第3話 新種族
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[シロウ・ホウライ] 真人族 男性 26才
■固有スキル
なし
■種族スキル
【真人】
■特殊スキル
【身体再生】・【言語理解】・【周辺感知】
■汎用スキル
【身体強化・初】・【魔力操作・初】
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「おぉ!出た!・・・ん?あれ?なんか違う?”真人族”って何?しかも種族スキルにも”真人”ってなってるんだけど。」
「えっ?何?どうゆう事?・・・あれ?本当だ。え~と、確認するけど、君って人族だよね?実は・・・とか?」
「いえいえ。生まれも育ちも人族ですが?」
「ちょっと待ってて確認してみる。・・・・・・・・・・・・。」
(そんな疑うような目で見なくても良いのに!いやでも待てよ?”人族”ってこの世界での表現だよな?向こうでは”日本人”って表現だったし、人種で言えば”黄色人種”にあたる。じゃぁ何故”真人族”?この世界特有の種族なんだろうか?)
「あぁ、えっと、確認してみたけど間違って無かったよ。」
前提として俺には元の世界の神様からの加護があった、これは俺が特別と言う訳ではなく、その世界の全ての人族に当てはまる。
しかし俺は世界を渡ってしまった所為で、元の世界の加護に加えてこの世界でも加護を授かってしまった。
そして双方の加護により、種族が人族から真人族とやらに変わってしまった。
ちなみに種族スキルも真人族の特性らしく、これの所為でインストールの痛みが激しかったのだとか。
「なるほど。・・・それで”とやら”って事は、こんな種族はこの世界にはいないって事ですか?」
「いないよ。この世界にいるのは”人族・獣人族・魔人族・森人族・小人族・龍人族”の6種族だね。そもそも、この世界に他の世界から人種族が来たのも初めてだし。君はこの世界で7番目の種族だよ、おめでとう!」
「えぇ~と、それって大丈夫なんですか?他人に種族を見られたら問題になったりしません?」
「あぁ、ステータスは表示しても他人には見えないよ!鑑定されなければ。・・・まぁその時は”ちょっと変わった人族です”って言えば何とかなるよ!・・・・・・きっと。」
「うおぃ!なんか適当だな!?」
「仕方ないよ、ステータスは誤魔化したり出来ないんだから。まぁ、普通の人族より能力は高いみたいだし、その上に種族スキルまで手に入ったんだから、良い事じゃないか。」
(はぁ~。そうだな、多少厄介事があっても、種族スキルは儲けものか、鑑定だけ気を付けておこう。あとは種族スキルの真人がどういったスキルかって事だな。)
「それで、この種族スキル”真人”って、どんなスキルなんですか?」
「さぁ?」
「”さぁ?”って、確認してくれたんじゃないですか?」
「えっとね。前も説明したけどスキルは”技術”が”スキル”になるから内容が分からないって事は無いんだけど、今回みたいに順序が逆だと、表示されている名称以外は分からないんだよね。」
「うっ・・・、確かに説明されたし、その通りだ・・・。仕方ないこれについては後回しにしよう。」
「それなら次は”腕”だね。」
「あぁ、そうだった。そう言えば”身体再生”で再生するんじゃないんですか?」
「それにはちょっとした”コツ”がいるんだよ。」
身体再生スキルがあれば再生はするが、それだけだと結構な時間が掛かる。
再生するには”魔力”を必要とするので”スキル”に”魔力”を流せば早く再生する事ができる。
これは、戦闘中などに”身体再生”スキルが自動で魔力を使って再生する事を防ぐ為の措置でもある。
「確かに戦闘中に怪我をしたからと言って勝手に魔力を消費して再生して、それで魔力不足になったら洒落にならないですね。・・・それじゃ試してみます。」
(まずは魔力を・・・ん?あれ?そう言えば”魔力操作”が無かったら結構難しいんじゃ?・・・それはまぁ後でいいや。それで魔力はどれだ・・・これか?そしてこれを”身体再生”スキルを意識して流す。)
「お!おぉ!いいぞ、腕が生えてきた!・・・・・・おぉ!すごい!元に戻った!良かった~。」
「お見事!一発で出来たね!」
「ありがとうございます。でもこれって”魔力操作”が無かったら難しくないですか?」
「そうでも無いよ。今みたいに早くはないけど、スキルを意識して”身体再生”って唱えれば、再生されるよ。」
これは魔力操作を持たない人でもスキルを発動させる為の一般的な手法でもある。
ただし魔力操作を持っていれば”魔力”と”スキル”だけで発動させる事ができる為”詠唱”が必要無くなる。
例えば剣士が魔力を必要とする”特殊剣技”を使う場合には、剣士はその”剣技名”を”詠唱”する必要がある。
だが魔力操作があれば、その剣技を意識して魔力を流せば発動するので、戦闘が有利になる。
「へぇ~。魔力操作便利ですね。」
「でしょう!でも無くてもスキルが使えるから、魔法職以外の人だとあんまり使わないんだよね。」
「魔法職の人は皆魔力操作を持ってるんですか?」
「と言うより、魔力操作が無いと魔法が使えないからね。ちなみに魔法職の括りは・・・。」
属性魔法・並を3種類以上使える人が”魔法使い”
属性魔法・上を3種類以上使える人が”魔導士”
属性魔法・極を1種類以上使える人が”賢者”
並までの魔法は魔法陣や詠唱が小規模なので扱いやすい。
上になると魔法陣は複雑化し詠唱も長くなる為難しい。
極になると魔法陣と詠唱を同時使用しなければ発動出来ない。
詠唱魔法とは”詠唱”によって”イメージ”を形作り”魔力”を乗せる事で発動する。
魔法陣魔法とは”魔法陣”を魔力で形作りそこに”魔力”を注ぐ事で発動する。
「なるほど。つまり魔力操作が有れば、魔法は使えると言う事ですか?」
「簡単とまでは言えないけどね、覚える事は多いしそれに見合うだけの魔力量も必要だからね。」
「分かりました。とりあえず魔法については、・・・町についてから考えてみます。」
「うん、頑張ってね。さて、これで君は正式にこの世界の住人になった分けだけど・・・。ああ、そうだ!護身用の装備をあげよう!また襲われた時に対処出来ないからね。」
そう言ってユグドラシルが出したのは、心臓を守る革製の胸当てと、腕を守る手甲に、膝下まであるフード付きのマントと、鉄製の長剣と片刃のナイフだった。
それぞれを装備していくと、最後に小さいサンドバッグみたいな形をした荷袋を出した。
「まぁ、こんなとこかな?荷袋には水袋や保存食とか色々入ってるから、後で確認してね。」
「分かりました。色々とありがとうございます、おかげさまで助かりました。」
「どういたしまして。さて、君がこの隔離空間から出ると、元いた場所に戻る事になる。そこは、この大陸の北にある森の中で、一番近い町が南にある、だけどその町まではかなりの距離がある上に魔物も危険な生物もいる。戦闘は避けられないから慎重に行くんだよ。大変だろうけどこれ以上は何もしてあげられない。」
「大丈夫です・・・とは言い切れないけど、何とかしてみます。」
「それじゃお別れだ、頑張ってね。」
「あぁ!ありがとう!」
別れを告げた瞬間、光に包まれ気が付けば、そこは森の中だった。