SIDE 友人代表 久美 3
ブックマーク登録&評価&ここまでお読みくださりありがとうございます!
ちょっと前世の世界に戻ります
全2話です ←修正3話です
すっ飛ばしても支障はありません
「あのー、ちょっといいかな?あなた達、丸瀬さん、丸瀬恵美さんのお友達だよね?」
放課後、奈々と一緒に駅前の商店街をぶらついていると、突然後ろから女の人に声を掛けられた。
「勧誘なら間に合ってます!」
即座に奈々が相手も見ずにそう言ったけど、振り向いた先に居たのは見たことのある学校の制服を着た女子二人組だった。
「ぷぷっ。結月ちゃん、キャッチと間違えられてるー」
「莉々花うるさい。黙って!
あ、ええと、違くてね。私達、丸瀬さんのクラスメイトなんだけど・・・あ、ほら、お通夜の時、あなたの隣に座ってたんだけど覚えてないかな?って、覚えてないよねー。あ、いいの!そんな場合じゃなかったしね」
「はあ。覚えてなくてすみません。それで、なにかご用でしょうか?」
「えーと、ちょっと確認したいことがあってね。あ、その前に、あなた達は丸瀬さんの中学の時の友達?」
「・・・幼稚園の時からの友達ですが?」
「あ!じゃあ、もう親友だね!よく連絡してた?」
「はあ。まあ、それなりには」
ほぼ週一で遊んでいたし、毎日L●NEしてましたが、それがなにか?
一体なに?何を今更確認したいというのだろう。
恵美と連絡が取れなくなって、もう半年が経つのに。
返事をしながらもだんだん険しくなっていく奈々の表情に、ばっちりお化粧を決めた女子高生がたじろぐ。
奈々、女の子には強気だな。
これが男子なら、私を盾にするくせに。
いや、泣きそうなのを我慢している顔か、これは。
「えーと、あと一つだけ聞いていい?丸瀬さんからルカ、緑川瑠夏って名前を聞いたことないかな?同じクラスの男子なんだけど」
「聞いたことありません」
「そっかー。やっぱり。あ、時間取らせちゃってごめんね。聞きたかったのはそれだけなんだ」
呼び止めてごめんねーと私達に謝る結月という子に、だから無駄って言ったじゃんと莉々花と呼ばれた子が言っている。
なんだったのだろう。
恵美のクラスの男子?
私達が恵美から聞いた男の話といえば、女ったらしの・・・
「あっ!もしかして、その人イケメンですか?」
思い当たったので、つい声を上げてしまった。
今まで奈々に任せて黙ってたのに。
「そう!それ!あいつ顔だけはイケメンだ!え?丸瀬さんなんて言ってた?あ、こんなとこで立ち話もなんだね。もしよかったら、お茶しながら聞かせてくれない?おごるからさ。ちょうどそこのスタカフェ入るとこだったし」
「えっ?今日発売のフラぺでもいいですか?」
こら!奈々!知らない人にお菓子をあげると言われてもついて行ってはいけません!
今月は金欠だから新作のフラペチーノが飲めないと、看板を横目で見てたとこだったから簡単に釣られてるけど。
「いいよ!なんでもおごるよ!莉々花、まだそこいらにいるだろうから呼んで」
「えー、呼ぶのー?じゃあスタカフェはダメだと思うよー」
「あ、そっか。この間みたいなことになるか」
「じゃあ、さようなら~」
奈々が踵を返す。
本気で去ろうとしてないのはバレバレだけど。
「あ!ちょっと待って!ちゃんとフラぺおごるって!ふふふ、実はオモシロイ人?えーと、通り向こうのビッグボックスでいい?あそこ持ち込みOKだし」
「カラオケの個室に?」
奈々はもう、二種類ある新作フラペチーノのどちらにしようかとさっそく悩み始めているけど、まだ誰か呼ぶつもりらしいのに、危なくないのか?
いくら恵美のクラスメイトだといっても、自称だし。
「あ、そうだよね。怪しいよね。でも!絶対に!話を聞くだけだから!なんなら私らの生徒手帳預けるし!ねっ?」
そこまで必死なのはなんで?
まあ、こっちも恵美の高校での様子とか聞けたらいいなとは思うけど。
はい!と律儀にふたりが生徒手帳を渡してきたので、一応預かる。
スタカフェで、奈々とは別の味の新作フラぺを遠慮しながらも買ってもらい、カラオケボックスへ向かった。
私も今月は金欠なんだよ。
お腹が空いたと言っていた奈々は、ちゃっかり大きなチョコクッキーもゲットしていた。
私も恵美が食べると言っていた玉子サンドを買ってもらえばよかったな。苺フラぺには合わないか。
「あー、よりにもよって、この部屋ー。これは運命だねー」
道すがら『赤沢莉々花でーす!りりかって呼んでね!』と名乗った子が、カラオケの受付で渡された部屋番号を見た途端に声を上げる。
「ありゃ、まずいね、変えてもらう?
