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世界でただ一人の種族はチートだった  作者: どんぺった
第2章 ダンジョン都市ヘリスト
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第6話 草原階層

今日はダンジョンの11階層から探索を開始だ。



「・・・草原か、1階層とは違って草の背が高いな。」


「でも、腰までは無いぞ。」


「そうだが、これは動きづらいな。!?来る、ヴァルマ右前方、早いぞ!」


「おう!」



入って早々に何かが向かって来る。



「躱せ!」



直進して来たので横にずれて躱したのだが、向かって来た魔物はそのまま走り去ってしまった。



「・・・なんだ?さっきのはリザード種だったが、フォレストリザードより大きかったしウルフよりも速いぞ。」


「戻って来るか?」


「いや、もう範囲外だ。しかしあれは要注意だな、戦闘中に感知外から来たら反応が遅れそうだ。」


「おう、分かった、気を付ける。」





それから11階層を探索するが、草むらの中にハイゴブリンやハイコボルトが隠れている事が多い。


草の高さがちょうど彼らの肩ぐらいなので隠れやすいのだ。





その後のハイコボルト5体との戦闘中、先ほどのリザード種が突撃して来た。



「来た!左後方!」


「おう!・・・しっ!」



突撃して来たリザード種が直前でヴァルマに飛びかかって来たが、待ち受けていたヴァルマのナイフで首を斬り落とされた。


その後に残ったハイコボルトも倒して戦闘は終了した。



「ふぅ、終わったか。ヴァルマは大丈夫だったか?」


「う~ん、あれって速いだけ?」


「そうみたいだな、ただやっぱり戦闘中は面倒だ。さて魔石を回収しよう。」


「おう。」



リザード種の魔石を回収したらハイゴブリンよりも大きい。



「やっぱりあいつがスプリントリザードって奴なんだろうな。」


「スプリント?」


「あぁ、速く走るって意味だな。」


「おお、確かに速かった。」




11階層は主にハイゴブリンとハイコボルトで、あとはグレーウルフがシルバーウルフを数頭引き連れて来るぐらいだ。


ただ戦闘中に何度かスプリントリザードが突撃してきた。




「ヴァルマ、12階層への階段が見えたぞ。」


「次は何が出るんだ?」


「これまでを考えると、そんなに変わらないはずだ。」


「そうか、残念だ。」


「まぁ、その次の13階層には何か出てくると思う。2階層毎で変化があるみたいだからな。」


「おう、じゃあ早く13階層に行こう。」


「そうだな。行こう。」





12階層は予想通り11階層とそれ程変わらず、時々蛇が出てくる程度の違いしか無かった。





そして13階層に着くと、それまでと違い中型のリザード種でスネークリザードとタートルリザードがいた。


スネークリザードは頭から尾の先までが長く3mはある、体高自体は1.5m程で見た目は蛇に胴体が付いた様な見た目だ。


タートルリザードは四足歩行のリザードで、頭から背中にかけて硬い装甲で覆われていて重量は200kgにも及ぶ。


ヴァーラでは馬の代わりに荷車を引いている大人しい種だが、魔物化している為その硬い装甲と重量はそのまま防御と攻撃を兼ね備えている。



「これは、また。・・・デカいのがいるなぁ。」


「あれ、ナイフ通るかな?」


「頭と背中は厳しいかもな、狙うなら下顎から首にかけてだろうな。」




まずはヴァルマのナイフが通用するか確認するために、タートルリザードに向かって行った。



「っ!?・・・ダメだ、背中は刃が通らないぞ。」



ヴァルマは何度か背中の甲羅の様になっている装甲を攻撃してみたが、やはり刃は通らない。


それから何処なら刃が通るか確認した所、手足は傷を付けられる程度で、頭部も刃は通らなかった。



「はぁ~、ふっ・・・。」



ヴァルマは息を整えてから正面から突撃して行く、そしてタートルリザードの頭突きを直前で右に躱すと、ヴァルマを見失ったタートルリザードが頭を上げた瞬間に首の下側にナイフを振るった。



