閑話 ユグドラシルの憂鬱 2
もう一話確認したのでアップします。
「意外と大胆・・・いえ豪胆ですかね?」
真っ白な空間にはただ1人”ユグドラシル”がモニターを見つめている。
そしてモニターに映ってのは、不慮の事故で世界を渡ってしまった男性だ。
ユグドラシルが個人を観察するような事は普段ならばしない、だが彼がこの世界に来てから過度な能力を得てしまった事が気になっているのだ。
この世界にいない種族になった上に、人種族の最強種である龍人族に匹敵する身体能力と更には種族スキルもある。
「本人は”ちょっと強い人族”程度に思っているみたいですが・・・。」
そんな益も無い事を考えていると、背後から1人の男が後ろからそっと耳元に声をかけてきた。
「お・ひ・さ!」
「ぎゃぁっ!?」
「おお!良い反応だね~!”ぎゃぁっ”だって!・・・ぷっ。」
「あ、あ、主様!?いつの間に?」
「やだなぁ~、ボクなら何時でも何処でも、出入り自由なんだよ?こんなの朝飯前さ!っとドヤってみた!」
「・・・はぁ、最近のお気に入りなんですか?それ?」
「はっはっは~!良いでしょ~?」
「まぁ、良いですけど、・・・それよりも、また縮みました?」
「・・・・・・仕方ないじゃん?創造主の奴また天罰使ったんだよ!今度こそ死ぬかと思った!」
「はぁ~・・・また、やらかしたんですね?」
「だってさ~、”複合スキル以外にも作ったら面白いよ”って言ったら、いきなり天罰だよ?信じらんないよね?」
「っ!?・・・主様は一体何がしたいのですか?ようやくバランスが取れているこの世界を壊したいのですか?」
「やだなぁ~、・・・そんなわけないじゃん?」
「目を逸らさないで下さい。」
「ま、まぁ、それは置いといて、ステータスシステムのアップデートをしよう!」
「主様、その前に変更内容をお教え頂けますか?私も確認させて頂きたいのです。」
「むぅ、分かったよ!・・・でもちゃんと創造主と守護神には確認したよ?」
「それでも、です!」
「まったく、仕方ないな~。まぁ、今回のアップデートはそんなに大した事じゃないんだけどね。」
まず1つ目が複合スキルの使い方の変更だ。
現行のシステムでも”スキルと効果”で発動する事はできる。
ただこの場合”スキル”を通して”効果”へ魔力を送る事になるので、余計な魔力を使ってしまう。
このままでは使い勝手が悪いので、複合スキルの効果に対して直接魔力を送れる様にする。
もう1つが複合スキルの内容を確認する方法だ。
これはステータスを表示したまま複合スキルに魔力を送る事で、複合スキルの効果と簡単な説明を表示できる様にする。
「まぁ、こんなとこかな?結局は無難な改良しかできなかったんだよ。」
「・・・なるほど、それで他には?」
「いや?・・・もしかして何かあった?」
「それだけなら良いのですが、・・・他に隠し機能とか入れてないですよね?」
「えっ!入れて良かったの?なんだ言ってくれれば他にも・・・。」
「っダメです!今のステータスシステムにある隠し機能も、主様が勝手に付け加えたらしいではないですか!守護神様にお聞きしましたよ?」
「え~!なんか酷い言われようだね?そのお陰で新しい種族が生まれたし、ほら、あの犯罪識別だってしやすくなったんだよ?良い事じゃん?」
「良い事・・・と言われましても、本来は人族を別の種族にする予定は無かったではありませんか。それに犯罪の識別は後付けで、あれは主様の研究に使われる行動記録の機能ではないですか!」
「あっれ~?知ってたの?・・・守護神め余計な事を!・・・ま、まぁ、そのおかげで”犯罪者鑑定水晶”なんてのもできたんだし、結果オーライ!ってね。」
「怒られてから作っても、言い訳にしかならないのですが?」
「もう!そんな昔の事を今更ほじくり返してないで、さっさとアップデートするよ!はい、これ!」
「このカードに入っているのが、今回のアップデート用のデータですか?」
「そうだよ、今回は隠し機能とか入れてないから大丈夫!・・・そんなジト目で見ないで!?」
「はぁ、分かりました。ではアップデートします。」
▽▽▽
「主様、終わりました。」
「どう?ちゃんと動いてるかい?」
「問題はありませんね、隠し機能も本当にありませんでしたし。」
「うっわ~。ホント最近失礼になったよね?」
「主様の日頃の行いの所為です。私の所為ではありません。」
「はぁ、まあいいや。じゃあ、これでオッケーだね。」
「いえ、まだそれだけでは司朗さんが気付かないのでは?」
「ああ、そう言うことか!そっちを気にしてたんだねっ!」
「はぁ、まぁ、気にはしていますが、主様が改良したのはそれが目的では?」
「相変わらず冗談が通じないなぁ~。」
「はぁ・・・冗談・・・ですか。」
「まぁいいや、そこはダンジョンに複合スキルのカードを出現させればいいじゃん?そしたら複合スキルが知れ渡るから、彼も使い方を知る機会ができるしね。」
「複合スキルのカード・・・ですか。正直あまり出したくはないのですが。」
「結局はユグが作るんだから、危ないスキルは作らないでしょ?」
「確かに初めは私が作るので良いのですが、人種族がどのようなスキルを構築してしまうのか分かりませんので。」
「う~ん、そこまで気にする必要はないんじゃない?」
「そうですね、ただ・・・何かあった場合の対処はお願いしますね?」
「しかたないな~。ああ、そうだ、検証用に作った複合スキルなんだけど、サンプルとして渡しとくよ。」
「これが複合スキルカードですか。」
「作ったスキルは”騎士”で、効果は”忠誠・鼓舞・指揮”の3つだよ。カードにはスキルの使い方と効果の内容も含んでいるから、強力な効果をつけるとスキルの範疇に収まらなかったんだよね、だからちょっと便利だな!って程度が限界だったよ?」
「作ったのはこれだけですか?」
「検証用に作っただけだからね。あとはユグが作るんだから!」
「あぁ、・・・そうでしたね。またあのスキル作成地獄の再来ですか。」
「大丈夫だって!今回は既存のスキルから良いとこ取りして作ればいいんだからさ!」
「まぁ、それでも大変でしょうが、主様が作ったみたいに職業に合わせて作れば良いかもしれませんね。」
「そうだね、職業が一番作りやすいよね。」
「まぁ、そうですよね。それとこのカードは出してもいいのですか?」
「ん?ダンジョンにって事?ユグが良ければ出して構わないよ。どのダンジョンに出すのかも任せるよ。」
「分かりました、ではあとは私の方で作ります。」
「うん、頑張ってね。また面白そうな事があったら来るから、じゃ~ね~、バイバイ!」
「はい、ご苦労様でした。」
「さてと、複合スキルの作成と、ダンジョンでの出現場所の検討を始めますか。」
「・・・司朗さんは気が付きますかね?」




