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世界でただ一人の種族はチートだった  作者: どんぺった
第1章 不如意なる人生
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第12話 武器探し

正式登録が済んだので、ギルドを出て受付嬢が言っていた宿屋を探す。


何をするにしても、まずは泊る所と食事を確保しておきたい。



「えっと、ギルドを出て城門に向かって右側って言ってたな。・・・って、隣りかよ!?」



右も何も隣りに在った、ここは冒険者御用達の宿屋で”トカゲの尻尾亭”と言うらしい、確かにギルドの隣りなら利便性は抜群だろう。



「・・・まぁ、良いか、泊れれば。」



建物は3階建てで1階はエントランスに受付があるだけで、食堂は無く作りは城外の宿泊所と変わらない。


奥にはトイレや洗体場(水で体を洗う場所)などがあるはずだ。



(この世界では普通なのだろうか?それとも冒険者ギルド関係だからか?)


「いらっしゃい!トカゲの尻尾亭へようこそ!」



宿屋に入ると受付の女性が声をかけてきた。ちょっと恰幅が良く、いかにも”女将”といった感じだ。



「泊れるか?」


「大丈夫だよ。1人部屋は1泊が銅貨1枚と青銅貨5枚で、食事は無しだが良いかい?」


「ああ、それで良い。それと、後で出かけたいんだが、部屋に荷物を置いといて大丈夫か?」


「置いとくのは構わないが、失くなっても対応はしないよ?」


「ああ、大丈夫だ。」



そして1泊分の銅貨1枚と青銅貨5枚を渡すと、女将が鍵を渡してきた。



「部屋は2階の7号室だ。出かける時は鍵は戻しとくれ。」


「分かった。」



そして部屋に入ったが、城外の宿泊所より少し広めの部屋でベッドもしっかりしてる、これならぐっすり眠れそうだ。


荷袋を机に置き中身を確認してから、買うものを思案する。



(剣は絶対に必要だが、あと携帯できる予備武器も欲しいな、服と防具は残金次第だな。)



取り合えず買うものを確認したので出かける事にした。



「すまん、ちょっと聞きたいんだが、武器は何処で買える?」


「武器屋なら大通りにあるよ、鍛冶屋なら城門を越えた先の城壁沿いに行けば何軒か並んでるよ。」


「そうか、分かった。じゃぁ行ってくる。」



そう言って、女将に鍵を返し出かけた。





まずは大通りに行って武器屋を探した、冒険者ギルドを通り過ぎて暫く行くと、大通りの右側にあった。


他にも服屋や雑貨屋などが並んでいる、まずは武器屋に入ってみた。



「いらっしゃいませ!どういった物がご入用でしょうか?」



声をかけて来たのは、武器よりも宝飾品を売ってるんじゃないか?と言うほど宝飾品に塗れた男だった。



(これで太っていれば立派な悪徳貴族だな。)


「ああ、剣を見に来たんだ。」


「剣でしたらそちらの一画になります。素材は鉄と魔鉄(まてつ)を使用した物ですが、良い品ですよ!」


「じゃあ、ちょっと見せてもらうぞ。」



それから1本づつ確認した、短剣・長剣・大剣それぞれの長さに、太さも同じように太・中・細に別れている。


品質は良くも悪くもない感じで、値段は一番安いもので銀貨4枚で、高いものは銀貨16枚になっている。



「なぁ店主、この高いのは全て魔鉄製か?」


「はい、魔鉄は鉄よりも流通量が少ない為、多少お高くなっております。ですが魔鉄製は鉄製より丈夫なので人気商品なんですよ。」


(魔鉄製の長剣は銀貨8枚、前と同じ鉄製の長剣なら銀貨6枚・・・か。)


