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TS転生のじゃロリじじい聖女の引きこもり計画  作者: こんぐま
第八章 水の掟と闇の貴族
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次期当主の苦悩の始まり 前編

 水の国アクアパラダイス。水の国と言っても水中にあるわけでは無く、人々が暮らしているのは陸の上だ。しかし、全てが全てそうでは無く、魚人だけが暮らす町や村は海の中に存在している。それに水の国と呼ばれるだけあり水は豊富で、様々な種族が生活している。

 この国は御三家と呼ばれる三つの公爵貴族が国王の名の下に治めていて、御三家にはそれぞれに領土が与えられ、各々がその領土を管理し毎月集めた税金や品などを国王に納めている。つまり領土だけで表すと三つしか無い小さな国でもあり、広さを例えるなら北海道くらいの大きさだ。だからこそ三つの公爵貴族だけで管理出来ているとも言える。

 そんな小さな国の御三家の一人ベニー公爵の跡継ぎベギュア=ベニーは、天翼学園に通い次期当主として様々な分野を極めて将来に役立てようと日々努力していた。しかし、そんな真面目で努力家の彼にもそれ等を台無しにする程の欠点がある。

 それが水の国で古くから存在する平民を人とも思わぬ所業……差別だ。ベギュアはその思想を物心のつく頃から植えつけられていて、平民を奴隷や物のように扱っている。そしてその対象にはミアの友人となったクロやアオやアカやアイたちも含まれている。四人を平民だと馬鹿にし差別していじめの対象とし、数々の嫌がらせをしてきたのだ。

 そして、彼は自分の手を汚さない。全てを自分より下の爵位の生徒、部下に任せて、その様子を見て嘲笑っているのだ。彼のしている行為は胸糞悪いと言っても過言では無く、時には一歩間違えれば命に係わる事もさせていた。だけど、彼はいずれ後悔する事になるだろう。いつかそれ等の行為が、むくいとなって自分を苦しめてしまうのだから。


「ミア=スカーレット=シダレ……か。まだ六歳だとあなどっていたが、中々に食えない子供だな。部下の何人かに奴の邪魔をしろと命令を出しておいたが、中々上手くはいかないだろうな」


 時を少しさかのぼり、ここはアクアパラダイス寮のベギュアの部屋。無駄な物は一切必要としない彼の部屋は随分と質素で、あるのは自習や予習で使う机と椅子や寝る為のベッドだけ。衣装などは別の部屋を衣裳部屋として使っているので、本当にそれだけの部屋である。と言っても、それも元々は平民用の部屋。平民に部屋は必要無いと追い出して、そこを衣裳部屋にしたのだ。

 さて、そんな自分勝手な貴族である彼、ベギュアは紅茶を飲み乍ら、びっしりと文字が書かれている書類に目を通していた。そしてその書類は彼が部下や侍従たちに調べさせたミアについての情報だ。


「あの歳で既に一年の中で成績一位。全ての分野で飛び抜けた成績をおさめている。公爵令嬢では無く公爵の爵位を持ち、チェラズスフロウレス出身とは思えない程に異例の強さを持つ。新入生歓迎会で言っていた事も本当かどうか……。やはり謎は謎のままか」


 ベギュアの言う謎。それはミアの強さの秘密だ。

 ミアが強い理由は聖魔法が大きく関係しているのだけど、それは天翼会までもが協力して厳重に隠されている為に分からない。唯一目に見えて原因だと思われる魔装ウェポンも普段ミアの髪飾りになっているし、そもそも魔装ウェポンは持ち主本人にしか扱えない品物。例え盗み出したとしても、それを調べる事は創造主であるジェンティーレ以外は不可能なのだ。もしベギュアの侍従がとても優秀だったとしても、これ等を調べ上げる事なんて絶対に出来ないだろう。そして、それはベギュアも分かっていた。


「次の報告は…………何? チェラズスフロウレスが聖獣の子供を親睦の証として貰う? しかも今日だと? おい。これは本当か?」


 ミアが……では無く、チェラズスフロウレスが聖獣を受け取るとベギュアが見た書類には書かれていた。ベギュアはそれを見て、直ぐに側にいた侍従に確認する。すると、侍従は直ぐに「恐らくは」と返事を返し、ベギュアは目を吊り上げた。


「ならば茶を飲んでいる場合では無い。陛下も聖獣あれを手に入れればお喜びになるだろう。行くぞ。何としてでも聖獣を我等水の国のものとする。直ぐに陛下に連絡する準備をしろ」

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