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世界でただ一人の種族はチートだった  作者: どんぺった
第1章 不如意なる人生
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第19話 村へ

「・・・なるほど、そうか、その方が納得はできるな。」



隔離空間がダンジョンで、水晶がコアだと考えれば納得はできる。


しかしダンジョンの管轄者はユグドラシルだ、もしこの”1ルームダンジョン”が本当にダンジョンであればユグドラシルが作成と管理をしているはずであるが、そうなるとユグドラシルの言った”過度の干渉”との辻褄(つじつま)が合わなくなる。



「・・・てことは、ダンジョンっぽいもの?」



ステータスシステムの変化に、複合スキル追加の目的も分からない。


更にこの”仙境”はスキルかどうかすら疑わしい。


首を傾げる事ばかりだ。



「はぁぁぁ~・・・。ダメだ!分からん!情報不足だ!」



結局のところ、分かる範囲で行動して行くしかない。


当初の目的通りに、まずはダンジョンに行って自己強化をする事、その後にメルキース帝国に行くかどうかはその時の状況次第だ。



「しゃぁない!・・・それはそれとして、使えるものは使わせて貰おう!」



仙境については、それが何なのか理由も原理も不明だが便利なのは確かだ、今は空間があるだけだが、資材があれば家を建てる事ができるのだろう。


そして家が建てば移動するマイホームが手に入るのだ、利用しない手は無い、その為にも”回収ボックス”を使って資材を集める必要がある。



「しかし、・・・なんで3つもあるんだ?」



3つの回収ボックスを見るとそれぞれの名称が書いてあった。


[資材回収ボックス]:構造物用資材(木・石・鉄・布・・・)

[食材回収ボックス]:食材保存(肉・野菜・果物・魚・貝・・・)

[動力回収ボックス]:環境動力(魔石・魔力注入)



「あぁ、種類別になってるのか。資材・食材・動力・・・ね。つまり、それ以外は回収できないと。」



資材回収はこの空間内に作る構造物用の資材を回収する。

食材回収は食材を保存しておける。

動力回収はこの空間の環境を運用するための動力となる魔力を回収する。



「これを持ち出してそれぞれを回収すればいいのか。ちょっと大きいんだが・・・仕方ないか。」



3つの回収ボックスを台座から取り外して、小袋に入れて腰に下げた。



「それじゃ、検証はここまでにして村に向かうか。」



まだ検証できていないスキルなどもあるが、次の村に向かうために仙境を出る。


外に出るとそこはスキルを発動した場所で、身体が全て外に出ると影のドアは無くなった。



「中に入っている間、影のドアはどうなってるんだ?」



影のドアが残っているなら人目が無い場所で使用するしかないが、消えているのであれば出入りする時以外はそこまで気にする必要は無い。


それに他者が入って来られるかどうかも確認する必要がある。


ただ、今は自分1人なので検証する事ができない、かと言ってそう簡単に誰かに頼む事もできない。


信頼できる人間でなければ、スキルの検証を手伝ってもらう分けにはいかない。



「できれば早めに検証したいんだが、こればかりはな~。」







その後、修行もかねて小走りで街道を進む。


しかし、人族から真人族となり身体能力が上がっている、そのため小走りでも馬車と同程度の速度になってしまった。


これでは街道を行く人達を驚かせてしまう上に修行にもならない。



「街道から外れるか・・・資材も回収したいしな。」



街道を外れて目立たない様に移動する事にした、そして移動の際に資材になりそうな物があれば回収もしておく。


その後、食事の際に試して発覚したのは、食材回収ボックスは”食材”は入れられるが”料理”は入れられない事だ。


乾燥させた物や切っただけの物であれば入れられたが、味付けされた干し肉すらも無理だった。



「確かに便利なんだが・・・・・・微妙に使えない。」






▽▽▽





スキルの検証から3日目の日が暮れる前にヴァーラの隣りにある村に到着した。



「へぇ、・・・あぁ、村だな。うん、ありゃ村だ。予定より1日早く着いたな。」



村は街道の脇にあり、村の周囲は木の杭を地面に刺して作った壁が四角く囲っている、壁の高さは2m程度だ。


出入口は街道に接していて、そこには監視役の門衛が1人椅子に座っている。



「こんにちは、食料が欲しいんだ、それと泊れるとこはあるかい?」



少し離れたところから声をかける。


これは前にギルドの食堂で聞いた話しで、声をかけずに門に近づくと無用な警戒を与えてしまうので、まずは目的を言ってから近づくのがマナーらしい。


そう言うと門衛は立ち上がりこちらを見た。



「あぁ、冒険者・・・か?ずいぶん若いが、ヴァーラから来たんだよな?」


(・・・背が低いとそんなに若く見えるのか?・・・もうこれは諦めよう。)