「う~ん。ちょっと決めかねるから出直してくるよ。」


「畏まりました、またのご利用をお待ちしております。」



武器を妥協するのは危ないので、ここで直ぐに決めず鍛冶屋も見に行く事にした。






1軒目の鍛冶屋は安かったが、品質が悪く直ぐにダメになってしまいそうだった。


2件目は剣を扱っていなかった、日用品専門だそうだ。


そして3軒目の鍛冶屋はなんとドワーフの鍛冶師がやっていた。



「ここは坊主が来るような場所じゃねぇぞ!さっさとけぇれ!仕事の邪魔だ!」



開口一番これである。


店主のドワーフは身長は120cmぐらいだが腕も腹も太く力強い印象だ、髪は黒に近い灰色で髭はあるがさほど長くはない。


ドワーフと言うより”ちっさいおじさん”と言った方が近いかもしれない。



「はぁ、ここでもか。・・・坊主じゃないんだ、これでも26だ。」


「は?おめぇ・・・ドワーフじゃねぇよな?」


「そこまで小っさないわ!」


「がははは、そうかそうか。そりゃすまんかったな!それでどうしたんだ?」


「いやさ、剣が折れちゃってさ、替えを探しに来たんだよ。」


「折れただぁ!?」


「あぁ、今日バカに決闘させられてさ、小賢しい罠に嵌って思いっきり相手の大重剣を受け止めちまったんだよ。」


「そりゃ、大重剣なんぞ受けたら折れるだろうさ。はぁ、ちょっと見せてみろ!」



見せろと言われたので腰に差した長剣をドワーフに渡した。


店主が剣を鞘から抜くと持ち手から20cmほどの所で折れている、そして刃先も鞘から取り出しテーブルに乗せてじっくり見ている。



「まぁまぁ丁寧に扱ってたみたいだな、しっかし、ここまで綺麗に折れるとはなぁ。」


「そうなのか?」


「あぁ、折れるときってなぁ、剣が曲がって耐えられなくなって折れるもんだ、だがこいつぁ、ほぼ曲がらずに折れとる、どっちかってぇと”切られた”がちけぇな。」


「へぇ、そうなんだ、見ただけでそこまで解るもんなんだな。」


「あたりめぇだ!・・・それでどうすんだ?新しいのってつっても、これと同じのを作るなら、ちっとばかし時間がかかるぞ?それとも店の買ってくか?」


「作るのは、どのくらいかかる?」


「あ~、受けてる仕事もあっから、できんのぁ5日後だな、んで鉄なら銀貨3枚魔鉄なら銀貨5枚だ。」


「5日か・・・結構かかるな、ちょっと考えさせてくれ、それと取り合えず店のを見せてもらって良いか?」


「おう!良いぜ、店にあんのは好きに見てくれや!」


「そうさせてもらうよ。」



残金は銀貨9枚・銅貨9枚・青銅貨2枚だ、鉄製でも魔鉄製でも買えるが、5日間仕事ができない。


さっきの武器屋なら銀貨6枚で直ぐ購入可、ここなら銀貨3枚で5日後になる、一長一短がある。


滞在費用を踏まえると、結局どちらもそう変わらない金額になる、となれば、後は品質で決めれば良い。




暫く見ていたがやはり品質はここの方が良い。




今後を考えると、鉄製の長剣では中型の生物までにしか対応できないので”長く”か”重く”する必要が出てくるだろう。だがそうなると”長重剣”か”大剣”となってしまい扱いづらくなる。



「なあ、おっちゃん!重鉄(じゅうてつ)の剣って無いか?」


「ああ、あるぞ!ちょっと待ってろ、すぐに持ってくらぁ!」



そう言うと、店主は奥の倉庫から重鉄特有の黒味の強い銀灰色の剣を3本持ってきた。


重鉄とは鉄の倍の重さで高硬度の鉄だ。



「重鉄の剣はこの3本だけだ。」



持ってきた剣の1本目は、全長50cm刃渡り40cmの短剣で、両刃のナイフを大きくした形状をしている、重量はこのサイズでありながら鉄製の長剣とそれほど変わらない。


2本目は、全長80cm刃渡り60cmと少し短い長剣で、先端に行くほど細くなる一般的な形状だ、重量は長剣の倍。


3本目は、全長100cm刃渡り80cmと少し長めの長剣だ。


刃が内側に湾曲した形状で、根元から2/3は片刃だ、刃先の部分は幅が内側に膨らんだ両刃で、先端は鋭く尖っている、これは斬撃を重視した剣になる、重量は長剣の2.5倍。



「形もそうだが、片刃なんて珍しいな。さっき武器屋も見てきたが、こんなの無かったぞ?」


「ああ、そりゃないわ!武器屋は商人だ、変わり種のもんはおいてねぇさ!売れなきゃ損すっからな!」


「ああ、そりゃそうだ。・・・んで、こいつはいくらだ?」


「ん?買うのか?買うなら銀貨6枚で良いぞ!」


「銀貨6枚って、重鉄なのに安くないか?」


「そいつぁ、かなり昔に腕試しに作った剣でなぁ、扱いづらいってんで、結局売れなかったんだ、まぁ、不良在庫ってやつだな!がっはっは!」


「・・・売れなかったねぇ、まぁいいや。それでこれにしようかと思うんだが、その前に試し切りできるか?」


「ああ、いいぞ、それなら店の裏に場所があんぞ!ついて来い!」



それから店の裏に行き、用意された案山子で何度か試し切り用をした。


通常の長剣とは違い、この剣は重心が剣先にあるため、慣れないと確かに扱いづらい。





「おぉぉ!良いねぇ、抵抗なく切れる、長剣とは違うなぁ。」


「はっ!あったりめぇだ!この俺が作った逸品だぞ!しかも、重鉄だから手入れも楽なもんだしなぁ。」


「おっちゃん!これにするよ!」


「おう!まいど!」



剣と共に、全長30cm刃渡り20cmの鉄製のナイフを、銀貨1枚で購入して店を出た。







「・・・う~ん、ククリ刀?・・・マチェット?・・・いやファルカタかな?・・・デカいけど。」


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