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対戦相手の決め方

 ミアの提案で復学したラーンの身辺調査をする事になった一同は、一先ず寮に入って身支度を整え、動きやすい格好へと衣装を変えた。と言っても、ルニィたち侍従は相変わらずのメイド服で、どこが違うのか分からないのだけども。


「まずは騎士王国の寮に行ってみるのじゃ」

「え? 寮に……行くのですか?」

「ミアお嬢様。いくらなんでも流石に怪しまれるのではないでしょうか? まずは彼女と仲の良い生徒にお話を伺うべきです」

「オレも侍女長の意見に賛成」


 何から始めるかとなった直後に出たミアの言葉にネモフィラが驚き、ルニィとルーサが否定する。しかし、ミアにも勿論だけど考えがある。


「それはルニィさん達に任せるのじゃ」

「私共にですか?」

「うむ。聞き込み調査はルニィさん達侍従に任せて、寮へはワシとネモフィラとルーサ、それからユーリィとニリンで向かうのじゃ。ヒルグラッセさんとチコリーはルニィさん達の護衛をお願いするのじゃ。何かあってはいかんからのう」

「と言うと、我々も聞き込みに回るんですね」

「うむ。メイクーさんにもすまぬが、ルティアさん等の護衛をお願いするのじゃ」

「かしこまりました」


 ミアの提案で二手に別れる事になり、ネモフィラの侍従も聞き込み調査に向かう事になる。

 因みに、この場にはブラキやカナやモーナやフレッドはいない。ブラキは知っての通りサンビタリアの婚約者発表からの質問攻めの再開で、只今大変な事になっている。試合中だったから話が一時中断していたのもあり、先程までの試合で熱せられた興奮も加えられて、とんでもない数の質問を投げかけられていて半泣きになって答えている所だ。

 カナやモーナやフレッドはそれとは別で、彼女たちは元々天翼会の者なので絶賛お仕事中で忙しい。今回のお仕事は、勿論トレジャートーナメント関係のお仕事で、試合会場の状態チェックやら何やらだ。試合が始まれば自由時間だけれど、試合が終わると、こうして忙しくなるのである。尚、カナとフレッドはモーナの手伝いをしているだけなので、実はやらなくても良かったりする。


「ミアお嬢様。くれぐれもお気を付けください」

「うむ」

「ルーサ。それからユーリィとニリンも頼んだわよ」

「おう」

「お任せ下さい。この身が裂かれて死んだとしても護ってみせます」

「はい。ミア様とネモフィラ殿下の仲は誰にも邪魔させません」

「え、ええ」


 ユーリィは大袈裟だし、ニリンはニリンで何やらおかしな事を言っている。ルニィは若干の不安を覚えつつも、一先ずルーサがいるから大丈夫だと自分に言い聞かせて頷いた。

 そうして二手に別れると、ミアは早速騎士王国スピリットナイト寮へと向かう。車椅子を押す係は話し合いの結果ニリンになり、ユーリィは少し落ち込んでいる。

 何故ニリンなのかと言うと、いざと言う時にルーサだけでなくユーリィの“せんぷーなわ”が必要になるかもしれないからだ。敵地と言うには大袈裟かもしれないけど、そう言ってもおかしくない場所に行くのだから仕方が無いのである。


「スピリットナイトの生徒は第三試合からですし、試合を観戦する方も少ないのでしょうか?」

「どうだろうな。他国が一番注目してる国はミアがいるオレ等のチェラズスフロウレスだろうし……あ。そう言えば試合の形式上、オレ等とスピリットナイトが戦うのは決勝なんだよな」

「そうなのですか?」

「うむ。ワシ等は第一試合で第二位と第五位の上位国とあたったじゃろう? 恐らくじゃが、第二位と第一位の試合を遠ざける為に、決勝で試合になるように調整されておるのじゃ。だから、二位と試合したワシ等も、結果的に同じように決勝まであたらぬようになっておるのじゃろう」

「成る程。一位の国と二位の国が第三試合で戦ってしまっては、第三試合が決勝戦の様になってしまうかもしれません」

「そう言う事じゃ」


 さて、そんなミアの考えは、概ね正解と言って良い。

 毎年ではないけれど、少なくとも今回のトレジャートーナメントの試合の順番は、去年の上位国である一位と二位と三位が最初に試合の何回戦目に戦うかを決められた。そうして三つの国が決勝でしか当たらないようにされたのだ。

 因みに、試合中に話題になった対戦相手には魔力を読める相手を選ばれたと言うミアの考えだけど、それは間違いだ。四位と五位を含めて、残りの国はくじ引きで決められている。ただ、四位と五位も優勝候補だ。この二つの国まで一緒にくじの中に入れたのは、生徒等にはランダム性を見せる役割を持たせる為と言う理由がある。

 その結果くじ運の悪かったチェラズスフロウレスが、二位と五位に挟まれてしまったわけであり、魔力を読めるかどうかは関係無い。そして、天翼会の関係者以外にはそれを知る術は無く、ミアたち以外の生徒の殆どが、聖女の実力を各国の王族や貴族に見せる為だと思ったようだ。

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