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TS転生のじゃロリじじい聖女の引きこもり計画  作者: こんぐま
第十章 錬金術と長寿の王
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続・決戦演舞(2)

 神王が放った黒く蛇のように伸びる魔力の塊。それがユーリィたちを襲い、ミアは焦りながらもミミミピストルで白金はくきんの光の弾丸を放つ。

 寸でで全てを撃ち落とす事に成功したけれど、でも、ミアは生きた心地がしなかった。


「ユーリィ! 一旦撤退するわよ!」

「え? でも――」

「ミア様を困らせたいの!? 私達がいたら邪魔なのよ!」

「――んもう! 分かったわよお!」

「アンスリウム殿下も良いですね!?」

「あ、ああ。分かった」

「わん!」


 お利口さんのクッキーは言われなくても状況を見て察する。ニリンがユーリィとアンスリウムにこの場を去る事を提案すると、直ぐに自分もと駆け出した。

 しかし、彼女たちを神王は見逃すつもりが無いらしい。大鎌を振るい、それと同様の斬撃がユーリィの目の前に現れた。


「さっせえええっっぬ!」


 ユーリィを背中で押しのけるように前に出て、ミミミピストルで斬撃を防ぐ。しかし、威力を受け流す余裕が無かったのと勢い余って足を滑らせてしまい、そのまま斬撃の重みで背中を地面に叩きつけられた。


「ぐげっ」


 汚い悲鳴を上げて転がったミアを、更に追い打ちの斬撃が襲う。しかもそれは一度や二度ではすまない数。

 ミアは慌てて仰向けからうつ伏せになり、そのまま地面をうようにしてげて難をのがれた。正直言って聖女として、その攻撃の避け方はどうなの? と疑問に思えるような不恰好なものだけれど、ミアにとってそんなものは関係無い。避けたもん勝ちなのである。


「ミア近衛騎士嬢!」

「ぅひい! こっわ! 死ぬかと思ったのじゃ!」

「聖女とは思えぬ程に醜い姿だな」

「だあかあらあ! ワシは聖女では無いのじゃあ!」


 ミアがミミミを魔法補助モードに変身させて、白金に輝く光のコマ……ベーゴマを出現させる。そして、それをこれまた白金に輝く光のひもで巻きとり、素早く手前に引いて投げ放つ。

 それはまさに昔の日本の子供の玩具。しかし、少し様子が違う。光の粒子をき散らして回転し乍ら突き進み、周囲に魔力を放出して神王へと向かって進んだ。

 神王は初めて見るベーゴマの形をしたそれを警戒して、自分の許へ光のベーゴマが届く前に大鎌を振るって真っ二つに斬り裂いた。


「かかったのじゃ!」

「――っ」


 光のベーゴマが真っ二つになると、その直後に光の粒子となり、拡散。無数に拡散された粒子は意思を持つように動き出し、それ等は神王を目掛けて飛翔した。


「面白い。しかし」


 神王が口角を上げ、それと同時に拡散された光の粒子が神王を襲う。

 だけど、やはり通じない。神王を護る結界がそれら全てを四散させて、全ての粒子が消え去った。

 でも、ミアだってそれだけでは終わらない。持ち前のスピードで急接近して、ミミミピストルの銃口を神王の額にピタリとくっつけた。


「この距離ならどうじゃ!」

「詰めが甘い」

「ぬ――おおおおお!?」


 確かに甘い。ミミミピストルは魔装ウェポンであり、それ故に破壊される事が無い。でも、それはミア自身には適応されないのだ。

 神王の額に銃口を触れさせたと言う事は、逆に言えば神王の大鎌を直接食らう距離にいる。ミアが引き金を引くより早く神王が大鎌を振るい、ミアは慌てて回避行動に出るしかなく、悔しくも神王と距離を取らざるを得なかった。


「くんぬううう! 後もうちょっとだったのになのじゃあ!」

「今のをかわしたか。流石と言っておこう」

「これでも喰らえ!」


 声を上げ、神王に向かって魔装ウェポンを放つ。それをした人物はハッカだ。

 彼女はまだ逃げずにこの場に残り、攻撃するチャンスを狙っていた。そして、今がその時とボウガンの矢を放つが、神王の腕に突き刺さる直前で大鎌で撃ち落とされてしまった。


「ハッカ! 何をしておる! お主も……って、ユーリィ達も早く逃げるのじゃ!」

「「は、はいい!」」

「私は逃げない! 正義は悪に屈しない!」


 ユーリィとニリンは元々この場を去る気でいたけれど、ミアと神王の戦う姿に圧倒されて動けなかっただけだ。だから、アンスリウムとクッキーは既にこの場にはいなかった。

 しかし、ハッカは違う。正義馬鹿の彼女は、悪と認識した神王を前にして逃げる事なんて出来ないのだ。例え神王が自分よりも圧倒的な強さを持っていたとしても、それがハッカと言う少女だった。

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