき”だったらそこで終わっていたかもしれない。


どんな能力が有っても使えなければ勝てない。



(死んでたまるか!)



呼吸を整え精神を集中する。


恐竜が走り出し突っ込んでくる・・・体当たりだ、今度はしっかり見て寸前で右に転がりながら避けて直ぐに立ち上がる。


するとまた尻尾を振ってきたが今度は見えた、しゃがんで避けてバックステップて距離を開けた。


仕切り直しだ。



(・・・ふぅ。何とか反応できてるな。)



それからしばらくは防御と回避に専念して動きに体を慣らしていた。


攻撃のパターンはそれほど多くない、体当たりに噛みつきと回転しての尻尾攻撃ぐらいで前腕はそれ程攻撃に使わないらしい、慣れれば尻尾の攻撃以外はそれほど早くは感じなかった。



(・・・ふぅ!大丈夫だ、防御も回避も問題無い。後は攻撃だけだ。)



攻撃を続けて疲れが出たのだろう動きが単調になってきた。


頭を左右にゆらりゆらりと揺らしながらゆっくりとこちらに近づいてくる。


あと少しのところでまた回転して尻尾で攻撃してきたが今度はその尻尾に剣を振り下ろしそのまま切断した。



「グルォォォ!?」



尻尾を切断された恐竜は叫びを上げながらこちらに顔を向けた、その瞬間態勢を低く保ち近づくと恐竜の下顎から頭部に向けて剣を差し込む。


それでもまだ生きているのか前腕をこちらに伸ばして来たので、剣を引き抜きその場から離れた。



「グルゥ・・・。」



そして「ドサッ」っと前のめりに倒れた、しばらくして呼吸が止まり死んだようだが、それでもまだ近づかず周辺感知で確認してようやく息を吐いて力を抜いたのだった。



「はぁ、はぁ、やった~。」



前回の恐怖を乗り越えての勝利だった、しかしこの後気付いたのは・・・。



「ん?あぁ!”身体強化”使ってないじゃん!」



間抜けな勝利だった。


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― 新着の感想 ―
毒虫(蜂ほか)を気にしないのはいけませんね……。 せめて魔力量とか……。 定期的に変えるとか……。
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