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世界でただ一人の種族はチートだった  作者: どんぺった
第1章 不如意なる人生
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第23話 可愛いは正義

「おはよ、・・・なぁ、抱かないで良かったのか?」


「ぶはっ!?何言ってんだ!?」



朝一でこれは堪える。



「いや、女の奴隷なんて、そんなもんだろ?・・・シロウなら、まぁ良いぞ。」


「いやいやいや、違う、違うぞ、そんな事のためにお前を買ったんじゃ無い!」


「そこまで否定しなくても、・・・・・・やっぱり、おっぱいか?」


「はぁぁぁ、違うから!?・・・そんなに胸を揉むな!はしたないぞ!」


「ぷっ、あはは、冗談だよ。」


「はぁ、もう良い。さっさと食事をしたらまずは装備を整えに行くぞ。」


「おう!」



確かにヴァルマは可愛いところはあるが、如何せん病み上がりの病人みたいな体型で、これから食事で肉体を作って鍛えなければならない。


何やらそう考えると不埒な事をしているようで落ち込む。




気を取り直して朝食後に町に出た。




これからヴァルマの装備と着替えなどの日用品を買いに行かなければならない。



「さて、まずは服と防具だな。ヴァルマは何処か良い店を知ってるか?」


「いや、行った事なんて無いから知らないぞ?・・・ああ、そう言えば、南が良いとか話してる冒険者がいたな。」


「南、へリスト方面か。・・・遠いが、まあ、行ってみるか!」




町の中央にある貴族街を迂回して宿屋のある北から南へ行き店を探した。




店は大通りから西に少し中に入った場所にあった。



「いらっしゃいませ。どのようなものをお探しですか?」



店に入ると店員の女性が声をかけて来た。



「あぁ、この娘の装備を探しに来たんだ。」


「えっと、この娘ですか?」



店員がヴァルマの方を見て顔をしかめる。



「ああ、いや無理ならいい、他をあたる。」



そしてすぐに店を出た。







「・・・いいのか?」


「いいさ、ヴァルマを見てあんな顔をするなら、願い下げだ。」



見た目が病的に痩せ細っていると言うのもあるが、奴隷で更に片腕だというのが気になるのだろう。


店の商品をそんな相手に着せたくないと。



「・・・そっか、うん、分かった任せるよ。」


「ああ、任せろ。」


(少しばかり落ち込んだみたいだが、まぁこの様子なら大丈夫だろう。)





それから暫く探して見たが、やはりあまり良い反応をする店はない・・・が。





(やばい!見つけてしまった、この危険な色の建物を・・・これはきっと危ない奴が出てくる。)


「さ、さぁ、他の店を探すぞ。」


「何処を探すのかしら、ボ・ウ・ヤ。フゥ~」


「ぎゃぁぁぁああぁぁぁあ!」



いきなり後ろから息を吹きかけられた。


周辺感知に全く反応が無かった、正確には今も反応が無い。


そこにいたのは、2mを超える身長で筋骨隆々な体型をしていて、彫りの深い顔に厚化粧を施している、ピンクのフリフリドレスを着た女性?だった。


想像していた”奴”とは違ったが、気配が全くしないのに存在感が半端ではない。



「いえ!何でもありませんです。サー・イエッサー。」


(やばい、何故か敬礼していまう。・・・こえぇよ。泣きそうだよ。)


「あらあら、どうしたの?そんなに震えちゃって、寒いの?大丈夫?ボ・ウ・ヤ。」


(っ、寒い、寒いよ、誰か助けて!)


「どうしたんだシロウ?大丈夫か?」


(!?なんで、ヴァルマは平気なんだ?これを見て!)



結局逃げる事ができずに、店の中に連れ込まれてしまった。



(仕方ないこうなったら腹を括るしかない!・・・うっし!行くぞ!)


「あぁ、この娘の戦闘用の装備を探してたんだよ。」


「あらぁそうなの?でもちょっと痩せすぎてない?・・・それに腕も。」



それから店主の女性、本当に女性だったが、彼女にこれまでの経緯を話した。



「まぁそうなの?酷いわね、こんなに可愛いのに!・・・任せなさい、ここはおねぇさんが一肌脱いであげるわ!」



そうして店主の女性、名前はマダム・ライラと名乗ったが、彼女がヴァルマに服を幾つか見繕って来た。


最初に着せたのはマダム・ライラとお揃いのピンクのフリフリドレスで、髪も綺麗に整えてくれていた。



「うふふ、やっぱり可愛いわねぇ~。良く似合ってるわよ~。」


「あっ、いや、確かにこれは可愛いが、これじゃ、戦闘はできないぞ?欲しいのは戦闘用の服なんだよ?」


「んもぅ!そんなの分かってるわよ!でも折角なんだから良いでしょ?」


(おぉぉう、また寒さが・・・ウィンク1つでここまでか~!)