「!?」


「ヴァルマ!下がれ!」



ナイフはタートルリザードの首に刺さったが、抜け無くなってしまった。



「ふっ、せい!」



そこでヴァルマを下がらせ、重撃を発動すると剣を上段から振り下ろしてタートルリザードの首を斬り落とした。





「ヴァルマ、大丈夫か?」


「大丈夫だけど、ナイフが抜けなかった。」


「う~ん。この手のタイプはナイフでの切上げじゃ厳しいかもな。」



タートルリザードの首は柔らかそうに見えても皮膚は意外と硬く、力を乗せづらいナイフでの切上げでは刃が半分程度しか入らなかった。


そして頭部の自重で切り口が潰れて、ナイフが挟まり抜けなくなってしまった。


しかしヴァルマが使っているナイフは斬る事には向いているが、湾曲した形状のため、深く突き刺す攻撃にはあまり向いていない。


そうなると傷を増やして失血死を狙うしかない。


短剣に持ち替えるのが早いのだが、残念ながらそこまでの資金が無い。



(はぁ・・・。結局はお金がネックになるんだよな。)


「まぁ、今は仕方が無い、短剣に持ち替えるまでは我慢してくれ。それより今回はタートルリザードの装甲が出たな。これは防具として使えるから売れるんだ、これも回収する。」


「おう、分かった。」




それからタートルリザードの装甲と魔石も回収するのだが。




「シロウ・・・これ、どうすんだ?」


「・・・今日は戻るか。仙境に入れておけば楽だが、そうなると仙境を知られる可能性が出てくるからな。」


「そうだな、じゃあ運ぼう。」



タートルリザードの装甲は帯状になっていて全部で3枚ある、軽くて丈夫だが大きいので持ったままの探索は厳しい。



「それじゃあ、戻るぞ。」


「シロウ、オレが持つぞ?」


「いや、ヴァルマは俺を守ってくれ。頼んだぞ。」


「!?おう、任せろ!」


(まぁ、こんなデカいのを、小さい女の子に持たせるってのも・・・。)





それから束ねたタートルリザードの装甲を持って2人で戻って行った。





ギルドの買取に向かうと前回と同じ個室に入る。




「お待たせしました。おや?今日は魔石以外も買取ですか?」


「ああ、今回はタートルリザードの装甲を持って来た。買取を頼めるか?」


「ええ、勿論です。」



布で見えないように束ねていたタートルリザードの装甲をテーブルに置いた。



「これなら装甲1枚につき銀貨1枚で買取できますが、如何でしょうか?」


「えっ?銀貨1枚?」


「あぁ、いえ、ですが、これ以上は・・・。」


「ああ、すまん、そう言う意味じゃ無いんだ。随分と高いな、と。」



買取担当の話しでは、装甲1枚をそのまま使うのでは無く、1枚の装甲を10以上に分割して防具の各部位に使うので、それ程高額では無いとの事だ。



(分割すると1個が銅貨1枚だから、ちょっと高い程度になるのか。)


「それじゃ、その金額で頼む。あとは魔石も頼むよ。」


「か、畏まりました。」



今度、魔石を出したが、今までで一番少ない。


ハイゴブリンとハイコボルトが合わせて37個、シルバーウルフが23個とグレーウルフが9個、あとはスプリントリザードが8個とタートルリザードが1個だ。



「今回は少なかったですね。」


「ああ、装甲を持って先には進めないからな。そこで帰って来たんだ。」


「なるほど、確かに2人では先に進むのは難しいですね。メンバーは増やさないのですか?」


「あぁ・・・、今は考えて無いんだ。」


「そうですか、無粋な事を聞いて申し訳ありません。」



買取担当はチラッとヴァルマを見てそう答えた。



「コホン、それで魔石ですが全部で銀貨4枚に青銅貨7枚になります、これで宜しいでしょうか?」


「ああ、それで良い。」


「畏まりました、それではお支払いをお持ちしますので少々お待ちください。」



そして担当者が支払金を持って来た。



「ご確認をお願いします。」



「・・・ああ、大丈夫だ。じゃあ、またな。」


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