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世界でただ一人の種族はチートだった  作者: どんぺった
第1章 不如意なる人生
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第14話 ベア狩り

早朝の混雑時間を避けて、ギルドの食堂でゆっくり朝食を食べてから、常設の[肉採取依頼 ベア・ボア・ディア]を受けて城門を出た。



「さて、狩りに行く前に、城外に寄って行くか。」



決闘のあと、そのまま町に行って戻らなかったので、報告と今後の事を話しに行く事にした。



「よう!パーヴォ、おはよう!」


「シロウ来たのか。おっ、剣は買えたみたいだな!」


「あぁ良いのがあったよ!」



そう言うと子供が自慢するかの様に、腰の後ろに回してある剣を鞘ごと外してパーヴォに見せた。



「おぉぉ、あ?なんか変な形だな?・・・ってか、こりゃあ重鉄じゃねぇか!」


「お!さすが!一目で分かったか。ドワーフのおっちゃんの作った剣なんだよ!」


「あぁ、ゲゼルじぃのとこで買ったのか。」


「ゲゼル?ドワーフのおっちゃんの名前か?」


「・・・ったくまたおまえは、名前も知らなかったのか、呆れたもんだ。ゲゼルじぃはこの町一番の鍛冶屋だ。」


「ああ、なるほど納得だ!この剣もそうだけど他のも良かったからな!」


「当然だ!それで、今日はどうしたんだ?正式登録したんだから、今後は城内の依頼を受けるんだろ?」


「あれ?言って無いよな?」


「言わなくともわかる。・・・と言うか普通はそうなんだよ。」



パーヴォが言うには、城外の依頼は城内には入らずにできる仕事が主になる。


城外の個別依頼には、冒険者が狩った獲物を森から城内もしくは城外のギルドに運搬する依頼がある。


これは自分で獲物が狩れない冒険者や、パーティに怪我人が出て戦力不足になった場合に受ける依頼だ。


どの依頼も青銅貨数枚から銅貨1枚ぐらいの仕事で、フォレストリザードでさえ解体しなければ青銅貨8枚なのだから、収入を考えれば、誰でも城内の仕事をする事になる。



「あぁ、確かに俺もそう思ったから、今日からベア狩りでもしようか、とな。」


「いきなりベアかよ、簡単には見つからんから、初めはボアかディアにしといた方が良いぞ。・・・?」



そう言うなり、パーヴォは周りを見て不信な顔をした。



「・・・なあ、シロウ?他のメンバーは?」


「ん?いないが、どうかしたのか?」


「はぁ~!?おまえ!まさか1人でベアを狩りに行くつもりか?」



一般的なベアの狩り方は、1人が防御主体で注意を引きつけている内に、もう1人が攻撃する、そして3人目が周辺警戒と遊撃になる、つまりベアは通常3人で狩るものらしい。


狩れたとしても、ベアは重量が70kg~100kgもある、その巨体をどうやって1人で運ぶのか?と言われた。



「あぁ、確かに、考えて無かった。どうすっかな?」


「はぁ~、分かった、ちょっと来い!」



そう言ったパーヴォに連れられて、城外ギルドの受付に向かった。



「なぁ、ちょっと良いか?頼みがある。こいつにポーターを1人付けてやってくれ。」


「シロウさんにですか?こちらは構いませんが、説明はされましたか?」



エーリクはチラッとこちらを見てからパーヴォに確認したが、当然説明はされてない。


結局エーリクがポーターについて説明をしてくれた。


ポーターとは運搬する者であり、戦闘を行わせてはいけない、また襲撃された際は自分の身よりも優先して守る、もしくは逃走させる事が義務となる。


戻る際にはポーターと一緒に戻り、決してポーターだけに獲物を運ばせない事、これは獲物を横取りする人や魔物からポーターを守るためである。


ポーターの雇用は1日銅貨1枚で、運搬用の荷車を付ける場合は、荷車代で青銅貨2枚が必要になる。



「じゃあ1日に2回以上狩った場合とかはどうなる?」


「ああ、今までと同じ場合ですね。それなら心配いりません。雇用は”1日”ですので。」


「そうか、分かった。それじゃ誰かいるか?荷車付きで頼むよ。」


「ええ、いますよ。”タルヴォ”さん・・・と言いたいですが、さすがに冗談ですよ。」



タルヴォの名前が出た瞬間エーリクを睨んだ。



(いや、こいつ絶対本気だったろ!)


