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勇者として  作者: オカマイタチ
1/1

a.プロローグ


鬱蒼と木々が生い茂る林をかき分けて進むと、開けた草原に出る。

ひどい藪の中を進まないと草原に出られないこともあり、地元の者もあまり立ち入らない。

そんな場所で、1人の少年が木刀をふり、剣術の稽古をしていた。


「えいっ!せいっ!」


少年の鋭い声のみが響く。一心不乱に剣を振る気迫は、熟練の剣士にも劣らなかった。


「よう。休憩したら?」


黒髪の華奢な少年が藪を掻き分けて草原に進み、木刀を振っていた少年に後ろから声をかけた。


「ああ、エリックさん。…そうですね、少し休憩しましょうかね」


声をかけられた少年・ハクは、爽やかな笑顔を浮かべて、木刀を腰に刺した。


近くに置いていた布で顔の汗を拭い、そのまま地面に座る。


「いつから振ってたの?」


「うーん、1時間前くらい前からかな」


「ひえ〜、頑張るなあ。ほどほどにしないと怪我するよ?」


心配するエリックに対し、ハクは苦笑を浮かべて答える。


「仕方ないよ。僕は弱い。魔物だらけの世の中に、まだ勇者は現れていない。せめて村のみんなを守れるくらいの力は付けておかないとね!」


ハクの言葉にエリックも頷く。


「そうだね。勇者さえ、現れてくれれば…」


遠くを見つめる2人の眼には、憂いが含まれていた。


世界の希望たる勇者は200年以上現れていない。


その勇者は、当時の魔王を滅ぼしたと同時に姿を消していた。


200年も経っているのだ。もうその勇者は寿命で亡くなっているだろう。


勇者はどこにいるのか、何をしているのか。


いない者にすがっても仕方ない。ハクの心掛けはエリックにも十分に理解できた。


「じゃあ、ハクくん。将来はどうする?


お城の兵士?それとも冒険者?傭兵?自警団って手もあるけど…」


今は戦乱の時代。国同士の戦争、魔物との争い、そして盗賊から身を守る術が必要だった。


そのため、戦う相手は違えど、働く先はいくらでもあった。


「そうだね…。まだ、ちょっと分からないかな…。もっと強くなってから考えるよ。

とりあえず今は、基礎の反復が大事だと思っているよ。」


「うん、ハクくんらしいね。」


野暮な質問をしてしまった、とエリックは反省した。


また、それと同時に、すごい男だとも感じた。


自分のことを冷静に把握し、目標を定め、努力する。


村の同世代の男の子の中で、ハクは下から数えたほうが早い。


…いや、もしかすると一番弱いかもしれない。


性格も闘いに向いているとは思えない。


ただ、周りの人を守りたいという強い気持ちを持っている。


強くなるその日を夢見て…。


…かなわないな。


「オッケー。じゃあ、俺は向こうで修行してくるよ。


日が暮れたら一緒に帰ろうか。」


エリックは苦笑した後、片手を上げて雑木林の方に向かって歩き始める。


「分かったよ。またね。」



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