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47.チベットスナギツネあらわる

「それにしても、あの方はどなたかしら。あなたご存じ?」


「いいえ。あれほどの美丈夫をわたくしが知らないはずはないのだから、外国の方かしらね?」


「ロイスバル様に新しく好いお人が!?ラウル様と泥沼の三角関係に発展!?これは由々しき事態ね!即座に学院で会員を招集しなければ!!」


ピリピリとした空気を読んだお姉様方が、一斉にオペラグラスを覗いて話を明るい感じへと切り替えてくださった。


・・・一部はあいかわらず腐敗しているけれど、まあいいわ。

ええと、それでそのオペラグラスは一体どこから出されたの?いつもお持ちなの?


新たなカップリングに盛り上がっておいでのようですけれど、おやめくださいまし!

あのふたりはどちらかと言えば仲が悪いのですから。


え?もしかしてあれは愛情の裏返しだった?

ロイス兄様がこの間までツンデレだったからそう見えていただけで?

嫌だわー。思考がどんどん沼に嵌まってしまうわ。


それにしても、一応幼馴染であるエリザベルお姉様でさえ、やはりあれが誰だかわかっていらっしゃらないようね。


もうわたくしが正体をばらすべきなのかしらと考えていたら、腐令嬢の餌となっていることを知らないふたりがこちらへ連れだってやってきた。


!!

すばらしいわ!

お姉様方が一瞬にしてオペラグラスを消し、やましいことは一切話していなかったようなお澄まし顔を作ったわよ!

きっと学院でもこういう隠密行動をされているはず。

アルフ兄様は、本当に“美しき者が仲良き哉の会”の存在に気が付いて、わたくしの話を持ち出したのかしら。


「皆様、ご挨拶が遅れましたが、本日は妹のためにお集まりいただきありがとうございます。我が家のおもてなしはいかがでしょうか」


「まあ!ロイスバル様!お邪魔しております」


「ごきげんよう。ロイスバル様。お目に掛かれて嬉しゅうございます」


「うふふ。楽しく過ごさせていただいておりますわ」


さもたった今、ロイス兄様の登場に気づいたかのようにこの場にいたご令嬢方が立ち上がり、ロイス兄様にふわふわドレスが群がる。


ああ、一切どもることなく自信のある立ち居振る舞いのロイス兄様は、ゲームのロイスバルからはもう完全に別人。

けれどまあ、やはりわたくしにとっては兄なのですもの。

学院でぼっちのロイス兄様を見ることにならなくてよかったわ。

ヒロインに攻略させるのは難しくなるかもしれないけれど、それはまたその時に考えましょう。


さながらモテモテロイスのスチルね!と眺めていると、それらをするりと躱してもうひとりのバグがわたくしのところへ挨拶にきた。


()()()()()()。お誕生日おめでとうございます。ロイス兄様のお仕事を見学に馬場へ行ったら、エミリアーヌがこちらでお茶会をしているというので、戻るロイス兄様についてきてしまいました」


なにをしれっと。

あなたは、わたくしの誕生日当日も我が家へ来たくせに。

今日もあなたのお母様がこちらにいらっしゃるのだから、お茶会をしていることは知っていたでしょう。

それにしても、あなたまで今どこからその花束を出したの?

巷では手品が流行っているの?


「・・・ありがとう。あなた、ここ数日でまた背が伸びたのね。髪型まで変えてしまって」


「ええ。似合いますか?おね、エミリアーヌの好みではないですか?背丈はどうせならアルフ兄様に追いつきたいです」


先週までは背がまだロイス兄様と同じくらいだったのに、もうラウルと変わらない。

ということは王太子殿下と同じくらいということよ。恐ろしい成長期ね。

わたくしの周りではアルフ兄様が一番高身長なのだけれど、このままだと追い抜くのではないかしら。


「あの、エミリアーヌ様。こちらの方をご紹介いただけますか?」


ジャスミン様が頬を染め、もじもじしながら話に割って入ってきた。

うーん、一応紹介がないと初対面の異性に話しかけてはいけないのはわかっているようだから目を瞑りましょう。

殿下じゃないとか、ラウルはどこにいるのかなどと、ロイス兄様たちの前で言い出さなかっただけましだし。


それにしても、ジャスミン様は殿下やラウル狙いではなかったの?