「コホン、そうですね、新人ですが”オスク”さんが宜しいかと。今まで何度もポーターのお仕事をされていますので、勝手も分かっています。」



そう言って紹介されたのは、新人のFランク冒険者で、仲間が怪我で療養中のため、1人でも出来るポーターの仕事をしているそうだ。



「オスクです、よろしくおねがいします!」


「ああ、よろしく。これからベアを狩りに行くが、大丈夫か?」


「はい!大丈夫です!」


「よし!じゃあ、行くか!」



エーリクとパーヴォにあいさつをして、狩りに出かけた。






狩場の森に着き、周辺感知でベアの反応を探したのだが、数が少ないらしく見つからない。


仕方がないので少し遠くまで足を運び、やっとの事でベアを見つけたので、これから狩りに行く事にした。



「ここから森に入るが、オスクはここで待つのか?」


「えっと、普段は森の外で待ってるんですが、ただ、そうなるとシロウさんが獲物から離れて僕を呼びに来るか、ここまで獲物を持ってくる事になってしまいますよ?護衛してくれるなら、一緒に行くのも構いませんが。」


(あぁ、なるほど、1人行けば狩ったあとで、呼びに戻っている時に獲物を盗られる心配がある、かと言って1人で運べるか分からない。逆に2人で行けば運ぶのは大丈夫だろうが、護衛をする必要があるし移動速度も遅くなる・・・と。それなら一度運べるかどうか試しせば良いか。)


「よし!まずは2人で行ってみる。森の中は大丈夫か?」


「僕も冒険者ですから、足手まといにはなりません!」


「分かった、それなら離れず付いて来い。」



それから森に入り山にいるベアの方へ、周辺感知で周囲を確認しながら移動した。



「いたぞ!」


「・・・なんか随分と簡単に見つかりましたね?まだ30分ぐらいしか歩いて無いんですが。」



当然ながら周辺感知については誰にも言っていないので、ベアに向かって一直線に進んで発見した事に疑問を持ったのだ。


しかし、ここで”偶然だ”などと言ってしまえば、今後がやりづらくなってしまう。


「いや、まぁ・・・それは秘密だ。それよりこれから戦闘だ、離れて自分の周辺を警戒して身を守れ!出来るな?」


「はい。大丈夫です。」


「じゃ、行ってくる!」



まず周辺感知で、オスクの脅威になりそうな魔物がいないか確認したが、問題はなさそうなので、今度は獲物のベアに意識を集中し、身体強化をかけてから風下から近づいていく。



「グァルルァ!」



流石にここまで近づけば、こちらに気付いた様で立ち上がって威嚇してきた。



「ふぅ・・・、デカいな。・・・よし大丈夫だ落ち着いてる。」



威嚇が効かなかったのが不満なのか、立ち上がった状態から前に倒れこみ、四足で走りながら突撃してくる、そして、直前で牙と爪で覆いかぶさる様に飛び掛かって来た。



(速度はタルヴォより上だが、それでもまだ遅い!)



自分より速度が遅く、攻撃が避けられるならば、まずは慣れる事を優先する。


その後、圧し掛かりを回避し爪の攻撃を剣で防御する、攻撃の隙を何度か見つけたが、まだ攻撃はしない、これは訓練だ。


ベアには悪いが、戦い方を学ぶチャンスなのだから。



「ふぅ~、そろそろか。」



そして疲れが見えて来たベアの圧し掛かり攻撃をサイドステップで右へ躱し、ベアの上に飛び上がり背中から心臓に向けて剣を突き刺して倒したのだった。



「・・・ふぅ。オスク!終わったぞ!」



結果は森に入ってから移動で30分と戦闘が30分で1時間で狩る事が出来た。



「すごいです。こんなに短い時間で狩れるなんて思いませんでしたよ。」


「あぁ・・・まぁそこら辺は、どうなんだろうな?それでこのまま運ぶのか?それとも血抜きはした方が良いのか?」


「そう・・・ですね、血抜きはした方が良いかと、それに一緒に内臓も抜いてしまえば軽くもなりますし。」


「わかった。じゃあ、そうするか。」



それからベアの腹を割いて内臓を取り出し血抜き処理をした。



「それじゃ、この棒に手足をかけて吊るして運びましょう。」


「ああ、そのためにその棒、持ってたのか。オスクの武器かと思ってた!」


「えぇ~、そんなわけないじゃないですか!こんな所じゃ使えませんし、そもそもただの棒ですよ!棒!」


「そりゃそうだ、悪かったよ。・・・さて、その前に俺1人で運べるか試したい。1人で運べればその方が楽だからな。」


「え?本気ですか?内臓を抜いたとは言え、かなり重いですよ?」


「まぁ、物は試しだ。ダメなら諦めるさ。」



まずは割いた腹が開かない様にロープで縛る、そして足が地面に付かないように手と足を近づけて縛って固定する。


最後にベアの脇の下からロープを通して、肩から背負う様にロープを掛けて背中合わせで背負う。



「すぅ、はぁ、・・・うぉりゃ~!おぉ!持ち上がったぞ!」


「・・・・・・はぁ、なんです?それ?・・・シロウさんて本当に人族ですか?」



何やらオスクが呆れているが、身体強化を使えば何とかなるか?と思っていた所に、自分でさえ最近は忘れていた種族の事を言われたので”ドキッ”としながらも惚ける事にした。



「・・・まぁ、そのくらいじゃないと、1人でベアは狩れないしな!・・・よ~し!帰るぞ!」


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