「ああ、そうだよ、これでも一応はDランクの冒険者だ」



そう伝えながらギルドカードを提示する。



「そ、そうか。門を入ると左に宿屋があるぞ、食料なんかはその隣に店があるからそこで買えばいい。」


「入ってもいいか?」


「あぁ、かまわんぞ、身分証も確認できたしな。」



カードを返して貰うと、そのまま門を通り村の中に入る。


門は馬車も通れるぐらいの外開きの両扉になっている。


村の中は右側が畑や牧場用の区画で、左側に家屋が並び住居用の区画になっている、想像していたような乱雑な感じではなく、町の一画がここにあるような印象だ、密集して守るためだろう。


村の中央付近にある家は村長宅で壁で囲われている、緊急時には避難所を兼ねる作りになっているそうだ。




村の中をさっと眺めてから宿屋に向かう。




中に入ると1階には食堂と受付があって、受付の方を見ると宿屋の女将が声をかけて来た。


「いらっしゃい!」


「1人なんだが、今夜泊れるか?」


「ああ、泊れるさね。1人部屋は銅貨1枚だ、食事は1食が青銅貨2枚で別料金になる。」


「じゃぁ1泊と・・・食事は夕食と明日の朝食分を頼む。」



そう言って宿屋の女将に銅貨1枚と青銅貨4枚を渡す。



「はいよ、夕食までまだ時間があるけど、もう部屋に行くかい?行くなら鍵を渡すけど?」


「いや、その前に旅の食料を買いたいんだ。店は隣りで良いんだよな?」


「ああ、そうだよ、村一番の店さ!他にはないけどね。はっははっ。」


「ははっ、それじゃちょっと買い物してから戻るよ。」



笑って良いのか分からないので愛想笑い程度にして宿を出て隣りの店に行く。






「こんにちは、旅用の食料が欲しいんだがあるかい?」


「おう!いらっしゃい、保存食ならあるぞ。何日分必要なんだ?」


「あぁ、そうだな、3日分頼む。」



店の中は入る直ぐにカウンターがあって商品は奥にある。


ヴァーラの町では商品を見てから買うものを決めたが、ここでは店主が奥から持ってくる方式のようだ。


店主の男性が幾つかの商品を持って奥から戻って来た。



「旅用で3日だったらこのぐらいだな。これで銅貨1枚分だ。」



持ってきたのは固いパンと乾燥させた野菜を数種類と干し肉だ。


旅の間の食事とは、乾燥させた野菜と干し肉を鍋で煮て食べるのが一般的なので、何処でもこの組合せで売っている。



「はいよ。銅貨1枚。」





支払を済ませて商品を受け取ると店を出た。





宿屋に戻ると夕食の時間らしく食堂には他の泊り客らしき人達が食事をしていた。



「おかえり、用事は済んだかい?」


「ん、ああ、ただいま。買い物はできたよ。部屋に荷物を置いたら食事にしたい。鍵を貰えるか?」


「はいよ、部屋は2階の3号室だよ。」



そう言って宿屋の女将が鍵を渡してきたので、受け取ってから部屋へ行き、荷物を置いてから食堂へ戻って食事にする。


食事をしていると隣りのテーブルにいる冒険者パーティの1人が話しかけてきた。



「よぉ!おめぇも冒険者か?」


「ん?ああ、そうだが。」


「へぇ、仲間はどうしたんだ?」


「ああ、仲間はいない、ソロなんだよ。」


「は?・・・ソロっておめぇ、ああ、商隊かなんかと移動してんのか!」


「いや、本当にソロで1人旅だよ。」


「おぉう、マジか!?・・・アホか?」


「ひでぇ言われようだな。いやまぁ、自分でも分かってるけどさ。」



この世界では1人旅をする人はほぼいない、町や村の間は馬車ですら数日かかり野営が必要であり、そして野営中は見張りがいなければ1人では寝る事もできない。


どうしても1人で旅をしなければいけない時には、商隊などに同行させて貰うのが普通だ。


それから彼らに”同行するか?”と言われたが、彼らはこれからヴァーラに向かうらしく方向が逆だ。


それ以前に1人の方が動きやすいので、どちらにしろ断る事になるのだが。


彼らはまだ酒を飲むらしいので先に部屋に戻った。






「はぁ、やっぱり1人旅は目立つか。・・・しかしなぁ。」



移動もそうだが、自身の種族やスキルの事があるので、下手にパーティを組んだりはできない。


しっかりとした信頼関係が結べれば理想的だが、まだそこまで信頼できる冒険者には会っていない。


最悪の場合は奴隷と言う手段もあるが、そうした関係はできれば避けたい。





「まぁ、仲間の事はへリストに着いてから考えよう。」


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