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TS転生のじゃロリじじい聖女の引きこもり計画  作者: こんぐま
第六章 王位継承権の行方
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魔力操作能力を高めよう

 食後の休憩も終わり、午後の授業が始まる。今日の午後の授業は魔法の練習時間で、この時間だけ特別にジェンティーレがネモフィラを指導する為にやって来ていた。だから、ミアが授業を受ける必要が無い。なんて事には逆にならなかった。


「ぬう。ワシは見物でも良いと思うのじゃ」

「駄目よ。ミアは確かに同世代と比べたら優秀だけど、私から言わせてもらえば他と比べて魔力コントロールが極めて下手なの。正直その点で言ったらフィーラの方が優秀なくらいよ」

「とても嬉しいですけど、それは言いすぎです。ジェンティーレお師匠様」


 ネモフィラが冗談を言われたと思って微笑んだけど、そうでは無いらしい。ジェンティーレは真面目な顔をネモフィラに向けた。


「言いすぎじゃないわ。フィーラは残念だけど魔力が少ないし魔法の才能は無いのよ。でも、何故か魔力をコントロールするのだけは得意なようなのよね」

「え……? そうなのですか?」

「ええ。と言っても、それは能力スキル【ラビットテイル】を使っていれば、と言う条件付きよ」

(まあ、あくまでも個人の能力値全体の平均値から見ての話だから、実際はミアの魔力コントロールの精度の方が上なんだけど、それを言ったらミアがつけあがるだろうし黙っておくのが正解ね)

「つまり……わたくしのラビットテイルは魔力操作能力上昇効果の能力スキルだったのでしょうか?」


 ジェンティーレがミアを調子づかせないように一部黙っていると、ネモフィラがラビットテイルの剣を出現させる。見た目は変わらず細身の剣のままで特に変わった所は無い。ただ、魔力コントロールがメインと聞いた後に見ると、なんだか切れ味が大した事無さそうに見えてくる。


「とにかく、ミアは魔力コントロール能力を鍛えなきゃ駄目よ。学園に通う事になったんだから尚更ね」

「ぬぬう。ミミミ魔法補助モードでそこはどうにでもなるのじゃ」

「それに頼っていたら戦闘モードでは使えないじゃない。今まではどうにかなってたかもしれないけど、学園に通い始めたら通用しないよ」

「ぬぬう……」

「あ、あの……ミアでも通用しないなんてあり得るのですか?」

「天翼会のメンバーでも手を焼く天才児とかもいるからね。知っていると思うけれど、学園に入れば国の名を懸けた寮同士の試合もあるし、今のミアならその時に足元をすくわれるかもね」


 ジェンティーレの目を見れば、それが冗談では無く本当の事だと分かる。ネモフィラはその事に驚いたけど、それでもミアはやる気が無かった。すると、そんなミアにジェンティーレが止めの一言は放つ。


「魔力コントロールをおろそかにしていたら、魔力の流れを読める相手と対峙した時に一瞬で聖魔法の事がバレるわよ」

「――っの、のじゃあ!? ど、どう言う事なのじゃ!?」

「当然でしょう? 貴女が魔装ウェポンを使った後の残留した魔力を読み取れるように、それが出来る人間は学園に行けばたくさんいる。魔力コントロールを極めれば、魔装ウェポンを使った後の残留魔力さえも操作出来る。だから、聖魔法を隠し通したいなら、必死でマスターしなさい」

「やってやるのじゃああああ!」


 まさに単純。ジェンティーレの口車? にまんまと乗せられて、ミアは魔法の授業始まって以来の本気を出す。そんなミアに負けじとネモフィラもやる気を出して、魔法の特訓が始まった。のだけど、やる気を出したネモフィラにジェンティーレが厳しい現実を突きつける。そしてそれは、今日の魔法の授業が終わりを迎える頃の事だった。


「長い旅の間でどう変わったのかと様子を見て分かったわ。フィーラ。貴女は戦闘や戦闘補助の魔法は本当に向いていないね」

「わたくしには本当に才能がないのですね……」

「残念だけどね。でも、日常系の魔法の才能はあるかもしれない」

「日常系の魔法ですか……?」

「ふむ。そう言えば、フィーラは風の音を気にせずお喋りできる魔法は普通に使えるのじゃ」

「そう。それよ。そう言う日常で使う魔法は覚えが早くて精度も高いの」


 今までの魔法の修行は、ミアをフォローする為に攻撃系だったりバフデバフ系だったりと、日常で必要な魔法は殆ど無かった。でも、ミアが普段やらない魔力コントロールを修行していたのを見て、ネモフィラも普段やらない日常系の魔法の修行をしてみたのだ。すると、思いの外に上手くいった。ジェンティーレはそれを見て、これはやる気だけの問題では無いと見抜いたのだ。

 実際にそれは当たっていて、ネモフィラは戦闘系の魔法よりも、日常で使う魔法の方が得意だった。今までそれに気が付かなかったのは、魔法の授業では天翼学園で行われる実戦を交えた行事に備えた授業が殆どで、戦闘で使う魔法ばかりを習っていたから。それに、生活面では侍従たちが身の回りのお世話をしていて、魔法を使う機会が全く無かったからだ。


「ミアのお役に立てる魔法では無かったですけど、それでも全部が駄目と言うわけではなくて嬉しいです」


 そう言ってネモフィラが嬉しそうに満面の笑みを見せると、ミアも何だか嬉しくなって笑い合った。

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