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世界でただ一人の種族はチートだった  作者: どんぺった
第2章 ダンジョン都市ヘリスト
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第8話 盗賊討伐

今日も目的地に向けて馬車で移動しているが、受験者達はあまり喋らない。


始めは意気揚々と武勇伝を語っていたジョルダーノも話す事が無くなったのか、それとも緊張しているのか、目的地が近づくにつれて喋らなくなった。


そんな感じだったが、夕方にはBランクパーティとの合流地点に到着した。



「今回は何人だ?」



そう声をかけて来たのは、盗賊の監視をしているBランクパーティ”静寂の守り”の探索士でエーオッシだ、他のメンバーは今も監視を続けているので、彼が伝令役らしい。



「おう、ごくろうさん。今回は5人だ。何か変わった事はあったか?」


「いや、まだ動きは無い。」


「捕まっている人はいたか?」


「確認した限りはいないが、もし捕虜がいれば試験になどにせず俺たちが即殲滅していたさ。」


「ふっ、まぁ、そうだな。それがお前達だからな。」


「そう言う事だ。それでどうする?もう決まってるのか?」


「いや、まだだ。これから受験者に決めさせる。」



ドゥアーノとエーオッシの話しが終わると、今度は受験者5人で作戦会議が始まった。




「まずは襲撃する時間と手順を決めよう。」



普段はあまり喋らないサロエレがそう声をかけて来たが、ジョルダーノは”正面から行けば良いだろ?”と正面から突撃する事を提案して来た。


盗賊は個人ではそれ程強い分けではでは無いが、わざわざ正面から突撃して危険を侵す必要は無い。


結論として襲撃するのは、朝日が昇る直前になった。


戦闘は弓士のティニヤと探索士のサロエレが遠距離から見張りを始末してから、ジョルダーノを先頭にアマデオと俺が脇を固めて突入する。


その後はサロエレが洞窟内を探索しながら先導し、敵を発見次第始末して行く作戦となった。






▽▽▽






翌日の日が昇る前には、盗賊達が拠点としている洞窟に辿り着いた。



「さて、聞いた通りに見張りは2人だな。ここはティニヤの弓と俺がナイフを投げて始末する。その後は前衛の3人を先頭に隊列を組んで侵入する、あとは俺が洞窟内の探索だ。良いな?」



サロエレが小声で言うと全員が頷いた。





日が昇り始めてわずかに明るくなりだすと掃討が始まる。


サロエレが合図と共にナイフを投げると、ナイフと矢が見張りの額に突き刺る。



「良し、行くぞ。」



それからジョルダーノを先頭に洞窟の入口を確保して中に入って行く。


中に入ると酒の匂いが充満していて、昨夜も酒盛りをしていた様だった。



「こっちだ。」



洞窟は幾つか分かれ道があったが、その先はサロエレが先行して確認し、倉庫として使われている事が分かった。


その後もサロエレの先導で先を進むと広場があり、そこに残りの盗賊達がいる。


半分以上はまだ寝ているが、数人が起きて片付けをしている。


ここでも遠距離での攻撃から始まった。


ティニヤが弓を射て起きている盗賊を始末する、それと同時にジョルダーノを先頭にして突撃する。



「!?敵だ!起きろ!」



盗賊が声を上げて襲撃を知らせると飛び起きた。



「ジョルダーノ!?」



ジョルダーノが真っ先に単独で盗賊に突っ込み、盾で殴ってから短剣で盗賊を斬ったのだが、手が震えて息が荒くなっている。



「アマデオ!」



そう声をかけるとアマデオも気が付いたのか、ジョルダーノに向かって行った盗賊に剣を突き刺して殺した。


それから少しばかり経ってから、ジョルダーノも復活したのか戦闘を再開した。



(ジョルダーノの奴、興奮してるのか?笑ってる?)



その後も盗賊を倒して行くが、頭目らしき男が洞窟の壁伝いに隠れながら出口に向かっているのを見つけた。



「1人で何処へ行くんだ?」



そう声をかけるとこっちを見た。



「てめぇ、何故気付いた!」



盗賊の男は隠蔽系の汎用スキルを使っていたのだろうが、周辺感知は上位の特殊スキルで、隠蔽を使っている相手でも気配か魔力のどちらかがあれば見つける事ができる。



「教える必要は無いだろ?」


「くっ、死ね!」



盗賊の男がナイフを投げてから短剣を振るって来た。


ナイフを躱して短剣を弾き、態勢が崩れたところで逆袈裟で斬り上げた。



「ふぅ、あとは・・・数人か。」



受験者達が戦っていて残りは数人だ、それも、もう終りだ。




そうして盗賊の掃討は終わった。




洞窟の入口に戻ると、盗賊を監視していたBランクパーティ”静寂の守り”が集合していた。


彼らは受験者が内部に突入すると、洞窟の入口を確保していたのだ。


本来は突入するメンバーから監視役を出すのだが、今回は試験なので監視役をBランクパーティが受け持ち、受験者は全員で突入する様に言われていたからだ。



「終わった様だな。何か問題はあったか?」


「・・・まぁ、問題は無いだろ。」



エーオッシの言葉にドゥアーノがそう答える。




「・・・なぁ、静寂の守りって、ここにいるので全員か?」



ここにいるのは試験官が2人と受験者が5人に静寂の守りが6人で、あとはヴァルマだけだ。



「ん?そうだが、それがどうかしたか?」



エーオッシはそう答えるが、離れた場所に1人いる。



(監視?こっちを見ている様だが、近づいては来ないし、反応はかなり薄い。)