あ、ええとね、この部屋、実は丸瀬さんと来た時に入った部屋なのね」
と、『青山結月です』と名乗った子が説明してくれた。
ああ、恵美が史上最悪のカラオケだったと言ってたやつだろうな。
「クラスの子達とカラオケ行ったというのは聞いてます。この部屋がいいです」
「そう?迷惑かけるかもしれないけどごめんね。先に謝っておくね」
やっぱりなんかされるのか?と身構えたけど、もうおごってもらったフラぺに口を付けちゃってるから仕方なしに付いて行く。
カラオケボックスだというのに部屋に入っても歌うわけでもなく、4人でフラペチーノをすすりながら当たり障りのない味の感想などを言い合っていると、程なくして男の子がふたりやってきた。
ああ、やっぱり。
緑川瑠夏というのは、恵美のお通夜の時に泣いていたイケメンか。
なぜ入り口で立ち止まる?
「おっ!女の子がふたりもいる!こんにちはー!白井朝陽でーす」
うっ!軽っ!
私達にニコニコ挨拶をしながら先に部屋へと入ってきたのは、通夜の時このイケメンを恵美の柩の前から引きずって行った人だった。
「あっくんひどい!莉々花と結月ちゃんも女の子なんですけどー」
「瑠夏、頑張って入って。こちら角田久美さんと平山奈々さん。・・・丸瀬さんの幼馴染」
「え?」
イケメン・・・緑川、君はよけいに固まっただけだったけど、白井、君はにこやかな表情を一変させた。
「そんな人連れてきて、どういうつもり?」
「・・・いいかげん『どう思う?』を減らそうかと思ってさ。丸瀬さん、この人らに瑠夏の話をしてたそうだから。聞きたくないなら帰っていいよ」
結月さんと白井君が睨み合う。
揉めるなら私達が帰りたいんだけど。
奈々は男子が来たから小さくなっちゃってるし。
「お、俺は聞く!聞きたい!」
意を決したように緑川君が白井君を押して部屋へと入ってきた。
「えー、後でフォローすんの俺じゃん」
渋々だけど白井君も残るようで、緑川君の後ろへまわって部屋の扉を閉める。
「じゃあ、とりあえずこれ。いつも通り相談料として払ってね」
結月さんがスタカフェのレシートを緑川君に渡した。
相談料って?
たかっているんじゃないの?
男の子におごってもらうなんて初めて~って、そうじゃないわっ!
私達の分もいいのかな?
まあ、今払えと言われたら困るけど。
「るかっち、ごちー」
莉々花さんが、フラぺのすでに空になった容器を振りながら軽く言う。
いつものことなのか?
「「御馳走さまです」」
莉々花さんに便乗して、いいんですか?などとは聞かずにぺこりと頭を下げた、私と奈々の小さな声が重なった。
「あ、いえ。ここまで来てもらってすみません」
うーん。恵美に聞いていた女ったらしという印象とは少し違う気がするんだけど。
イケメン違いか?白井君の方・・・は違うな。
「瑠夏はその席がいいんでしょ?いいよ、座って」
結月さんにお金を払った後、ソファーの入り口側の一番端を見つめていた緑川君が静かにそこへ座る。
そこは結月さんの隣、そして私の対面だった。
「るかっち、まだダメよー」
結月さんの反対隣りに座る莉々花さんの言葉に「ああ、この部屋だったか」と白井君が部屋を見渡す。
この4人は、恵美史上最悪のカラオケの日にここに居たんだな。
わりと大きめな部屋だけど、ソファーはテーブルを挟んだ対面で二つしかない。
たしか恵美がクラスメート10人だったと言っていたけど、このソファーひとつに5人が座るのはかなりきつそう。
イケメンにぴったりと隣にくっつかれた、恵美の困った顔が目に浮かぶ。
・・・で?
今なぜ白井君は、向こう側ではなく私と奈々の間に座ろうとした?
私の右横にいた奈々が慌てて立ち上がり、ぐるっと回って私の左横に座ろうとぎゅうぎゅう押してきた。
いいけど、そこだと白井君の隣は避けられても、緑川君が真正面になるよ。
あきれた表情を白井君に向けていた結月さんが「そろそろ本題に入ってもいいかな?」と私達に聞いてきた。
奈々が顔を上げないまま頷いたので、私も真正面になった結月さんの顔を見ながら「どうぞ」と言った。
さて、恵美よ。
あんたのクラスメートに、私らは何を聞かれるのかね?
そしてこの人らに、あんたの何をどこまで話していいものかね?




