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峻烈のムテ騎士団  作者: いらいあす
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第七話 ちびっ子ナイトパーリィ その1「ミートボールミートボール」

 その日の夕方、タナカはくたびれながら食卓についた。先日のザイモンズパーティとの戦いの後始末を一人でやっていたからだ。

 トイ・レットーの穴の中に顔を埋めるタナカ。そこにローナとアストリアがやってきた。


「うわ。何やってるの?」

「最近この穴の中が妙に落ち着くようになって」

「かわいそうな奴だな!!!」

「俺自身が一番そう感じてる」


 マァチもエレベーターから料理を乗せたワゴンと共にやって来たが、顔を突っ込み中のタナカを見て腹を抱えてうずくまってしまう。


「お腹痛いのか!!!?」

「いや、笑ってるんだと思う」

「騎士団の中で一番、俺の惨めな姿で笑うんだよなこいつ」


 タナカの言う通り、団員の中で彼の事を一番嫌っているのはマァチであることは誰の目にも明らかだった。

 例えば、廊下ですれ違う際に舌打ちするし、彼が誰かに褒められると「でもこいつ私たちの命狙ってたし」とか言うし、あと、唐突に「こいつ嫌い」とか言うし。

 さて、そんなマァチの笑いが止まったところで、ようやく料理が運ばれた。待ち時間だいたい10分。

 蓋を取ると、そこには30センチほどの高さのミートボールの山が。


「すごい盛ったな」

「みんな大好きミートボール」


 マァチがそれぞれの取り皿によそっていく。


「もう食べるのか? デーツとバーベラがいないようだが」

「二人なら出かけてる!!」

「どこに?」

「お金出して肉体のご奉仕を受けるお店ー」


 ローナは何食わぬ顔でミートボールの魂を摘み食いしながら言う。


「またか。ていうかバーベラだけでなくデーツも行くんだな」

「団長の場合、快楽が目当てじゃない。

 店で働いてる人がどういう経緯でその仕事をやるハメになったのかの身の上を、根掘り葉掘り聞いたり説教したりするのが目的」


 マァチは苦虫を噛み潰したような顔で答える。


「わーお人間のクズ」


 デーツの趣味にタナカ至極まっとうな反応。

 すると、突然ローナが楽しそうに宙を舞った。


「つまり今夜は子供達だけ! なのでちびっ子ナイトパーティを始めるよー!」

「子供? ちびっ子?」


 確かにローナは子供ではあるが、他のメンバーが子供と言えるかどうか疑問に思うタナカ。


「えーとね、ローナちゃんの国の基準では21歳からが大人だから、それ以外は子供扱いでいいんだよ。まずアスティが」

「19歳だ!!!!」

「割とギリギリじゃないか」

「でも基準を満たしてるのでセーフ。それでマァチが」

「16歳」

「じゃあ俺と同じなのか」

「え、じゃあ本当は17歳ってことで」

「歳上マウントをしようとするんじゃない!」

「ちっ」

「それよりタナカ君て結構若かったんだね。ちなみにローナちゃんの享年は10歳。

 だから今は死んでからは、えーと1、2・・・・・ああ私今年で26歳か」

「バリバリ大人じゃん!」

「でも幽霊は成長しないからセーフ」

「都合いいな」

「都合のよさは子供の特権でーす。

 ちなみにバーベラが24歳。団長は年齢不詳だけど40代なのは確か」

「50以上でも俺は驚かないが」


 そんなことを話しているうちに、マァチはそれぞれの前に、よそったミートボールを配膳し終えた。


「何はともあれ、まずは食事だよ! ミートボールパーティ!

 ミートボール! ミートボール!」

「ミートボール ミートボール」

「ミートボール!!! ミートボール!!!」


 響き渡るミートボールコール。そして3人ともコールしながらタナカを見る。


「え?」

「ミートボール!」

「な、なんだよ」

「ミートボール」

「俺も言えってのか?」

「ミートボール!!!!!!」

「わ、わかったからミートボールだけで会話するのやめろ!

