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TS転生のじゃロリじじい聖女の引きこもり計画  作者: こんぐま
第五章 聖女と歩む異世界旅行
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平和な旅路

 港町ブルーガーデンはチェラズスフロウレス領内の海の底にある。フィッシュラベンダーが咲く綺麗な風景を見せるこの港町に入る方法は二つ。一つは潜水船で入港する方法で、もう一つは地上と繋がる海中トンネルを通る方法だ。出入が不便だと思われがちなこの町だが、実は意外と言う程不便でも無い。

 王都や大きな町、それに他国に入国する時などは、そこに入る為に門まで行って必ず許可証を門番に見せる必要があるからだ。以前、ブレゴンラスドからモノーケランドにドラゴンで向かった時は緊急だった為、その役をブレゴンラスドに頼んでいた。だから、とくに気にする事無く国境を超えていただけに過ぎなかったのだ。

 つまり、こういった不便に見える港町とそれ等が必要になる王都や町なども結局は同じで、用意されている出入口を通る必要があると言う事。一本道である海中トンネルは、言わば平野にある町まで続く道と大して変わらないのである。それに、この海中トンネルは意外と中々に通る者達を楽しませる。

 何故ならトンネルの壁が魔道具マジックアイテムで出来ていて、ガラス張りのようになっているから、海の中を見て楽しむ事が出来るからだ。これを楽しむ為に潜水船を使わずに態々(わざわざ)チェラズスフロウレスに入国して、トンネルを通って観光する観光客もいるくらいには、それなりに人気のスポットでもあった。

 さて、そんな海中トンネルだが、地上から町まで馬車でおよそ二日程時間がかかる。それだけ長いトンネルと言うのもあり、高速道路で言う所のパーキングエリアのような場所が幾つか用意されている。そして、トンネルの丁度中間地点にある場所で、ミアたちは宿をとっていた。


「ふおおおお! 海底で食べる海の幸はまた格別なのじゃあ! シェフを呼んでくれなのじゃ!」

「ミアお嬢様。はしたないので静かに食べて下さい。それと、シェフは陛下がお二人の為に連れて行くように仰って下さったグテンとカウゴの二人です」

「そうじゃったあ。じゃあ、グテンとカウゴを呼んでほしいのじゃ!」

「承知しましたから、食事中は静かになさって下さい」

「はいなのじゃ」

「うふふ。ご飯を食べてるミア、とっても可愛いですね」

「はい~。眼福でございます」


 宿の屋上にある青い海を見上げながら食事が出来るレストランにて、テーブルの上に並べられた美味しそうな料理の数々。どれも新鮮な魚が使われていて、ミアが美味しいとあれもこれもともりもり食べまくっている。

 そんな姿にルニィが頭痛がする思いでミアと話し、ネモフィラとメイクーが微笑んでいた。そんな彼女たちをヒルグラッセが周囲を警戒し乍ら見守っている。城のシェフのグテンとカウゴは宿の厨房を借りて料理を作っていて、ルティアがその料理を運んでいた。そんなわけで、以上がミアが連れて来たメンバーである。

 他にも、ランタナやリベイアやミントが一緒に行きたいとお願いしたけど、長旅になるから連れて行けないと断った。しかし、それもその筈だ。

 今回の最終目的であるクリマーテたちがいるであろう魔人の国ディアボルスパラダイスまでは、片道で三ヶ月もかかってしまうのだから。ブルーガーデンまででも一月ひとつきかかってしまう程に遠く、既に城を出てから一ヶ月近く経過している。しかも、これはあくまで移動にかかる時間なので、人捜しをすれば更に時間はかかってしまうだろう。

 そのせいもあって、ネモフィラが一緒について行くと言った時は大騒ぎになっていた。ウルイが絶対に駄目だと怒り、アグレッティも心配で寝込んでしまう。しかし、サンビタリアが味方してくれたおかげで、ネモフィラはミアに同行する許可を勝ち取ったのだ。


「メイクー。ちょっと……」


 不意にヒルグラッセがメイクーに話しかけ、振り向いたメイクーが真剣な面持ちになる。二人は離れてコソコソと話し始めてメイクーが頷き、ヒルグラッセが持ち場を離れた。その様子をネモフィラが見て「なにかあったのですか?」と心配そうに尋ねると、メイクーが真剣な面持ちのまま頷いた。


「お腹が痛いそうです」

「お腹が……」


 ネモフィラはどんな事件が起きたのかと考えたけど、理由は腹痛。その答えにネモフィラは目をパチパチと瞬きして驚き、ミアがズズズと茶をすすって息を吐き出す。


「平和なのじゃあ」

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