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峻烈のムテ騎士団  作者: いらいあす
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第八話 今更の世界観説明 その6「100点」

 次の日、ベバニーは同僚である胸がすごいというリボンの子に揺り起こされた。


「ちょっと、いつまで寝てるの」

「あ、レイボンさん。おはようございます」


 リボンをつけたレイボンさん。微妙に覚えづらい名前だね。


「あれ? お客様は? ていうかもう朝?!」

「寝ぼけてる場合じゃないわよ。店長が夜逃げしたって」

「はあ!?」


 ベバニーはことの顛末を聞かされる。

 朝起きたら、エルフの客、つまりはバーベラから店長は二度と戻ってこないことを教えられ、そして全員にチップとしてお金を置いて去っていったという。


「なんかその人が言うには、新しい経営者を送るから残りたい人は残ってもいいってさ。

 でも、みんな結構貰ったからこれ持って田舎に戻るとか、町で他の仕事見つけるとか言ってるけど」

「レイボンさんは?」

「私は考え中。そりゃあお金あるならこの店は去りたいけど、帰る場所もやりたいこともないしさ。

 そういうあんたはどうするわけ?」

「僕はお金貰ってないですし」

「え? でもアレはあんたのじゃない?」


 レイボンの指差す方に目をやると、壁に描かれた地図の下に硬貨がたくさん積まれているのが見えた。


「わっ! こんなに貰えるんですか!? あの人達何者!?」

「早くしまわないと誰かに盗られるよ」

「は、はい!」


 壁まで寄って硬貨を拾うベバニー。すると、地図の下に文字が書いてるのが見えた。


「“100点とってみな”か」


 その文字を読みながら、壁の地図の境界線をなぞってみる。


「レイボンさん……僕、旅に出ようと思います」

「旅? いいね。私もついて行ってもいい?」


 ベバニーは重い決心を伝えたつもりだったが、レイボンはその重さの何十倍の軽さで返答した。


「え? ふーん、本当になんかできちゃうんだな仲間って……」

「今なんて?」

「なんでもないです。それよりいいですよ。一緒に行きましょう。

 僕も一人じゃ不安でしたし」

「やった! じゃあ早速準備しよう」

「そういえばあの人達の名前聞いてなかったな」

「ちゃんとした名前は私も聞いてなかったっけど、でも自分達はムテ騎士団だって名乗ってた」

「ムテ騎士団か。いずれどっかで会えるかな? 会えるよね」


 こうしてベバニーとレイボンは旅に出た。その日は雲ひとつない快晴の天気であった。

 一方そんな青空の中、バーベラはデーツを背負って走っていた。ただし、高速で動くと会話できないので、時速100キロ程の速度でだが。


「本当にあのゴキブリ野郎を放ってよかったの?」

「ああ。売人は泳がせた方が顧客の動きがよくわかる」


 デーツはそう言いながら、奪ったマダラ麻の葉が詰まった袋を、遠くの泥沼に目掛けて投げ、袋はそのまま沈んでいった。


「でもかなりの雑魚ぽかったよ? 例の名簿に載ってる連中全員を取り押さえるのは、まだまだ時間がかかりそう」

「そうは言うけど、その中から風俗店を優先して潰したいって言ったのはお前だろ」

「それはそうなんだけどさ。

 でもやっぱり僕は許せないんだよ。薬を使って女性の尊厳を踏みにじる連中が。わかってるでしょ?」


 デーツはバーベラの怒りに対して、それ以上は語らなかった。


「それより団長。なんだか楽しそうにしてたけど、何か面白い話は聞けたかい?」

「ああちょっとだけな。また今度会えたら、どんな話をしてくれるのか楽しみだ」


 登っていく太陽を見て、デーツの心も晴れやかだった。

 なお帰った直後にタナカのおばさんコールを耳にして、ブチギレたのはまた別の話である。


 次回へつづく。

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