もしかして、背が高いイケメンなら誰でもいいとか?


「いやだなぁ、ジャスミン様。少し会わなかっただけでもう僕のことをお忘れですか?僕はシャルルジーク・ルーベンスですよ!」


「「「「「は!?シャルルジーク様???」」」」」


ロイス兄様とお話をしながらも、こちらを垂涎しながら窺っていた皆が、一斉に声を上げた。


「えー?皆様初めましてではないというのに、どなたにも気付いてもらえなかったなんて。僕は悲しいなー」


いやいや、自分の母親にさえ認識されなかったのに、他の誰が気付けると思うのよ。

悲しいと言いながらも浮かべている笑顔が、この国の宰相の抜け目のない笑顔にそっくり。

宰相閣下はシャルルのお父様だから、似ているのはあたりまえなのだけれど。


それにしても、なぜふわふわヘアから王太子殿下のような髪型に?

確かにその背丈と容姿に天使ヘアは似合わなくなっていたけれど、完全に面影が無くなってしまったじゃないの。

ゲームのシャルルジークから可愛いを取ったら、病みしか残らないわよ。

その容姿でヤンデレなのは・・・まあ、それもアリだと奈々も言うでしょうけれど、幼いころから弟のように可愛がってきた、わたくしのかわいいシャルルを返して!


つい、シャルルのお母様であるルーベンス侯爵夫人の方を見遣ると、なんとも言えない微妙な表情で、ロイス兄様の周りから移動したドレス軍団に囲まれる息子をご覧になっていた。


シャルルのお母様の感情の抜けたようなあの表情はあれね、ええと、いわゆるチベスナ顔ね。

そして今度はモテモテシャルルのスチルを見せられているわたくしも、同じくチベットスナギツネになっている自信があるわ。

なぜなら、シャルルの従者であるカインが、シャルルのお母様とわたくしの顔を見比べて笑いをこらえているのだから。


ちなみに、ロイス兄様はご令嬢に囲まれているシャルルに嫉妬する様子もなく、テーブルの上のお菓子を見ている。

やはり、シャルルとラウルとの三角関係は無いわね。


ロイス兄様、お仕事をしていらしたので腹がすいているのですね。

そう思って別室に玉子サンドをご用意しておりますわよ。


すっかり話題をシャルルに持って行かれているうちに、時間が来てお茶会はお開きとなった。

ジャスミン様は最後まで残ってシャルルにまとわりついていたけれど、ようやくお帰りいただけた。


やれやれといった感じのシャルルが、アルフ兄様にも話があると言って兄様の執務室へ向かうのを見送りながら「あれが単なる成長期で済まされるの?」とまだエリザベルお姉様が疑いの眼差しを向けている。


エリザベルお姉様ももうお帰りになるので、本日のお礼を述べていると、今度はエリザベルお姉様がチベスナ顔でわたくしの顔をじっとご覧になっていた。

そして一度目を伏せ、いつもより静かに話し出された。


「エミリアーヌ様。

あなたとはあえてこの件に関してのお話はしてこなかったけれど、告げておきましょう。

王太子殿下主催の婚約者候補を集めたお茶会の、3回目の日取りが決まりましたわ。

ご招待を受けたのは

クラウディア・ファドリック

カトレア・バーンズ

ジュリエーヌ・アウスバーグ

そしてわたくし、エリザベル・トラビスタの4名。

当初告げられた予定より期間が掛かっているから、おそらくこれが最後でしょう。


いよいよ王太子殿下の婚約者が決まりますわよ。

・・・心の準備をなさい」




それは、幼い頃からのわたくしの恋心をご存じの、エリザベルお姉様からの優しい告知だった。





次回はアルフ兄様の結婚式です

ということは、教会へ行きますよ~

そしてあの方がまたもや登場します

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