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TS転生のじゃロリじじい聖女の引きこもり計画  作者: こんぐま
第五章 聖女と歩む異世界旅行
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羽ウサギ

 ミアの持つ魔装ウェポンミミミの正式名称は【羽ウサギ(ホーミングトリガー)】である。“ミミミ”と言う名前はあくまでもミアが自分の魔装ウェポンに付けた名前で、魔装ウェポンの正式名称では無かったのだ。そしてその力は、ホーミング機能付きの弾を発射出来ると言うもの。今まで使っていなかったのは、避けられる事も無いので使う必要が無かったからである。他にも色々とある機能は、魔装ウェポンを製作しているジェンティーレがミアを特別視していて、羽ウサギ(ホーミングトリガー)だけを特別なものにした結果なのだ。

 しかし、それはそれとして一つ疑問が残る。それは、ここが潜水船の中である事だ。ミアはここからシャークスネークを狙い撃ち、そして仕留めた。普通であれば、潜水船にも穴が開いてしまう。だけど、その答えは簡単な事だった。


「ミア。魔石の魔力の弾ではなく、もしかして白金はくきんの光で弾を作ったのですか?」

「う、うむ」


 こそこそとネモフィラがミアに話しかけ、ミアもこそこそと頷いた。と言っても、隊長は驚きすぎて未だに窓にしがみついているし、二人の会話は全く耳に入ってこないのだけども。


「ジェンティーレお師匠様に止められていますのに……」

「ぬう。仕方が無いのじゃ」


 ミミミピストルに籠めたのは白金の光の弾丸。透明な窓なら簡単に通り抜ける事が出来る光だ。ミアは船の窓を壊す事の無いように光の弾丸を撃ち、直後に弾の貫通力を高めてシャークスネークを仕留めたのだ。そんな事は絶対に不可能だと思うかもしれないが、やってしまったのだからどんな理屈も通用しない。流石は魔法のある世界と言うべきか、あらゆる法則を無視した凄技すごわざである。


「でも、良かったですね。ミア」

「何がじゃ?」

「だって、皆さん気がついていないみたいです」


 ネモフィラが隊長や窓の外に視線を向けて、ミアも視線の先を追うように目を向ける。すると、確かにその通りだった。隊長や騎士たちは本当に何があったのか分からず驚いていて、光の弾丸が見えていなかったのだ。

 しかし、それもその筈。白金の光の弾丸の速度は、普通の光の速度を軽々と超えている。平凡な実力しか持たない彼等に見えるわけがないのだ。そしてそれは、ネモフィラ自身が証明している。

 ネモフィラが最初にミアに言ったのは“もしかして白金の光で弾を作ったのですか?”だ。“もしかして”から分かるように、ネモフィラは聖魔法を知っているからこそ分かっただけで、全く見えていなかった。以前ブレゴンラスドではミアの攻撃を何度も見られてしまっていたが、結局のところ、それだけ見た相手の実力が高いと言うだけなのである。そうでなければ、サーチライトなどの探索用の周囲を照らす光でも無いかぎり、ミアの放つ白金の光の弾丸を目で追えるわけがなかった。


「ミアと言ったな?」


 不意に、窓にしがみついたまま隊長がミアに話しかけ、直後に窓から体を離して目を合わせた。ミアはビクリと体を震わせて、バレてしまったのかと徐々に恐怖でプルプルと震えだす。しかし、そんな心配はいらないようだ。


「その魔装ウェポン……そうか。君も被害者の一人だったのか」

「う、うむ……?」


 隊長はミミミピストルに視線を向けて悲しそうに眉尻を下げると、視線をミアに移して目を合わせる。


「話は聞いている。旅商人に変装していたヘルスターに騙され、魔装ウェポンを売りつけられた者の一人なのだろう? 奴は何も知らない少女にも売りつけていたと聞いた事がある。本当に許せない男だ」

「そ、そうじゃのう」

(なんか勘違いしてくれてるのじゃ。ふう。バレてしもうたのかと思って焦ったのじゃ)

「先程は無礼な態度を取ってしまい申し訳なかった。やはり魔装ウェポンと言うのは凄いな。私には何が起こったのか分からなかったが、まさかここまでとは……」


 ミアが異常なだけだけど、それを説明する必要もない。ミアは安堵して「うむ」と笑顔で頷き、ネモフィラが隣でニコニコと嬉しそうな笑顔を見せる。


「うふふ。ミアは本当に凄いのです」

「仰る通りで。お恥ずかしながら、己の未熟さを痛感致しました。しかし、流石は殿下の近衛騎士と言うだけはありますね。この若さでこれ程とは。この者ならば、殿下の護衛として申し分ないでしょう」

「はい」


 ネモフィラが嬉しそうに微笑み、隊長も笑みを見せた。

 こうして、シャークスネーク退治は無事に終わり、ミアたちはブルーガーデンへと帰るのだった。因みに、ミアたちは退治したシャークスネークの肉を少し貰って、シェフのグテンやカウゴに料理してもらい美味しく頂いた。そして、シャークスネークを食べたミアの感想は「鳥と白身魚を足して二で割った感じなのじゃ」という何とも語彙ごい力に欠けた感想だった。

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