「いや、なんでも無い。」



盗賊の残りかギルドの監視なのか分からないので、一先ず様子を見る事にした。





その後、盗賊が貯めこんだ品は静寂の守りが全て回収する、これは元々の取り決めで、静寂の守りは盗賊に手を出さずギルドの試験にする、その代わりに戦利品については全てを受け取る権利がある。


静寂の守りが通常通りに盗賊を討伐すれば、問題なく手に入る戦利品だからだ。



「せっかく、盗賊を討伐したってのに戦利品は無しかよ!」



ジョルダーノはそう言うが、そうでもしなければCランクの試験は行えないだろう、試験にするより自分達で討伐した方が儲かるのだから。



「まあ、そう言うなら、次は自分で見つけるんだな。」



ドゥアーノの言葉に苛立ちながらもジョルダーノはその場をあとにした。


それから盗賊の亡骸を始末して馬車のところに戻る頃には日が傾いていた。



「良し、これであとは帰るだけだ。合否の結果はギルドに戻ってから個別に伝える。何か聞きたい事はあるか?」



特に聞きたい事は無かったのでそこで終わった。






その日の夕食後にジョルダーノがやって来た。



「おい、今晩その奴隷を貸せ、溜まってんだよ。」




何をこいつは?と思ったが、言われた事が理解できると一瞬で怒りで染まった。




「ぐがぁ、は、離せ、やめ・・・。」



言葉なんぞ要らない、こんな奴に大切な家族を、ヴァルマを。



「シロウ!ダメ!」



ヴァルマに声をかけられると、”はっ”として、ジョルダーノの首を掴んでいた右手を離した。



「て、てめぇ、ひっ!?」



解放された事でジョルダーノが向かって来ようとしたので、剣先を付きつけて威圧を放つ。



「次、この子に近づいたら敵と見なし、殺す!」



堪らず後ずさるジョルダーノから剣を外すとそのまま去って行った。



「シロウ、やり過ぎだぞ。」


「・・・すまん。」


「ま、まぁ良いぞ。オレは、大丈夫だからな。」


(はぁぁぁ、怒りで我を忘れるなんて。・・・あの時以来だ。)


「・・・それじゃあ、寝るか。」


「おう。」





その後は何事も無く休んで翌朝には帰路に就き、そしてヘリストの町に帰還した。





「これで試験は終了だ、あとはギルド内の個室で結果を言い渡す。順番は、そうだなぁ、野営の順番で個室に来てくれ。」



それからギルドの談話用の個室で1人ずつ結果が言い渡されていく。


先に入って行った2人は嬉しそうにしていたので、多分受かったのだろう。



「入るぞ。」


「おう、来たな。まぁそこに座れ。」



言われた通りに俺は座ったがヴァルマは後ろで立っている、これはヴァルマが決めた事で、誰かと会う時は従者らしくしたいと言っていたからだ。


自分が奴隷だからと言うのもあるのだろう。



「さて、結果を言い渡す前に聞いておきたい事がある。」


「何をだ?答えられる事なら答えるが?」


「何故あの時ジョルダーノの首を絞めた?」


「何故・・・だと?それはあいつの言う通りにすれば良かった、と言う事か?」


「!?ま、待て、そう言う事じゃ無い。」



あの日の事を思い出してまた怒りに飲まれそうになるが、今度はその前にヴァルマが肩に手を乗せて鎮めてくれた。



「ふぅ~。ヴァルマ、もう大丈夫だ、すまんな。」



それから、その時の経緯をドゥアーノに話した。



「なるほどな、そんな事があったのか。悪かったな嫌な事を思い出させて。」


「いや、もう良い、ただ、・・・あいつが襲って来るなら殺すが。」


「ま、まぁそうならない様に願うさ。そ、それで試験の結果だが、これについては文句なしの合格だ。あとはこの合格証を受付に持って行けば、カードがCランクに書き変わる。」


「そうか、分かった。あと何かあるか?」


「いや無い。これでシロウもCランクだ。頑張れよ。」


「ああ、頑張るさ。じゃぁもう行くぞ。」


「おう、じゃあな。」






こうして俺はCランクになった。


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