 ミートボール! ミートボール!」


 すると3人は満足したのか、再度ミートボールコールを開始する。そしてしばらく続いた後にローナがこう言った。


「で、これいつまでやるの?」

「お前が知らないことを俺たちが知るか!」

「じゃあミートボールコールはここまでにしてみんな食べよう!」


 すると3人とも勢いよくミートボールをかきこむ。


「そんなに慌てなくても」

「パーティだからこれでいいんだ!!!!!」


 アストリアは皿を持ち上げ、ミートボールを直に口の中へ流し込んで食べている。

 普段はおとなしいマァチも、フォークを両手に一本ずつ持ち、二刀流で食べている。


「タナカ君も早く食べなよ。おかわり無くなっちゃうよ」


 ミートボールの魂を山のように抱え、それを摘みながらローナが言う。



「いや、お前らの食べっぷりに、逆に食欲失せたわ」

「甘いなタナカ!!! そんなことじゃ、パーティについていけなくなるぞ!!!!」

「もう既についてけない。むしろついていきたくない」


 なので、タナカは最初によそわれた一皿10個入りのミートボールだけで食事を終えた。

 しかし、食事はまだ終わらない。ワゴンにはもう一皿残っているからだ。


「ごちそうさま!!!!」

「じゃあデザートね」


 アストリアが食べ終わったと同時に、マァチがもう一つの皿の蓋を開ける。そこには山盛りのホイップクリームがあった。


「盛るの好きだな」

「ちびっ子ナイトパーティの基本は盛ることだからね。

 うん、甘くて美味しい」


 ローナがクリームの魂を指ですくいあげ舐めた。しかしあくまで魂なせいか、指にクリームのついた跡はない。


「タナカ、いる?」

「いや、俺はいらねえや」

「甘いもの嫌いか!!!?」

「嫌いってわけでもないが、世の中には沢山の甘いものを見て喜ぶ奴と、うんざりする奴と2種類いる。俺は後者なんだ」

「団長も後者なんだよねー。山盛りの油物とかスイーツとか見ると食欲無くすって。

 だから今夜はこれでもかってぐらいに盛るわけ」

「そりゃおばさんの胃には重たかろう」


 その時、マァチが杖を持って不敵な笑みを浮かべているのにタナカ早く気がついた。


「なんだその顔は」


 すると、杖から先程のタナカの発言が流れる。


【「そりゃおばさんの胃には重たかろう」】

「おい、何してんだ」


 マァチはにやつきながら音声を何度も流す。


【「そりゃおばさんの胃には重たかろう」】

【「そりゃおばさんの胃には」】

【「おばさんの」】

【「おばさん」】

【「おばさん」】

【「お ば さ ん」】

「もうやめろー! それをどうするつもりだ!」

「ザ・言質」

「ちくしょう!」

「ゲンチってなんだ!!!?」

「なんらかの証拠になる発言って意味。だから、これを脅しに使えるってわけ」

「わかった!!!!! で、脅して何させるんだ!!!!」


 アストリアの疑問にマァチは頭を掻いて考える。


「じゃあ、空気をいっぱい吸い込んで・・・・・破裂するとか?」

「出来ること出来ないこと考えて脅せよ」

「じゃあさじゃあさ、これからやるゲームの賭けにしてもらうとかどう?」


 ローナが元気よく手を挙げて言う。


「ゲーム?」

「ああ!! これから三人それぞれがやりたいゲームを順にするんだ!!!」

「で、その内タナカ君が2回勝利できれば音声は消してあげる。

 で、負けたら音声を団長に聞かせた上に破裂してもらうね」

「破裂は確定なのかよ」

「とにかく、わたし達はゲームの準備するから20分、いや30分後にマッチョ石像の前に集合ね」


 こうして3人はタナカと食べ残したクリームの山を置いて去って行った。

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