「ん、コホン。わ、分かった。分かったから!」



それからはミニスカメイド服だのチャイナドレスだの挙句の果てにはバニーだ。


この店主は何処の世界から紛れ込んだのか、最早理解不能だ。






「な、なぁ。そろそろ、さぁ、目的の服を出して欲しいんだけど・・・ね?」


「んもぅ!無粋な男は嫌われるわよ?・・・待ってなさい今持ってくるわ~。」


(恐ろしい、女性の服選びは大変だと聞くが、これはきつい、色んな意味で。)


「ヴァルマは大丈夫か?疲れて無いか?」


「ん?楽しいぞ!色んな服が着られるなんて初めてだ!」



ヴァルマは思いのほか楽しんでいるようだ、笑顔がまぶしい。


確かに今までの人生を考えれば、ここまで色々な服を着るなんて事は無かったはずだ、そう思うと少し罪悪感が出てしまう。



「そうか、ヴァルマが楽しいなら良いさ。」




「うふふ、お・ま・た・せ!持ってきたわよ~。」



マダム・ライラが冒険者用の服を持って来た。


靴はハイカットの黒いブーツだ、素材は皮で防水処理がしてあるのか光沢がある。


足首から膝上まであるレガースも黒で、脛と膝の部分に防具が付いていて蹴りやすい様になっている。


パンツは白いショートパンツで前にポケットが2つ付いている。


腰には膝までの腰マントでこれも革製で黒色だ。


上は白いノースリーブに黒のジャケットは袖が肘までの長さになっている。


腕にはに盾代わりの金属が仕込まれた手甲だ。



ヴァルマが着替えてから出て来た。



「おおぅ。いいねぇ、可愛いよ。しかしなんで腰マント?」


「うふふ、その方が可愛いでしょ~?」


「いやまぁ、可愛いけどね?そうでなくてね。」


「んもぅ!分かってるわよ~!彼女も戦うんでしょ?でも片腕だから収納を増やす為にそれにしたのよ~?」



腰マントをよく見ると、確かに周囲に幾つかのポケットがついていて収納量は多そうだ。


収納と言う理由ならベルトにポーチを付ければ済むのだが、防具も兼ねると言う事なのだろう。



「あぁ、なるほどね。さすがマダム・ライラ。」


「うふふ、お褒め頂き光栄ですわ~。ふふふ。」



それから他にも普段着になるようなスカートとブラウスに旅用のフード付きマントなども見繕ってくれた。



「それで、全部で値段は?」


「うふふ、今日は楽しめたから銀貨6枚で良いわよ~!」


「はぁ!?銀貨6枚っていくらなんでも安すぎじゃないか?」


「あらぁ、良く分かってるじゃな~い。ふふふ、これはね~材料費なのよ~。普通に売るなら金貨1枚以上はするけど、作ったのは私だから~、気に入った娘に着てもらえるならそれだけで私は満足なのよ~。」


「そ、そうか。うん、分かった。じゃあ、お言葉に甘えて購入させて頂きます。」


「ふふ、ご購入ありがとうございます~。」





強烈な店主だったが良い人だった、ただ、二度と行きたくはないが。





「じゃあ、後は武器だな。ヴァルマ。」


「・・・おぅ。」


「どうした?なんか元気ないな?疲れたか?」


「・・・いいのか?こんなに高いの?」


「気にしてたのか?良いんだよ!女の子なんだから可愛い服を着ればいいさ。」


「おぅ。・・・分かったよ。」


(あら、うつむいてしまった、やっぱり気になるか。とは言えあんなワンピースじゃな。)


「よし!次は鍛冶屋を探そう。行くぞ、ヴァルマ!」


「おう!」



元気があるのか無いのか、良く分からない返事だが後は武器が必要だ。


現状の能力では弓士だが片腕では使えない、片手で持てる武器を探すには武器屋より鍛冶屋が良いだろう。





鍛冶屋は外壁沿いにあるとマダム・ライラに聞いたのでそこに向かう。





「ちょっと、見せてもらっていいか?」


「おうよ、いいぞ。何が欲しいんだ?」


「この娘が使える武器が欲しいんだが、片腕で使える武器は無いか?」


「ん?このちっこい娘か?あぁ片腕ねぇ。そうなると短剣か片手斧あとはメイスぐらいしか無いぞ?」


「う~ん、メイスはちょっと重くないか?」


「まぁなぁ、だが技術が要らないから扱いやすいぞ。」


「なぁ、ヴァルマはどうしたい?」



店主と話している間ヴァルマは店の商品を見て回っていた。


何か気になる物があったのだろう、一か所で何かを見ていた。



「どうした?」


「なぁシロウ、これダメか?」



ヴァルマが見ていたのはナイフでククリナイフと言われる前傾した形状に内側に反れた刀身を持つナイフだ。



「・・・ナイフか、それもありだな。おっちゃんこれって戦闘でも使えるか?」


「ん?ああ、当然そりゃ戦闘用だからな!しかもそいつは魔鉄だぞ!」


「・・・そうか。魔鉄か。ヴァルマちょっと試して見ろ。」



ヴァルマは恐る恐るナイフを持って軽く振って確認している。



「ん!これ良い。使いやすい!」



随分と嬉しそうな笑顔でこっちを見たが、子供にナイフを持たせるなど、日本では考えられない行為だ。


しかも、これからそのナイフを使って生き物を殺す事を教えて行かなければならないのが何とも切ない。



「分かった。おっちゃんこれいくらだ?」


「おう!そいつは、銀貨1枚だ。」


「じゃあ、これを2本と、そこの斧を1本貰えるか?」


「ん?斧?そりゃ木こり用のやつだぞ?」


「ああ、それで良いんだ。木を切るんだから。」


「そうか、斧は銅貨7枚だ。」


「それじゃ貰っていくぞ。行くぞヴァルマ。」



支払を済ませて店を出る、何だかヴァルマが嬉しそうにナイフを抱えているのを見ると、これで良いのか少しばかり不安になる。





そして買い物を終えて宿屋に戻った。





この町に来たのは、仙境で使う資材を購入する事が目的だったのだが、結局何も買えなかった。


食料は回収ボックスにあるからそれ程心配は無いが、明日にはこの町を出る。


元々はへリストのダンジョンに向かう予定だったが、その前にしておく事ができてしまった。









(はぁ、本当に予定外ばっかりだ、でもまぁ、可愛いは正義って事で。)


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