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世界でただ一人の種族はチートだった  作者: どんぺった
第2章 ダンジョン都市ヘリスト
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第2話 初ダンジョン

今は開いているがダンジョンへの入口には鉄の扉がついている。



「へぇ、デカい扉だな。あぁ、あれがポータルか。」



入口から少しばかり離れた場所に、高さ3m程の石碑の様な物があり、その石碑には水晶が埋まっている。



「さぁ、行こうか、ヴァルマ。」


「おう、行くぞ~!」



ポータルの水晶にカードを触れさせると、カードに”1階層”と記入された。



「これは、どんな仕組みなんだ?」


「おお~、オレのにも出たぞ!」


「そうか良かったな。失くさない様にちゃんと仕舞っとけよ。」


「子供じゃないんだ、大丈夫に決まってるだろ!」



そんな事を話しながらダンジョンに入って行く。






ダンジョンの中に入ると、そこは草原だった。



「・・・いきなり草原って、何処へ行けば?」


「シロウ!」



ヴァルマが声をかけてから、自分の額を人差し指で”トントン”と叩く。



「あ!そうか、すまん。」



これは、ヴァルマと決めた合図の1つで”感知”の合図だ。



「あぁ、あっちに階段があるみたいだ。何人かが向かってる。」



周辺感知を使うと左前方に人が真っすぐに向かっている。



「オレ達も下に降りるか?」


「う~ん。そうだな、今日は様子見だからこの階を探索するか。」


「おう!いっぱい倒すぞ!」


「はは、じゃあ、向こうに行くか、魔物の反応が多い。」



階段と逆の方向は、魔物の反応が多く存在して人の反応は無い。


この階層はそれ程稼げないのだろう、だから次の階層を目指す。





暫く歩くと魔物がいた。


ヴァーラでよく狩っていたフォレストリザードが3匹だ。



「ヴァルマ、やれるか?」


「おう、任せろ!」



言うと同時にヴァルマはナイフを両手に姿勢を低くして、フォレストリザードに向かって走って行く。



「せぃ、はっ、とっ。」



一瞬だった。


向かって来た先頭のフォレストリザードを左に躱しながら右のナイフで首を斬り、そのまま左にいたフォレストリザードの首を左のナイフで斬る、残った1匹に突進してこれの首も斬った。



「おお~!見事だ。」


「ぶぅ~。当たり前だ!こんなの準備運動にもならないぞ!」


「ははは、まぁ、そうだろうな。」



ここにいるフォレストリザードはヴァーラにいたのとは違い狂化種の魔物だ、だから逃げずに向かってくる。



「むしろ戦いやすいか。あとは魔石を拾うだけだな。」


「なあ、魔石しか出ないのか?」


「低階層だと滅多に出ないらしいぞ。」



ダンジョンで討伐した魔物は、死亡後に魔石か素材やアイテムなどを残してダンジョンに吸収される、ただ低階層では魔石以外が出てくる事は稀だ。





それから2時間ほど1階層で戦った。



「う~ん。・・・ダメか。」


「うん。ダメだな。」



これまでに倒したフォレストリザードの数は42匹、なかなかの討伐数だが、出たのは魔石だけで魔石は1つ青銅貨1枚だ、つまり[銅貨4・青銅貨2]にしかならない。



「これじゃ確かに割に合わないな。他の冒険者が階下に行くのが良く分かる。」


「・・・うん。」


「仕方ない、次の階に行こう。」


「おお~、行こう!」





あまりにも割に合わないので、次の2階層に行く。





2階層は森林エリアだった。



「うん。こっちの方がマシかな。ここにいるのはゴブリンとウルフだな。」


「う~ん。まだダメじゃないか?弱いぞ?」


「う!?・・・まぁ、確かに弱いな。次に行こう。」


「おお~!」



それから魔物を倒しながら次の階層を目指した。





3階層も森林エリアだった。



「ここも森か、あんまり変わらないか?」


「ウルフは少しは強いのがいるぞ?」


「まぁ、それも”少し”だからなぁ。」


「次に行くか?」


「そうだなぁ、・・・ここから階層を登って戻るより、5階層の先にあるポータルで戻った方が良いか。」


「良し!じゃあ、行こう!」


「まあ待て、その前に食事にしよう、もう昼の時間だ。」


「おう。」



まずは昼食を食べる、この昼食は内壁の入口前で販売している弁当で、硬めのパンに肉や野菜を挟み込んだサンドイッチだ。



(う~ん。パンが硬くて中の肉は油の少ないリザードの肉か。不味くは無いが。)


「シロウ、美味いな!」


「あ、あぁ、そうだな。」


(ヴァルマにとっては美味しいのか、・・・なんだか泣きそうだ。もっと美味しい物を食べさせてあげたい。)






昼食後に4階層へ行くと、この階層も森林エリアだった。



「1階層だけが草原だったのか、・・・混まないようにか?」


「シロウ!ディアだ!」


「お!良し行くぞ!」



4階層にはゴブリンとウルフに加えてディアもいた。



「オレが行くぞ!」



そう言うとヴァルマは気配隠蔽と動作隠蔽を使い隠れながらディアに近づく。


ディアは周囲に何かを感じたのか周りを窺うが、背後から近づいてきたヴァルマによって首にナイフを刺されて倒された。



「良かったぞ、ヴァルマ。」


「へへへ、このくらいできるさ!」


「お!ヴァルマ出たぞ、肉だ。この肉は確保しとくか。」


「売らないのか?」


「回収ボックスに入れておけば腐らないから、出たら全部残しておく。」


「おう、オレも肉は好きだから良いぞ!」





その後はディアを探しながら、5階層を目指した。





5階層には扉の前に広場があり、そこには人が10人以上いた。



「あれか、・・・人が多いな。」


「なんかあったのか?」


「いや多分、攻略の順番待ちだろう。」



列の最後尾にいる冒険者に確認してみる事にした。



「なぁ、ちょっと良いか?」


「ん?なんだ?」


「この列は攻略の順番待ちで合ってるか?」


「あぁ、初めてきたのか。ここに来た順で待ってんだよ。」


「そうか分かったよ、ありがとな。」



前にいるパーティから離れて順番を待ちながら休憩にする。



「やっぱり順番待ちだったな。前にいるのは3パーティ・・・か。どのくらい時間がかかるんだか。」


「・・・待つのは退屈だ。」


「そりゃしょうがないさ。ここを越えなきゃ、先には進めないんだからな。」


「おう、分かった。」



待っている間にこれまでの成果を確認する。


1階層ではフォレストリザードを42匹

2階層ではゴブリンが37体でウルフが18匹

3階層ではゴブリンが16体でウルフが20匹とシルバーウルフが4匹

4階層ではゴブリンが21体でウルフが13匹とシルバーウルフが2匹にディアが3匹


結果は[フォレストリザード:42匹][ゴブリン:74体][ウルフ:51匹][シルバーウルフ:6匹][ディア:3匹]になる。


肉は最初に倒した1匹だけであとは魔石のみだった。


魔石はそれぞれフォレストリザードとゴブリンが青銅貨1枚でウルフが青銅貨2枚になる、あとはシルバーウルフが青銅貨3枚とディアが青銅貨4枚だ。


全てを合計すると[銀貨2・銅貨4・青銅貨8]になる。


倒した魔物の総数は176になる、周辺感知を持っているので魔物をすぐに見つける事はできるが魔石しか落とさない。



(う~ん。悪くは無いけど、金額的には微妙か?)




そんな事を考えている間に順番が来た。




「ヴァルマ、準備は良いか?」


「おう、大丈夫だぞ!」



そして2人が開いている扉から中に入り扉が閉まると、部屋の中心にある魔法陣から守護者が出現した。



「なるほど、集団戦か。」


「あのゴブリンだけ大きいぞ。」



ヴァルマが言ったのは、中心の後方にいるゴブリンだ、この個体だけ他のよりも大きく体格が良い。



「確かハイゴブリンだったな。」


「シロウ!」


「ん?どうした?」


「ここはオレが戦う!」


「・・・ああ、任せる!」


「おう!」


(・・・”オレが戦う”か、信じて任せるのも俺の役目・・・だな。)




ヴァルマは正面から動作隠蔽だけを使い歩いて行く。


ゴブリン達は歩いて近づくヴァルマに注視すると、腰を低くして襲い掛かる姿勢を見せる。



「ゲラ、グギュラ!」



更にヴァルマが近づくと、痺れを切らしたゴブリン3体が手に持ったナイフで一斉に襲い掛かってきた。


ヴァルマは正面から来たゴブリンを蹴り飛ばし、その場で回転しながら残り2体の首を斬った。



(へぇ、上手いな。後はここからどう攻めるか。残り9体だ。)


「ギャッ、ギュガッ!」



ゴブリンは警戒したのかヴァルマを囲い始めた。


その様子を眺めながらもヴァルマは動かない。



「ゲッギ!」



一斉にナイフを突き出しながら全てのゴブリンが襲って来た。


それをヴァルマはギリギリまで待ってから飛び上がり、空中で1回転して後方へ着地すると、次の瞬間には同士討ちを免れたゴブリンに斬りかかり全滅させた。



(おお、けど流石にちょっとヒヤッとしたな。残りはハイゴブリンだけか。)


「グギャ、ギュラァァァ!」



ハイゴブリンは怒りかそれとも鼓舞なのか、大声で叫んだ。


ハイゴブリンが短剣を右手に突きを放って来るが、右に避けると同時に腕を切り落としてから、更に踏み込み首を斬り落とした。



「ふぅ。・・・終わったぞ、シロウ!」






振り返るヴァルマは笑顔だった。


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